超高齢化社会に向けた在宅医療の推進と生きがい就労の創成 柏市 

柏市ロゴ

 

 

【柏市 秋山浩保市長へのインタビュー】

 

全国に先駆けて、超高齢化社会に向けて在宅医療の推進と生きがい就労の創成に取り組まれた柏市の秋山市長にインタビューをさせていただきました。

 

インタビューの様子

(柏市 秋山浩保市長(右)、勤次郎担当者(左))

 

 

取り組みの成功要因

 

【勤次郎】

柏市では全国の他のどの自治体よりも早く、在宅医療の推進のための仕組みを構築されました。

在宅医療の実現のためには、様々な人の理解と協力が必要であり、自治体としてこういった取り組みを推進するには多大な苦労が伴ったと思います。

最大の成功要因は何だったのでしょうか?

 

【秋山市長】

最大の成功要因は、やはり医師会の協力だと思います。

超高齢化社会への課題意識については、他の自治体も同じように持っています。

しかし人口が10万人を超えるような自治体では、行政だけでリーダーシップを発揮して、ドラスティックなことを推進しようとしてもなかなか実現できません。

その点柏市の場合は、医師会が協力してくれて積極的に推進してくれました。

行政はあくまで事務局として、医師会とうまく連携することができたことが重要な点だと思います。

 

【勤次郎】

在宅医療の推進にあたって、現在の課題は何でしょうか?

 

【秋山市長】

市民の期待に応えられる在宅医療を実現するためには、在宅医療に対応できる医師が今以上に必要だと感じています。

しかし、ただでさえ外来の患者さんの対応に忙しい医師の方が、患者さんを訪問して診察をするということになると、かなりのバックアップ体制なしには実現できません。

在宅医療に対応してくださる医師の方が増えるよう、今後は医師会との協力をさらに深めていきたいと思います。

 

 

働き世代へのアプローチ

 

【勤次郎】

柏市には、たくさんの働き世代の方々がいらっしゃいます。

健康寿命の延伸のためには、こういった働き世代への健康増進への取り組みも重要と思います。

働き世代へのアプローチについては、どのようにお考えでしょうか?

 

【秋山市長】

予防については、健康に関するデータを取り、それに基づいて指導するのが理想だと思います。

こういったことを実現するために、地域だけでなく職域も重要であり、なかなか自治体だけで取り組むことは難しいのではないかと思っています。

企業から住民の健診のデータをもらえると良いですが、なかなか現状ではそれは難しいのではないかと思います。

 

また、5年・10年といった単位でも健診データを取得し、保管している企業はまだ少ないと思います。

特に中小企業の場合、従業員の健診データまで管理するといったことに積極的なところは少ないと思います。

こういった点に関しては、将来的に「義務化」といった動きがなければなかなか進まないのではないかと感じています。

マイナンバーが導入され、今後マイナンバーに関連したデータの連携に関しては注視していこうと思っています。

 

今考えられる点としては、商工会議所との連携があります。

他の自治体の事例なども学びながら、取り組みを考えていきたいと思っています。

 

【勤次郎】

当社はIT企業なのですが、この分野でITに期待することはありますか?

 

【秋山市長】

医療の分野も徐々にシステム化され始め、各医療機関も、独自にシステムを導入しています。

しかし、それぞれの機関が別々のシステムを導入しているので相互の連携ができない状況にあります。

フォーマットを統一しようという動きは前からありますが、なかなか統一できていないというのが現状だと思います。

 

ITは必要ですが、使われ方が組織によって異なっていると思います。

「あるシステムで他のシステムのデータを利用しようとすると、毎回わざわざ打ち直さなければならない」、といった点を解決しない限り、有効に活用していくことは難しいと思います。

 

健康増進のためには、個人個人に一対一で働きかけることが必要だと思います。

その際、データに基づいて指導することができれば有効であり、今のウェアラブルなどの技術も重要と思っています。

今は、個人情報の問題があって、家族経由で働きかけることも難しいですが、「健康」を軸としてITを活用するしっかりとした枠組みが構築されると望ましいと思います。

 

【勤次郎】

本日はありがとうございました。