すぐ活用できる! 職場改善につなげるコミュニケーションの取り方

こぶしを合わせるグループ

 

 

入社や転職、人事異動など、働く環境は日々変化します。

「まだ慣れない」と努力している人もいれば、「しっかり働くぞ」と職場に馴染んできた人もいるのではないでしょうか?

今回は、そんな職場ですぐに活用できる「人間関係を良好にし、職場改善につなげていくコミュニケーション」について紹介します。

 

 

人間関係の良好に必要なもの

 

人間関係を良好にし、コミュニケーションを活性化するのに必要なのは、「話す力」より「聴く力」です。

何故、「聞く」ではなく、「聴く」なのでしょうか?

 

「聴」という漢字の中には、「心」が入っています。

このことから分かるように「心をこめて聴く」ことが重要であると考えられるためです。

これを別の言い方で、「傾聴」といいます。

 

相手の気持ちに寄り添って、注意深く共感的に聴くことを心がけましょう。

誤解や勘違いを解消し、相手の考えや指示内容をより的確に理解できるため、良好な人間関係の構築につながります。

 

 

耳を傾ける女性

 

 

「聴く力」のポイント

 

ポイントとしては、以下の7点です。

日頃、意識して取り組めているかチェックしてみましょう。

 

・ 相手の話すスピードや、テンポ、リズム、声のトーン、表情、気持ちなどに合わせること

・ 話を聴くことに集中し、他のことを考えたり、他の行動をとったりしないようにすること

・ 話を聴くときの態度、表情に気をつけること

・ 自分の意見は横に置いて、相手の話を遮らず、最後まで聴くこと

・ 頭ごなしの否定をせず、まずは相手の気持ちに共感すること

・ 相手の話す体験と自身の体験を同一化したり、自分の体験に置き換えたりしないこと

・ 結論をすぐ出そうとせず、焦らず聴く態度を示すこと

 

 

 

 

聴く力は、生産性向上にもつながる

 

話し合うグループ

 

日頃から聴くことを大切にしている人は、コミュニケーションや手戻りのミスが少なく、職場関係が良いこともあり、残業時間が短くなる傾向があります。

また、そういったリーダーの職場も、生産性が高く、効率的に仕事を回しているように見えます。

 

あるリーダーはコミュニケーションの取り方について、次のように語っています。

 


 

私は、部下の話を遮らず最後まで、じっくり聴いている。

時には、時間をたくさん取られるし、何を言いたいんだと思うこともある。

 

でも、最後までじっくり聴くことで自分も解決策を考える時間ができる。

また、本人も聴いてもらったという満足感があり、結果、その後の仕事がスムーズに進む。

だから、話を最後まで聴く力はとても大切だと思う。

 


 

「部下の話をしっかり聴く」ことは、上司の大切な役目であることがいえます。

 

 

アサーションとは

 

皆さんは、自分自身の言葉で伝える時、どういったことに注意していますか?

 

一番重要なことは、「相手を尊重し、傷つけずに自分の意見をしっかり伝える」方法をとることです。

この方法のことを「アサーション」といいます。

 

アサーションは、自身の感情と行動の不一致や、自己表現が適切に行われていないことによる、他者との関係で生じるストレスの軽減に有効です。

また、人間関係を円滑にするだけでなく、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。

 

 

アサーションの例

 

アサーションは、伝え方の一つのスタイルともいえます。

そのため、少しトレーニング、練習をすることで実際に活用することができます。

基本は、「I(アイ)メッセージ」です。

 

例えば、誰かに嫌なことを言われた時や、叱責を受けた時を考えてみましょう。

そのまま黙ってしまうと、自分の中にストレスが貯まります。

しかし、言い方によっては、その人との人間関係に亀裂が生じます。

そんな時にアサーションを利用して、以下のように伝えてみましょう。

 

「私は、今あなたに○○と言われて、とても悲しい気持ちです」

 

この時、重要なポイントは3点です。

① 「私」を主語として話す

② 相手を責めることなく、自分の素直な気持ちや感情を伝える

③ 感情の部分を切り離して、客観的に第三者のように伝える

 

こういったことができるようになると、お互いにストレスを貯めることなく、コミュニケーションをとることが出来るようになります。

 

 

最後に

 

コミュニケーションは、一人ではできません。

相手がいてこそできることであり、相手がいるからこそ難しいことでもあります。

聴く力は7割、伝える力は3割」を心がけ、コミュニケーションをしてみましょう。

 

 

監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)