通勤電車やバスの中で、このようなマークを見たことはありますか?
今回は、「ヘルプマーク」についてのお話です。
ヘルプマークとは
ヘルプマークは、東京都が作成したマークです。
義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなることを目的としています。
2017年7月20日に、経済産業省において、案内用図記号(JIS Z8210)の規格が見直され、その中に「ヘルプマーク」が追加されました。
日本人だけでなく外国人観光客にも、より分かりやすい案内用図記号とすることを目的としています。
配慮や支援を必要とする方々を示す記号として、今後ヘルプマークが今以上に活用されていくこととなります。
ヘルプマークを身に着けた方を見かけた場合は、電車・バス内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をしていきましょう。
東京都の取り組み
東京都では、このヘルプマークの配布や優先席へのステッカー標示等を、以前から取り組んでいました。
2012年10月から都営地下鉄大江戸線、2013年7月から全ての都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーで開始しました。
さらに、2014年7月からゆりかもめ、多摩モノレール、2016年12月から、都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院へと拡大して実施しました。
また、2014年7月から民間企業への働きかけも実施されました。
ヘルプマークを見かけたら
ヘルプマークの対象は、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としている方などです。
もし見かけたら、以下のような行動をお願いします。
【電車やバスの中で、席を譲りましょう】
外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。
また、外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けることがあります。
【駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をしましょう】
交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。
【災害時は、安全に避難するための支援をしましょう】
視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由者等の自力での迅速な避難が困難な方がいます。
全国への普及と課題
2017年7月20日から、「ヘルプマーク」が全国共通のマークになりました。
経済産業省において、東京オリンピック・パラリンピックに向け、外国人観光客にもより分かりやすい案内用図記号とすることを目的としています。
多様な主体が多様な場所で活用・啓発できるようになり、広く普及し、認知度の向上も期待されます。
しかし、まだ認知度が低く、電車で席を譲ってもらえていない、混雑した会場で介助がないなどの場面を見かけることが多々あります。
認知度をさらに上げていくために、公共交通機関や、公共の場所などにもっと啓発ポスターなどを掲示していく必要があります。
「✚」と「♥」という、誰もが知っているシンボル(=ビジュアル言語)を組み合わせています。
これにより、援助や手助けが必要であるという意図を周囲の人々が直感的に把握し、すぐに行動に結びつけられることを意図しています。
赤は「ヘルプ=普通の状態ではない」ことを発信し、ハートは相手に「ヘルプする気持ちを持っていただく」という意味を含んでいます。
色や形状についても、周囲の人々に気づいてもらいやすい工夫がなされています。
もし、このマークを見かけたら、思いやりある行動をお願いいたします。
参考
厚生労働省HP ヘルプマークのJIS(案内用図記号)への追加について
監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)