ゴールデンウィーク、盆休み、シルバーウィーク、年末年始など、1年のうちに大型連休はいくつかあります。
休みがあるのは嬉しいけれど、いざ、連休が終了したら、会社に行きたくない気持ちがふつふつと・・・。
今回は、ゴールデンウィーク後に誰もがかかるかもしれない、五月病についてお話します。
五月病ってどんな症状?
五月病の主な症状としては、上の絵の通りになります。
五月病のような症状は、5月だけとは限りません。
研修が5月いっぱいまであり、配属され、実際に仕事をするのは6月から、といった企業も増えています。
こういった企業の場合、6月からにわかに「やる気がない」「ふさぎこむ」という症状が現れる人がいます。
1カ月遅れの五月病、すなわち六月病と言われています。
いずれにしても、環境変化に伴う心身の負担、ストレスが主な原因です。
職場、先輩、人事労務担当者、産業保健スタッフにとっては、新入社員から目が離せない時期であるといえます。
五月病は一過性の症状が多い
「五月病」の多くは一過性の症状であり、適度な休息などで改善されることがほとんどです。
ただし、会社や仕事が苦痛に感じるなど、仕事に支障が出るような重症の場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
また、「病」とつくため「本当の病気」と考えがちですが、「五月病」は正式な医学用語ではありません。
医療機関では「適応障害」「軽度のうつ」といった診断名がつけられることがあります。
人事労務担当者の方は、覚えておくと良いでしょう。
原因は?
五月病の主な原因は、以下の3点と考えられています。
① 環境に適応できていない
新しい配属先の仕事が合わない、残業が多い、ノルマが厳しいといった職場環境がストレスになります。
また、転勤に伴う引っ越しや単身赴任など、生活環境の変化もストレスの原因です。
特に新社会人の場合、学生時代に比べて、環境が大きく変わることが最も大きな原因と考えられています。
また、人間関係への適応も問題となります。
新しい配属先や転職先で、上司や同僚に質問や相談がしづらいこともあります。
それ以外にも、既に出来上がっている人間関係の中にとけ込めない、職場の雰囲気になじめないなど、環境に適応できないことがストレスとなってしまいます。
② 体だけでなく、頭の適応も問題になる
新しい配属先や転職先で思うように自分のキャリアが活かせない、スキル不足を痛感するなど、異動・転職前後で、仕事や職場のイメージとのギャップで受けるショックが大きいほど五月病にかかりやすくなります。
つまり、思い描いていた理想と現実のギャップが埋められない、「こんなはずではなかった」と現実と理想のギャップを引きずり続けることが、頭の適応障害になっていきます。
③ いわゆる「燃え尽き」
例えば、厳しい就職活動を耐え抜き、内定をもらい、遂に入社式を迎えたとします。
この時、「入社」を一つのゴールにしてしまうと、次の目標を見失いがちです。
就活で働く前に、燃え尽きてしまい、無気力になります。
これは、新入社員だけに限定されることではなく、大きなプロジェクトを終えた人、日常的に多くの仕事を抱えている2年目以降の若手社員にも起こることです。
事前に! 五月病対策
五月病対策には、以下のような行動がおすすめです。
① 会話でストレスを解消しよう
同僚や同期、家族や友人などとのコミュニケーションの機会を大切にしましょう。
悩みを話すことで、ストレス解消になります。
また、世間の流行等もありますが、なるべく食事を1人で食べる「孤食」は避けましょう。
② セロトニンを補おう
不規則な食生活、偏った食事内容は脳内の栄養不足を招き、とりわけ感情をコントロールする神経伝達物質「セロトニン」が不足します。
セロトニンは、動物性タンパク質に多く含まれる「トリプトファン」を原料に合成されます。
赤肉など、動物性のタンパク質を摂りましょう。
また、「抗ストレスビタミン」とも呼ばれるビタミンCは、ストレスへの対処によって消耗する副腎皮質ホルモンの合成をサポートします。
ビタミンCはキャベツやトマト、グレープフルーツなどに多く含まれています。
③ 睡眠不足に注意しよう
睡眠は、疲労回復に重要な役割を果たします。
睡眠の質を上げ、規則正しい生活を継続できるようにしましょう。
周囲の人ができること
新しい環境で働く人に対して、上司や周囲の人は積極的に声をかけるなど、孤立させないような気軽に相談しやすい職場づくりに努めましょう。
悩みがあるようなら、まずは受け止め、厳しく指摘しないことが大切です。
また、生活リズムが乱れている、同じ仕事なのに仕事の処理能力が落ちていることに気づいたら、専門医の受診を勧めてください。
参考
監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)