「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」はミスコミュニケーションのもと

アイロンをかける人

 

 

仕事では、職場の方と話す時、会議で報告する時、連絡する時が多々あります。

そんな時、「ちゃんと」「きちんと」「しっかりと」を連発していませんか?

これらの言葉は、非常に便利な反面、ミスコミュニケーションを引き起こす原因となる言葉です。

 

 

「ちゃんと」、「きちんと」に頼っていませんか?

 

こちらが思っていること、行って欲しいことを明確に伝えなければ相手には伝わりません。

また、思ったように作業が完了しないことも想像がつくのではないでしょうか?

 

これを踏まえて、一度考えてみましょう。

自分の「ちゃんと」、「きちんと」はどの程度でしょうか?

 

一つ、例を挙げてみます。

AさんとBさんに机を「ちゃんと」片付けなさい、と指示を出したとします。

Aさんは左の絵のように、Bさんは右の絵のように片付けました。

なぜ、同じ指示を出したのに異なった結果になるのでしょうか?

 

2つの机

 

 

「ちゃんと」や「きちんと」の尺度は人それぞれ

 

人の感覚には、違いがあります。

Aさんの考えていることを言葉で表現してあげなければ、Bさんにはわかりません。

だから、Bさんは自分の感覚で判断して、自分の「ちゃんと」の基準で机を片付けたのです。

このような事態が起きることを想定出来れば、「本は引き出しに全てしまう」「ごみは全てごみ箱に捨てる」「筆記用具は持ち帰る」などの細かな指示ができますね。

 

「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」は程度言葉といいます。

何をして欲しいか、どうして欲しいか「程度」では伝わらない場面が多くあります。

「いつまでに(期限)」、「何を」、「どのように」してほしいかを具体的に伝えましょう。

 

 

「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」は、非常に便利な言葉です。

しかし、これらを極力避けて、具体的に伝えることがミスコミュニケーションを予防するひとつの方法です。

あいまいな表現ではなく、具体的、明確な言葉を選んで、話す練習を重ねましょう。

 

 

出典 

中央労働災害防止協会 怒りを上手にコントロール 本多優子 著

 

監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)