発症の若年化が進んでいる「乳がん」 その特徴と検診の方法とは?

ピンクリボンを指さす人

 

 

がん検診は、欠かさず受けていますか?

今回は、若年化が進んでいる「乳がん」と、その検診について紹介します。

 

 

乳がんの状況

 

検査結果とピンクリボン

 

40歳から50歳代の乳がんが増えています。

日本では、1年間におよそ53,000人の女性が乳がんと診断されています。

このことは、胃がん、大腸がんと並んで、女性に最も多いがんの1つであることを示しています。

 

乳がんの特徴は、40歳から50歳代の女性に特に多くみられることです。

例えば、45歳から49歳の女性で、胃がんと診断されるのは1年間で3,000人に1人なのに対して、乳がんは1,000人に1人と約3倍のリスクがあります。

 

また、40歳から50歳の乳がん発生率は、この20年間で約2倍に増加しています。

一方、乳がんで亡くなる女性は1年間に12,000人です。

40歳から50歳代の女性におけるがん死亡の25%を占めており、この年代の女性にとって最も多いがん死亡原因となっています。

 

以下のグラフは、女性の部位別がんの罹患数です。

乳房のがん、つまり乳がんの罹患数が近年急激に伸びてきていることが分かります。

 

全国がん罹患モニタリング集計

(資料出所:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)

 

 

マンモグラフィによるがん検診

 

【マンモグラフィ】

 

マンモグラフィ

 

マンモグラフィは、乳房を片方ずつ、X線フィルムを入れた台と透明なプラスチックの板で挟んで、乳房を平らにして撮影します。

これを「圧迫」といいます。

 

圧迫により、乳房内部の様子を鮮明に写し出すことができ、さらに、放射線被ばく線量を少なくすることができます。

圧迫の際に痛みを伴うことがありますが、痛みの感じ方は人によって違います。

検査全体は10分程度かかりますが、圧迫をしている時間は数十秒程度です。

 

生理前の1週間を避けると、痛みが少ないようです。

乳房の大小にかかわらず、撮影は可能です。

マンモグラフィにより、視触診ではわからない早期がんの発見が可能になります。

マンモグラフィで発見される乳がんの70%以上は早期がんで、乳房温存手術を受けることができます。

 

【視触診(乳房やわきの下をみる、触る)による検査の併用】

 

視触診

(資料出所:認定NPO法人 乳房健康研究会)

 

マンモグラフィは正確な検査ですが、乳腺組織の発達した閉経前の女性の場合には、小さな影が見にくくなる場合があります。

これを補うために、医師による視触診を併用します。

 

【2年に1回の受診】

 

2年に1回の受診でも、毎年受診した場合とほぼ同様の有効性が示されています。

ただし、受診後、新しいしこりを触れた場合には、速やかに乳房疾患の診療を専門とする乳腺外科等の医師を受診するようにしてください。

 

【精密検査は必ず実施】

精密検査を受ける人

 

マンモグラフィ(視触診併用)による乳がん検診を受けると、通常、受診者の8%の方に精密検査が必要となります。

精密検査を受けた人の中で、乳がんと診断されるのは、おおよそ4%です。

 

すなわち、受診者のうち0.3%の方が乳がんと診断されます。

精密検査が必要と言われたら、必ず受診するようにしましょう。

 

 

参考

国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト  「乳がん検診について」

 

監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)