会社を支える従業員の為に健康経営にいち早く取り組む 相鉄イン

相鉄イン会社外観

 

 

事業の概要

 

相鉄イン株式会社(以下「相鉄イン」)は、神奈川県を基盤とする相鉄グループ内の企業として2006年6月にビジネスホテル経営を主たる事業目的として設立されました。

2015年6月現在、「相鉄フレッサイン」というホテルチェーン15店舗とそのワンランク上にあるホテル、「グランドフレッサ」1店舗を経営しています。

「相鉄フレッサイン」は2015年4月時点で、神奈川県内に5店舗、東京都内に9店舗、千葉県内に1店舗存在しています。

さらに2016年には、東京都内に2つのホテルを新規出店した他、2017年には初めて京都にも出店しました。

 

ホテル外観

 

相鉄インの運営する「相鉄フレッサイン」及び「グランドフレッサ」は、都市型ビジネスモデルとして、駅からのアクセス、ビジネスでも観光でも利用できる居住性、高いデザイン性、セキュリティといったハード面を強化するとともに、充実したアメニティ、清潔性、おもてなしといったソフト面も充実させることで顧客からの幅広い支持を受けています。

 

ホテル部屋内装

 

宿泊業を支えているのは、全職場で働く全ての従業員です。

24時間顧客対応するフロント社員、客室メンテナンスの社員、本社に勤務するすべての社員が互いに連携して関わりを持って勤務をしています。

このような勤務体系の中、約330人の従業員が相鉄インに勤務をしています。

 

相鉄インの健康経営の取り組みとその背景について、相鉄イン総務部の両国様(以下 「相鉄イン」と記載します)にインタビューさせていただきました。

 

インタビュー協力総務部

(インタビュー協力:相鉄イン総務部両国様(右))

 

 

健康経営の取組み

 

【勤次郎】

貴社では、どのような健康経営の取り組みが行われているのでしょうか?

 

【相鉄イン】

相鉄インでは、早くから健康経営を取り入れています。

もともと深夜勤務対象者には年2回、その他勤務者には年1回の健康診断を実施しています。

眼圧や腹部エコーなど、法律の定める健診内容を超えた健診メニューも充実させています。

 

また、各店舗の従業員は50人未満なので、労働安全衛生法上は産業医の設置は義務付けられていませんが、内科医と契約を締結して各店舗従業員が契約医に相談できる体制を整えています。

社内で就業管理区分と健康管理区分を定めて、それぞれ独自にA1、B2のような指標を設けて社員の健康状態と勤務形態との関係性を把握するように努めています。

状況に応じて、健康状態の改善のために契約医と協力した改善・指導の体制を採用しています。

例えば健康診断の結果、糖尿病と診断された社員に対しては、契約医から時間外の上限等働き方の指導が会社・社員双方に出る仕組みとなっています。

 

ストレスチェックのためのシステムも導入

 

相鉄ストレスチェックシステム

 

2015年12月から改正労働安全衛生法によって義務化されたストレスチェックについても、改正労働安全衛生法の施行前にすでにシステム導入しています。

ストレスチェックについては、日常勤怠からのチェックだけでなく毎年3月と9月の2回の定期チェックを行っています。

 

3月にストレスチェックを行う理由は、店舗毎のストレス状態をまず年度末で把握しておくことを目的にしています。

高ストレス状態の社員がいる店舗について、年度明け以降アドバイスを行える体制をとっています。

 

9月の実施は、4月以降の対策確認・店舗のその後の状況確認も兼ねています。

ストレスチェックについてはこのように企業としてのガバナンスに結び付けて、職場の労務管理を適切に行うための重要な手段として位置づけをしています。

 

また、年2回行うという回数も重要なポイントです。

例えば、異動後3か月でメンタル不調を訴えた社員がいたとしても、それだけでは、メンタル不調の原因が何にあるか特定が難しいです。

そこで、半年毎にストレスチェックを行っておくことにより、メンタル不調の原因を社員本人が認識してもらうことにも役立てることができます。

 

システムの画面イメージ

ストレスチェック画面イメージ

 

半年毎のストレスチェックは、社員が最適な環境で働くための場を提供するための手段であると同時に別の視点からも捉えています。

メンタルヘルスやストレスチェックという活動を積極的に推進することで、企業統治の考え方に沿ったものだけでなく、行政機関が目指すものを先に具現化した活動でもあると思っています。

さらに、こういった従業員の健康を尊重する姿勢を、健康経営推進企業として社員採用時のアピールに繋げています。

 

 

健康経営にいち早く取り組んだ背景

 

【勤次郎】

貴社が、健康経営にいち早く取り組んだきっかけを教えていただけますか?

 

【相鉄イン】

このように健康経営を重視することになった背景としては、やはり相鉄グループの一員であることが大きく影響しています。

 

相鉄グループは人の命を預かる運輸業を母体事業としており、社員の健康は顧客の命を守るために最も重要な要素のひとつです。

社員の健康が悪いことを知っていて業務に従事させ、事故につながった、という結果は決して許されないことです。

 

したがって従業員の健康状態を把握し、維持することは相鉄グループとして不可欠であり、早くからES(Employee Satisfaction/従業員満足度)の考え方がグループ内で定着してきました。

相鉄インはホテル業ですが、ESの考え方についてはグループ企業の一員として、グループ内の他の企業と同じであるため健康経営を重視するのはいわば当然でした。

 

一方、健康経営を行う上で、相鉄グループだからこその苦労もありました。

例えば、相鉄グループは運輸業にしても不動産業にしてもその事業のほとんどが神奈川県内で完結しており、従業員も神奈川県を基盤としています。

健康診断にしても、グループ企業は神奈川県内の指定健診機関で受診することになっていました。

 

しかし、相鉄インの場合は東京都内や千葉県にも展開しており、神奈川県内の健診機関にわざわざ健診を受けに移動することは現実的ではありません。

そのため、各地域の社員が勤務地近く、あるいは社員の居住地近くの健診機関で受診できるようにする必要がありました。

また、健診項目について健診機関間でバラつきがあると社員に対する不公平感も避けられません。

 

そこで、健診のアウトソーシング手配を行っているウェルネス・コミュニケーション社と提携し、全国どの地域でも会社が指定する健診メニューを受診できる仕組みを作りました。

その結果、今では首都圏近郊だけでなく、全国展開でも対応できるようになっています。

 

今後も、新規出店ペースを拡大していく予定です。(2019年度までに、50店舗の新規出店を計画。)

しかし、このように企業として事業規模を拡大してもESそして健康経営の考え方は変わらないことは確かです。

 

また、近年は都市型ビジネスホテルもシステムにより省力化が進んでおり、完全ロボット対応の宿泊施設も生まれています。

宿泊を目的とするビジネスホテルにとって、こういったシステムの動きは重要であり、注視しています。

ただ中心にあるのは顧客であり、従業員であり、ビジネスをつくっているのは人であるため、その点を見失わないように心掛けています。

 

【勤次郎】

本日はありがとうございました。