厚生労働省は、10月を「年次有給休暇取得促進期間」と設定しています。
今回は、年次有給休暇とは何か、年次有給休暇の計画的付与制度とは何かについて紹介します。
年次有給休暇取得促進期間
厚生労働省は、次年度の年次有給休暇(以下「年休」)の計画的付与について、労使で話し合いを始める前の時期である10月を「年次有給休暇取得促進期間」と定めました。
年次有給休暇(以下「年休」)を、取得しやすい環境整備を推進することが目的です。
労使に対する働きかけをはじめ、各種広報事業などを行っています。
来年度の業務計画などを作成するにあたり、従業員の年休の取得を十分考慮しましょう。
年休とは
年休は、労働基準法で定められた従業員に与えられた権利です。
労働基準法第39条において、従業員は、以下の条件を満たしていれば、10日間の年休が付与され、申し出ることにより取得することができます。
・ 6カ月間継続して雇われていること
・ 全労働日の8割以上を出勤していること
なお、勤続年数、週所定労働日数などに応じて年休の付与日数は異なります。
年休の確実な取得がスタート
2019年4月より労働基準法が改正され、法定の年休付与日数が10日以上の全従業員に対して、毎年5日間、年休を確実に取得させることが必要となりました。
しかし、これは最低基準であり、従業員に付与された年休は本来、すべて取得されるべきものです。
年休を取得することは、心身の疲労の回復などのために必要なことです。
また、仕事に対する意識やモチベーションを高め、生産性を向上させるとともに、企業イメージの向上や優秀な人材の確保につながります。
年休を取得しやすい環境を整えることは、企業にも大きなメリットとなります。
年休の計画的付与制度は、年休の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結ぶことで、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。
年休の計画的付与制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年休の取得率が高く、労働基準法を遵守する観点からも、年休の計画的付与制度の導入は重要となります。
各企業において、来年度の業務計画などの作成にあたり、従業員の年休取得を十分考慮するとともに、年休の計画的付与制度の導入を検討しましょう。
参考
監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)