メンタルケア協会とは
一般財団法人メンタルケア協会は、1993年に慶応義塾大学医学部出身の医師たちにより設立されました。
人間そのものについて学び、心のケア全般に関する知識を習得して実践に活用できる「メンタルケア・スペシャリスト」を育成しています。
また、希望者には選考を経て、報酬を得て活動を行う心のケアの専門職「精神対話士」の認定も行っています。
精神対話士とは
精神対話士とは、「物質的な豊かさだけでは埋めることのできない人間の心の寂しさ、孤独感を、専門的な知識と技能に基づく真心の対話でやわらげ、生きる希望と勇気を与え、これからの人生に生き甲斐をもち、よりよい生活を送れるよう精神的な支援」を、報酬を得て行う『心の訪問ケア(アウトリーチ)の専門職』です。
この資格は、以下のようなwebサイトやメディアで紹介されました。
・厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」の「資格」
・文部科学省「東日本大震災子どもの学び支援ポータルサイト」の「専門スタッフ」
・池上彰氏が監修する週刊ポストの「本当にやりたい仕事20」
精神対話士の活動内容は、何らかの原因で孤独感や挫折感、喪失感、不安感などを持っている方に対して、気持ちの向上と生きる気力の充実をサポートすることです。
主に、精神対話士が支援しているのは以下のような方です。
・ 企業にあって精神的な疲れを感じたり、疎外感をいだいたりして落ち込んでいる
・ いじめや引きこもりで孤独感や挫折感などがあり、将来への不安を抱えている青少年
・ 加齢に伴う孤独感や、喪失感をだれかと共有することで和らげたい高齢者
・ 病院や高齢者を日々介護し、精神的な疲れを感じている家族
・ 身体的な病で長期入院や療養生活を送り、心に不安や恐怖心を抱いている
・ より力強く生きていくために、心の支えとなる話し相手を求めている
こういった方が活力ある生活を送れるようになるために、精神対話士は「対話を通して心を軽くするためのお手伝い」をしています。
「話を聴く専門職」という立場で支援を行い、場合によっては精神科医師、介護福祉士、社会福祉士などと協調しながら活動を進めていくこともあります。
特に、精神対話士が初期に介入することで、メンタル不調に陥らない「予防効果」が高まることが期待されています。
「話を聴く」という行為自体は、誰でも日常的に行っている行為です。
しかし、「いつでも、きちんと相手の悩みに耳を傾ける」という行為は決して簡単ではありません。
求めている相手の話をきちんと聴こうとする意欲だけでなく、専門的な知識と技能も必要となります。
メンタルケア協会では、養成講座・実践講座や選考試験を経て、専門職として活動できる精神対話士の認定を行っています。
2017年3月12日(日)に、200名を対象に「こころに寄り添う遺族ケア」という内容での講演会を開催し、2名の精神対話士が講演を行いました。
2名の精神対話士のうち、1名は大阪教育大学附属池田小学校事件でご子女を喪っています。
もう1名は、2001年のアメリカ同時多発テロでご主人を亡くされています。
このように精神対話士には過去に心の痛みを負い、乗り越えている方もいます。
こういった講演会と併せて、全国各地で精神対話士による「対話カフェ」を開催し、心の悩みを持つ人に対する精神対話士との直接の対話の機会も設けています。
「対話カフェ」は、各開催地の行政区だけでなく、文部科学省や厚生労働省も後援しており、北海道から沖縄までの各地で開催されています。
選考を経て認定を受けた精神対話士の社会的要請は、日々高まっています。
メンタルケア協会は、精神対話士の活動事業を行うとともに、新たな精神対話士の育成・養成のために、全国のネットワークを通じて日々活動を行っています。
メンタルケア・スペシャリスト養成講座
メンタルケア協会では、精神対話士の認定や心のケア事業以外の活動も行っています。
特に、メンタルケア・スペシャリスト養成講座は、健康経営の実践の上でも、必要になる内容であると考えられます。
メンタルケア協会は、企業内に「悩みに対して耳を傾ける」ことができる人が増えれば、お互いにやさしさ・暖かさを持った、風通しのよい企業になると考えています。
そして、それが実現すれば、「企業の中でメンタル不調をゼロにする」ことも不可能ではないと考えています。
こういった企業を「企業内貢献企業」と定義し、心を大事にする職場づくりの実現を目指しているのです。
その為に、メンタルケア・スペシャリスト養成講座を、多くの企業の方に受講してもらいたいと考えています。
メンタルケア・スペシャリスト養成講座は、東京・大阪において各々春と秋の年2回、開催されている講座です。
札幌・仙台・金沢・福井・名古屋・広島・福岡において各々年1回開催されています。
養成課程は全15回の講義で構成されており、人間そのものを深く見つめ、人間とは何かを再確認してもらうことを目的とした内容です。
講座終了後、レポートを提出し、複数の試験委員によるレポート採点で合格と判定されると「メンタルケア・スペシャリスト認定証」が交付されます。
「メンタルケア・スペシャリストを組織の構成員の2割以上にする」という目的を掲げて、組織単位で取り組む企業もあります。
金沢市の同じ社会福祉法人に勤める男女12人が、メンタルケア・スペシャリスト認定を受けた時に地元紙に取り上げられたり、連合福井が3年間で150人のメンタルケア・スペシャリストを各職場に配置することが地元紙に取り上げられたりするなど、注目されています。
精神対話士になる為には、ここからさらに実践課程を受講し、レポートを提出、さらに選考試験を経て認定されます。
しかし、精神対話士のように対外的な活動を行うのではなく、企業内でお互いをケアしていて、メンタルケア・スペシャリストの認証を受けていれば、一定の基準はクリアしています。
企業内でメンタルケア・スペシャリストの認証を持つ社員が増え、お互い対話によって心のケアをしあえば、職場の雰囲気が大きく変わることは間違いなしです。
メンタルケア協会が目指す、「企業の中でメンタル不調をゼロにする」ことも現実のものとなるでしょう。
出典