増加する有所見率
定期健康診断における有所見率は、全体の何割でしょうか?
厚生労働省の2017年の定期健康診断結果報告によると、受診者数は約1,360万人で、有所見率は5割を超えています。
この有所見率は、年々増加しているようです。
(資料出所:厚生労働省 「定期健康診断結果報告(2017年)」のデータを加工)
特定健康診査・特定保健指導の実施率
少し視点を変えて、特定健康診査・特定保健指導の実施率を見てみましょう。
まず、2017年度における特定健康診査の実施率です。
(資料出所:厚生労働省 「2017年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況」のデータを加工)
次に、同年度における特定保健指導の実施率です。
(資料出所:厚生労働省 「2017年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況」のデータを加工)
なお、全国健康保険協会の2015年度の実施率の低下は、不審通信への対処のため、約1年間、協会けんぽのシステムについて、ネットワーク接続から遮断したこと等によるものです。
健診結果のデータをシステムに効率的に登録することができず、初回面接の件数が大きく落ち込んだことが影響しています。
厚生労働省 「2017年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況」から、2017年度の特定健診対象者の総数は5,388万人になっています。
そのうち、53.1%が受診しているので、2,861万人が受診ということになります。
そして、特定保健指導対象者の総数は492万人となっています。
その対象者の19.5%にあたる約96万人が実際に特定保健指導を受けたことになります。
これまでの内容について、まとめると以下の通りとなります。
① 2017年度の定期健康診断受診者数は、約 1,360万人
② 2017年度の定期健康診断受診者のうち、有所見者の人数は約 735万人
③ 2017年度の特定健康診査の受診者数は、約 2,861万人
④ 2017年度の特定保健指導対象者数は、約492万人
⑤ 2017年度に実際に特定保健指導を受けた対象者は、約96万人
なお、③から⑤については、市町村国保、国保組合などの対象者も含まれています。
2017年度の全国健康保険協会の特定健診対象者数は1,671万人、うち、49.3%が特定健診を受診しているので、約823万人です。
2017年の健保組合の特定検診対象者数は1,235万人、うち、77.3%が特定健診を受診しているので約955万人、となります。
特定健康診査・特定保健指導は、40歳以上が対象です。
そして、定期健康診断は企業が実施責任をもち、特定健康診査・特定保健指導は保険者が実施責任をもちます。
職域で考えた場合、企業が実施責任を持つ定期健康診断の受診者数を、健保が実施責任を特定健康診査の受診者数を若干上回っているといえます。
再検査における大きな課題
さて、定期健康診断にしても、特定健康診査にしても、有所見者の方々の中には「要再検査」に該当する人が多くいます。
この「要再検査」という判定に対して、実際に再検査を受けるかどうかを本人の判断にゆだねた場合を考えてみましょう。
組織として再検査を勧奨することで、産検査実施率を向上させることができ、結果として疾病の発症を未然に予防することに大きく寄与します。
しかし、この「再検査の勧奨」は、企業に義務付けられているわけではありません。
また、特定保健指導のように国の施策として実施率向上に取り組んでいる内容でもありません。
そのため、実際には見落とされがちです。
健康診断で再検査の判定が出た方に対しては、確実に再検査をしてもらうことが重要です。
しかし、それを促す仕組みができていない企業が多くあります。
むしろ、コラボヘルスで企業と健保が一体となって取り組んでいる場合以外では、再検査を促す仕組みが構築されている企業は非常に少ないと考えられます。
健診を受診して、「要再検査」と記載された健診結果を受け取ると、その時は不安になりますが、特に自覚症状がなければそのままになってしまいがちです。
組織として、再検査を促す仕組み・システムを構築して、再検査受診率向上を目指していくことが社員・被保険者の病気の予防につながり、企業の生産性の向上に寄与します。
最後に
『誰が、再検査の勧奨を行っていますか?』
もし、この質問に対して、明確に答えることができない場合、再検査の勧奨の仕組化を検討することをお勧めします。
弊社が提供する健診管理システム『ヘルス×ライフ』では、健診受診者の中から有所見者、そして再検査対象者をソートして、メール等で自動的に再検査を勧奨することができます。