無理のない健康経営で従業員の健康をサポート 千秋技研

千秋技研ロゴ

 

 

千秋技研株式会社(以下「千秋技研」)は、昭和50年創業の機械設備メーカーです。

部品を取り付けるカシメという製品の製造・開発技術に強みを持ち、汎用のスピンカシメ機や

顧客の専用ラインに設置する設備としてのカシメ機を含め、自動車メーカーや自動車部品メーカー

を中心とした多数の顧客に製品を納入しています。

 

愛知県丹羽郡大口町に本社、秋田県に事業所があり、社員数は合計で54名(2018年3月時点)となっています。

 

カシメ機

(写真出所:千秋技研 MIRAスピンカシメ機 カタログ)

 

コーポレート・アイデンティティであるMIRATECHは、MIRAI(未来)或いは、

MIRACLE(奇跡、驚くべき)とTECHNOLOGY(工業技術)を表す造語です。

 

設計から加工、組立、試運転まで、ほぼ全ての工程を自社で行い、固定観念に

とらわれない独創性豊かな製品を生みだしています。

 

2016年10月には、ハシダ技研工業株式会社と資本業務提携を行い、ハシダグループの一員となりました。

ハシダグループは大阪に本社をおくハシダ技研工業株式会社を中核企業としています。

金型、プレス、ガスタービン、自動車部品、自動ドア、電子部品、一般機械製造など

様々なモノづくりに関わる企業・工場からなっています。

 

ハシダグループには、橋田塾という人材育成の制度があり、25年間続いています。

千秋技研も、ハシダグループの一員となり、橋田社長より直接指導を受けています。

橋田社長は毎週大阪から愛知県丹羽郡大口町を訪れ、ハシダ塾を開催しています。

 

千秋技研の社是

(図出所:ハシダグループカタログ)

 

 

健康経営の取り組み

 

千秋技研は、千秋技研健康づくり担当者3名(専務、経営管理グループ2名)が中心となって、様々な健診を行っています。

例えば、定期期健康診断、生活習慣病健診、がん検診といった健診

(可児とうのう病院 健康管理センター・伊藤整形・内科検診センター・秋田県中央検診センター)の他に、

協会けんぽ愛知支部の保健師・管理栄養士、地域産業保健センターの産業医の4つの体制で、

社員の健康管理をサポートしています。

 

特別なことではなく、基本から」という考え方で健康経営を進めてきました。

結果、2017年2月には、千秋技研として、日本健康会議より健康経営優良法人(中小規模法人部門)

の認定を受けました。

 

また、同年7月には協会けんぽ愛知支部より健康取組優良事業所の認定(金賞)を受けました。

 

認定証

 

金賞

 

 

千秋技研健康づくり担当者として社員の健康管理サポートに取り組まれている経営管理グループの

お二人(以下 あわせて「千秋技研」と記載します)にインタビューさせていただきました。

 

 

健康経営への取り組みのきっかけ

 

【勤次郎】

健康経営への取り組みのきっかけを教えていただけますか?

 

【千秋技研】

協会けんぽ愛知支部から、特定保健指導の案内が来たことがきっかけです。

 

もともと設計者が多い職場で、座りっぱなしの社員が多く、

また平均年齢も40歳を上回っています。

 

そのため健康診断の結果もあまり良くない社員がいました。

ただし、従来は健康診断の結果は本人への通知のみで会社としての

対策は何も出来ていませんでした。

 

協会けんぽから特定保健指導の案内が来たことがきっかけで、協会けんぽの

保健師に電話をして、初めて特定保健指導の制度のことを知りました。

その時、協会けんぽが、対象者に対して6か月間無料で特定保健指導をしてくれる

ということを伺ったので、早速当時の社長に相談しました。

 

就業時間中に面接をすることを社長に許してもらい、対象者6人に対して

協会けんぽの保健師に健康相談をしてもらいました。

その時に、保健師から、無理のないところから始めましょう

という話を対象者にしてもらいました。

対象者が「やります」ということだったので、そこから6か月間の

特定保健指導が始まりました。

 

その結果、驚くことに翌年の健康診断では6人中3人の健康状態が明らかに改善しました。

特別なことではなく、ウォーキングなど無理のない範囲で続けたところ、

体重がどんどん改善し、周りからもやせたといわれるようになりました。

 

協会けんぽの特定保健指導は無料なので、すごくいいなということになり、

それから毎年続けることになりました。

 

 

 

 

特定保健指導の効果

 

【勤次郎】

特定保健指導は、何年くらい続いているのですか?

 

【千秋技研】

特定保健指導を始めたのは平成26年度(2015年)なので、今年(2018年)で4年目です。

その間に健康状態が改善して保健指導を卒業した社員もたくさんいます。

 

例えば、ある保健指導の対象となったある社員は、体重が100㎏以上ありました。

そこで、特定保健指導で毎日食べ物を書いたり、運動をしたりという活動を地道に

続けた結果、89㎏にまで減って健康状態も良くなり、薬も飲まなくてもよいくらいまでになりました。

その社員は、何十年ぶりに体重が100㎏を下回ったとのことです。

 

【勤次郎】

特定保健指導の効果が、目に見えて現れたのですね。

 

【千秋技研】

やる気のある対象者には、「攻めの予防」のような雰囲気も出てきました。

例えば社員の方から保険委員に対して「体重計を用意して欲しい」という要望が出てきました。

 

また体重を毎日はかったり、運動の内容を紙に書いてくれたりといったことを

自発的にやるようになった社員もいます。

 

 

健診受診率100%を達成

 

【勤次郎】

健診受診率はどうですか?

 

【千秋技研】

健康診断の予約や日程変更を会社で行うようにして生活習慣病健診

を含めて、受診率100%となりました。

また、子宮頸がん、乳がん検診を健康診断の日に合わせて実施し、子宮頸がんは

会社負担、乳がん検診も一部会社負担になりました。

 

社員の健康を会社がサポートするという環境があるということだけでも、とても大切なことであると思います。

 

【勤次郎】

お二人は、健康管理担当以外にも業務があるのですか?

 

【千秋技研】

大企業ではないので、健康管理専任というわけにはいきません。

それぞれ経理、システムといった日常の業務を抱えている中で、保険委員としての活動を行っています。

 

二人ともどちらかと言えば社員から相談を受けるような部門ではなかったのですが、

健康づくり担当として社員の健康管理をサポートするようになってから、

社員が様々な相談をしてくれるようになりました。

 

 

コミュニケーションの活性化

 

【勤次郎】

これまで一人で課題を抱えていた人が、組織内で相談できるように

なったこと自体、大きな効果ですね。

 

【千秋技研】

社員同士も、これまであまり声をかけたりしなかった間柄でも、様子が悪いと

声をかけあったりなど、そういうお互いの健康を気遣う雰囲気が出てきました。

 

また、協会けんぽの企画するフットサル大会にも、社員の従業員の健康増進施策の

一環として期間限定で始めました。

 

協会けんぽのフットサルは、メンバーに50歳以上が必ずいなければならないとか、

世代や年齢がチーム内でバラバラになるように工夫されています。

当社も部署の壁、年齢の壁を越えてメンバーが集まりました。

 

フットサルチームのメンバー間では、みんなで声をかけあったり、一緒に旅行に

行ったりすることで、これまでなかったコミュニケーションが生まれました。

 

【勤次郎】

健康経営がきっかけで、社員同士の風通しも良くなったのですね。

 

【千秋技研】

協会けんぽの保健師の方がよかったです。

女性なのに重たい体重計を毎回もってきてくれたり、社員の気持ちをよく理解してくれようとしたり、

そういった姿勢が社員のやる気を起こさせてくれたのだと思います。

 

当社の技術は、スペシャリストである社員の方々によって支えられています。

そういった人たちが健康でいてくれなければ、事業としても成り立たなくなってしまいます。

健康経営の取り組みは、その観点でも重要だと思います。

 

【勤次郎】

社員の方々のやる気は、続いているのですか?

 

【千秋技研】

健康維持のためには継続することが重要で、いかに継続してもらうかという点でも

会社のサポートが必要だと思っています。

 

当社では、年に1回の社員表彰の時に、健康診断の結果が良かった人を

表彰するといったことも行っています。

例えばタバコをやめた人とか、特定保健指導の結果健康状態が改善した人も

社員表彰の対象になります。

 

また、昼食へのヘルシー弁当の導入や、毎朝の朝礼前にラジオ体操を行うといったことも実施しています。

 

【勤次郎】

こういった取り組みのアイデアは、どのように生まれているのですか?

 

【千秋技研】

専務含めた3名の健康づくり担当者が月2回、健康会議を開催しています。

健康会議では、強制ではなく、社員が自発的に健康への取り組みをする気になるために、

会社としてどのようなサポートをすればよいかということを話し合っています。

 

今、課題になっているのが喫煙です。

愛煙家の方々にしてみれば、「分煙しているし、決められた時間で吸っているから何が悪いんだ」

という気持ちがあります。

 

協会けんぽのセミナーに出たりしながら、自発的に自らの健康のために禁煙に取り組もうと

思ってもらうためには、どういう方法があるか、アイデアを出し合って検討をしています。

 

 

ストレスチェックも積極的に

 

【勤次郎】

心の健康についても、何か取り組まれていますか?

 

【千秋技研】

当社は愛知と秋田に拠点があり、事業所としてはそれぞれ50名以下ですが、ストレスチェックを行っています。

 

また地域産業保健センターの産業医の先生に来ていただき、工場を循環していただいています。

地域産業保健センターについては、最初は有料で産業医の先生の紹介してもらうつもりで

コンタクトしたのですが、50名以下の事業所の場合は無料ですよ、と教えていただいて大変助かっています。

 

ストレスチェックについては当社独自でやっていますが、結果に応じて地域産業保健センター

の産業医の先生に相談してみようかと思っています。

 

また、地域産業保健センターの人には、管理職向けのラインケア研修をしていただきました。

2時間半の時間をかけて、部下と上司との関係についてシミュレーションを含めた講習会

をしていただきましたが、それも無料ということで、大変助かりました。

 

【勤次郎】

大きな投資をするのではなく、協会けんぽや地域産業保健センターといったリソースを使いながら、

健康づくり担当者の方々の熱意と会社のサポートによって実現している健康経営ですね。

 

【千秋技研】

無理のない健康経営だと思います。

このやり方ならば続けられるし、続けていれば社員の健康状態としても、

組織としても良くなっていくと思います。

 

【勤次郎】

本日はありがとうございました。