日本では、働き方改革の実現のため、長時間労働の是正に取り組んでいます。
そんな中、過重労働の防止及び長時間労働の抑制に有効であると考えられる「勤務間インターバル」の導入について、関心が高まってきました。
今回は、ホワイトカラー労働者の勤務間インターバルについて紹介します。
勤務間インターバル
「勤務間インターバル」とは、勤務と次の勤務との間隔のことをいいます。
例えば、1時間の休憩時間を挟む9時から18時までの8時間勤務の場合、就業終了の18時から翌日の就業開始の9時までの15時間が勤務間インターバルになります。
通勤時間が長い国と言われている日本にとって、この勤務間インターバルは重要です。
勤務間インターバルが必要な理由
月に80時間以上の残業をした場合、脳血管疾患や心疾患のリスクが急に増加することが分かっています。
この長時間労働を是正するために、勤務間インターバルが施行されました。
月80時間以内の長時間労働を守ろうとすると、一日あたりの残業時間は4時間までとなります。
そのため、一日8時間労働+1時間の休憩+残業4時間となり、拘束時間は13時間になります。
ここで、問題になるのが通勤時間です。
通勤時間を考えた場合に、果たして休養の時間が何時間あるのでしょうか?
2016年における日本の勤務間インターバルの状況は、「14時間以上15時間未満」の人が21.7%と最も多く、「11時間未満」の人は10.4%でした。
「教員」では「11時間未満」の人が26.3%と多く、ホワイトカラー労働者全体の約2.5倍の割合になりました。
教員のインターバル時間の問題
インターバル時間は、「ちゃんと休む」「休養してから働く」ことを基本にしています。
それは、「体調よく仕事し、パフォーマンスを100%に近くする」ことが生産性向上のためにも大切なためです。
EUでは、労働時間指令により、労働者の健康と安全確保の観点から、24時間につき最低連続11時間の休息時間(勤務と勤務の間隔)を付与することが義務付けられています。
日本では、インターバル時間11時間の教員は、13時間を労働現場に拘束されています。
5年前の調査と比較した場合、教員のインターバル時間11時間未満者の数は大幅に上昇しています。
特に女性での変化が顕著で、女性教員のインターバル時間が大幅に短くなっています。
インターバル時間への期待
同調査の中では、健康状態とインターバル時間の関連も分析されています。
結果は、「健康状態が良くない」と回答する人の割合は、インターバル時間11時間未満で急減に上昇することがわかっています。
インターバル時間を十分に取得し、休養をし、体調回復してから出勤することができれば、生産性が向上し、インターバル時間が長くなる可能性もあります。
また、脳血管疾患や心疾患、長時間労働から発生するメンタル不調者も減少し、明るい職場環境になることが期待できます。
参考
総務省統計局HP 我が国における勤務間インターバルの状況-ホワイトカラー労働者について-(社会生活基本調査の結果から)
監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)