「平成」を振り返る 様々な社会問題から見えてきた平成の特徴とは

平成と令和

 

 

「平成」の時代が終わりを告げて、しばらく経ちました。

「平成」とは、どのような時代だったのでしょうか?

今回は、統計データをもとに、人口減少社会、非正規雇用、デフレなど、

様々な問題から見えてきた「平成」の時代の特徴を紹介します。

 

 

人口減少社会「元年」

 

まず、人口減少社会について紐解いていきましょう。

 

現在、日本は「人口減少社会」と言われています。

この「人口減少社会」は、平成から始まったとされています。

では、人口減少社会「元年」は、平成何年なのでしょうか?

 

「日本の人口が、ある年を境に、急激と減少した」という訳ではありません。

一貫して増加した後、減少したり、増加したりする時期を繰り返しており、

その後に一貫した減少となったのです。

一貫して減少するようになった最初の年を、「人口減少社会の始まり」と考えると、

人口減少社会「元年」は、平成23(2011)年といわれています。

 

日本の人口は、平成17(2005)年に戦後初めて減少した後、平成22(2010)年までは増加する年もありました。

ところが、平成23(2011)年以降は増加する年はなく、毎年、20万人前後の減少が続いています。

 

このように、「平成」は、日本の社会が「人口減少社会」へと転じた時代でした。

これは、少子高齢化による出生減少と死亡増加が原因とされています。

子どもの人口(15歳未満人口)の割合は、平成9(1997)年に65歳以上の

人口を下回り、平成27(2015)年には75歳以上の人口を下回りました。

 

グラフ

(資料出所:総務省統計局「人口推計」)

 

 

非正規雇用の拡大

 

正規雇用と非正規雇用

 

次に、非正規雇用の問題を見てみましょう。

 

平成の30年間に、多くの人が働く年齢層の人口とされる「15~64歳人口」(生産年齢人口)は

1,030万人減少したとされています。

このような中で、正規雇用も29万人減少したそうです。

 

一方、同じ期間に、非正規雇用は、1,300万人増加しました。

この結果、役員除く雇用者に占める非正規雇用の割合は、平成元(1989)年の19.1%から

平成30(2018)年の38.2%と、2倍に上昇しました。

 

このように、「平成」は、非正規雇用が大きく拡大する時代でした。

この中で、高齢者などの多様な働き方が広がりました。

一方で、このことが、少子化やデフレなど、世の中のいろいろな分野に

影響を及ぼしたのではないか、とも言われています。

 

 

 

 

戦後初めて経験する「デフレの時代」

 

最後に「デフレ」の問題について触れていきます。

そもそも、「デフレの時代」は、いつからいつまでを指すのでしょうか?

 

消費者物価指数(総合指数)は、戦後一貫して上昇してきました。

ところが、平成11(1999)年以降は、一時期を除き、継続して下落するようになりました。

これが再び上昇に転じたのは、平成25(2013)年です。

物価は、大きな経済危機や原油価格の暴落などがあった年には、一時的に下落することがあります。

このため、「デフレ」という言葉を使うのは、一般に、2年以上、物価の下落が続いたときです。

 

つまり、消費者物価指数(総合指数)の前年比上昇率から、「デフレの時代」は、

物価が下落に転じてから2年後の平成13(2001)年から平成24(2012)年までの時期と考えられます。

 

 

「デフレの時代」の特徴

 

この「デフレの時代」とはどのような特徴を持っていたのでしょうか?

 

「デフレの時代」には、それ以前の時期に上昇していた外食や

理髪料などの「サービス」の物価が、上昇しなくなりました。

一方、それ以前から下落していたルームエアコンやテレビなどの

「耐久消費財」の物価は、引き続き下落を続けました。

このため、総合的に物価が下落するようになったのです。

 

「耐久消費財」の物価が下落することは、経済のグローバル化が

進む中で、欧米にも同じように見られる現象です。

しかし、欧米では、日本と異なり、「サービス」の物価が一貫して上昇しました。

そのため、日本がデフレであった時代にも、総合物価は2%前後の上昇を続けました。

 

つまり、「デフレの時代」の日本の大きな特徴は、「サービス」

の物価が上昇しなくなったことなのです。

なお、「デフレの時代」には、「サービス」の物価と同じように、

労働者の「賃金」も、上昇が抑制又は低下となりました。

デフレ、賃金、非正規雇用などは、相互に関連のある現象のようです。

 

グラフの絵

 

 

令和にうつる前のデフレの動向

 

平成30(2018)年の消費者物価指数は 1.0%の上昇でした。

消費者物価指数は、世帯(消費者)が購入する多種多様な商品等の価格変化を

総合して、平均的な物価の動きを見るための指標です。

経済の体温計」とも呼ばれ、経済政策を的確に推進する上で、

極めて重要な指標となっています。

 

近年の動きを見ると、平成20(2008)年は、世界的な原油価格や穀物価格の高騰

を受けて1%を超える上昇となり、その後、平成24(2012)年まで下落傾向が続きました。

 

ところが、平成25(2013)年以降は、平成26(2014)年の消費税率引上げによる影響と、

平成28(2016)年の原油価格による下落を除くと、緩やかな上昇傾向となっていました。

 

令和に移行する手前でデフレは脱却することは出来ましたが、令和元(2019)年に行われた

消費税率引き上げや、令和2(2020)年初頭から猛威を振るっている

新型コロナウイルス感染症によって、どのような影響が出るかが心配されています。

 

 

最後に

 

今回は、統計資料をもとに「平成」の時代を、様々な問題と絡めて振り返ってみました。

人口減少は、労働人口の低下を招きます。

しかし、見方を変えれば、今までスポットライトが当たらなかった

働き方や働き手に道が開けるかもしれないということです。

 

今後は、多様化する働き手に合わせた職場改善や働き方、職場の

 

人間関係などが多様化する傾向になっていくのは間違いないでしょう。

そこに介在するのは、発展を続けていくITやAIなどの最新の機器です。

しかし、最終的には「人」に原点回帰するように考えています。

 

弊社では、今後も元気で働ける社会に貢献すべく、健康管理システム「ヘルス×ライフ」にてサポートを続けてまいります。

 

 

参考

総務省統計局HP 統計Today No.146「平成」は、どのような時代だったか? ~人口減少社会「元年」、非正規雇用、女性活躍、デフレ~

 

監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)