リンナイ株式会社は、大正9年(1920年)に「林内商会」として創業しました。
創業以来、「熱を通じて快適な暮らしを社会に提供」することを企業使命として、「安全・安心」「快適性」「環境性」を
キーワードに、コンロ・炊飯器などの厨房機器、給湯器・ふろがまなどの給湯機器、ファンヒーター・ストーブなどの
空調機器、食器洗い乾燥機やレンジフードなどのキッチン周り商品、温水暖房システムを使用した床暖房や浴室暖房乾燥機
など、顧客の多様なニーズに応える商品を提供してきました。
リンナイ株式会社は創業より培ってきたモノづくりの技術を強みとして、燃焼・熱利用技術、電子制御技術、
流体制御技術などのコア技術を高め続けるとともに、重要部品を内製化し続けて製品に対する高い信頼を築いてきました。
日本国内のみならず、アメリカ、中国、オーストラリア、韓国、インドネシア、ブラジル、イタリアなど世界各国で、
それぞれの生活文化・気候条件・エネルギー事情に最適で高品質な熱エネルギー機器を開発し提供しています。
また、近年では、電気とガスを組み合わせて世界トップレベルの省エネ性と快適な暮らしを両立する
ハイブリッド給湯・暖房システムや、浴室のヒートショック対策に役立つ浴室暖房乾燥機、室内で洗濯物を
乾燥させる衣類乾燥機といった様々な社会課題解決に貢献できる商品、そしてCO2排出量の削減や省エネに
貢献する環境性能の高い商品を生み出しています。
このように、リンナイ株式会社は、「熱と暮らし」「品質」「現地社会への貢献」の3つのこだわりを
継承しながら、総合熱エネルギー機器メーカーとして世界の人々の暮らしと地球環境に貢献すべく取り組んでいます。
※上記内容は「リンナイ株式会社 企業理念」等を参考に、弊社が作成しています。
3年連続で「健康経営銘柄」に選定
リンナイ株式会社は2016年、2017年、2018年に経済産業省と東京証券取引所が主催する「健康経営銘柄」に選定されています。
リンナイでは、グループ倫理綱領や人事部の経営計画書に従業員の健康の保持・増進に関する方針を明文化しています。
人事部には専任部署(厚生健康チーム、健康支援室)を設置し、健康保険組合・従業員組合・会社の三位一体で、
従業員の健康づくりの活動を進めています。
◆メンタルヘルス対策
セルフケアセミナー(全社員向け)、ラインケアセミナー(管理・監督者向け)、
スタッフケアセミナー(保健スタッフ向け)など、職能レベルに応じたメンタルヘルスセミナーを実施しています。
また、ストレスチェック受験率95%以上を目指した取り組みも進めています。
◆生活習慣病対策
糖尿病や高血圧の未治療披保険者に対して、重症化予防指導を行っています。
また、スポーツフェスティバルやウォーキングフェスティバルなどのイベントも開催しています。
◆メタボリックシンドローム対策
メタボリックシンドローム脱出率前年対比5ポイント向上を目指し、特定保健指導を35歳から実施しています。
※上記内容は「リンナイ株式会社 ニュースリリース」より引用しています。
リンナイ株式会社は、従業員およびその家族の健康保持増進のために、リンナイ健康保険組合と連携して
「健康診断の100%受診と要所見者の産業医面談および保健師による面談」を推進するとともに、
「メンタルヘルス研修」の開催や、様々な「特別検診等(人間ドック、がん検診)の支援」、
「体力増進スポーツイベントの紹介と費用支援」を積極的に行っています。
また、2017年3月~4月には従業員組合と連携して、およそ1,200名の従業員を対象に
「介護に関する実態調査アンケート」を実施しました。
その結果を踏まえて、2017年8月に介護セミナーを開催しました。
※上記内容は「リンナイ株式会社 社会環境報告書」より一部引用しています。
コミュニケーションとワークライフバランス
リンナイ株式会社では、「明るく働きがいのある風土づくり」と、従業員の健康促進・安全維持の
ための「職場環境づくり」を進めています。
また、全従業員が個々のライフスタイルに応じて、仕事と個人の生活を調和させながら、自分らしく
「やりがい」と「充実感」を持って活躍できるように、生涯にわたり従業員を支援できる人事制度の充実に取り組んでいます。
従業員が「リンナイで働いてよかった」と思える職場環境、風土づくりを目指して、各職場から会社に対する意見を
確認し改善していくことを目的に、従業員組合と労使協議会を定期的に開催しています。
リンナイ従業員組合では特に「人と人のつながり」を大切にした活動を推進しており、従業員だけでなく家族にも、
「リンナイで働いてよかった」と感じてもらえるような活動を目標に、職場見学会などの取り組みも行っています。
※上記内容は「リンナイ株式会社 ワークライフバランス」より一部引用しています。
健康経営への取り組みについて、リンナイ株式会社 管理本部 人事部とリンナイ健康保険組合
(以下 あわせて「リンナイ」と記載します)にインタビューさせていただきました。
創業当初からあった健康への意識
【勤次郎】
「明るく働きがいのある風土づくり」、従業員の健康促進・安全維持のための「職場環境づくり」など、
以前から会社の成長と従業員の幸せを一体として取り組まれてきたことが良く分かります。
社員の健康増進を経営の視点から重視し始めたのはいつ頃からなのでしょうか?
【リンナイ】
当社は1920年の創業時には町工場としてスタートしています。
小さな町工場でしたから従業員は全員、家族のような感覚であり、もし誰かが病気になれば会社全体の
問題として、当たり前のように全員で気遣ってサポートしていたと聞いています。
企業規模が大きくなって、従業員の数が増えてからも、従業員一人ひとりを家族のように
大切に思うという社風については、ずっと引き継がれていると思います。
1970年代にリンナイ健康保険組合が設立されてからは、従業員だけでなく、
従業員の家族も含めて、健康で楽しく過ごしてもらいということで、当社と健康保険組合と
従業員組合が三位一体で取り組んでいます。
【勤次郎】
健康経営を意識して特別な取り組みを開始したというよりも、むしろ、会社の文化のような形で、
従業員と従業員の家族の健康を大事にするという考え方が根付いているのですね。
【リンナイ】
もちろん、健康経営は意識しています。
ただし、今の当社の健康経営への取り組みが高い水準にあるとは決して思っていません。
従業員の中で誰かが病気になれば、その都度制度を振り返って、見直せる内容はないか検討をしてきました。
これからもそういったことを繰り返して、当社の従業員にとってより働きやすい環境を
作り上げていくことが必要だと思っています。
【勤次郎】
「都度、制度を振り返って、見直す」とのことですが、そういった社内での仕組みがあるのでしょうか?
【リンナイ】
例えば、当社では定期的に各種リスクについて協議する会議が開催され、これには経営層も参加します。
この会議では災害など含めたあらゆる事業上のリスクを取り上げて検討するのですが、
ほぼ毎回の様に従業員の健康に関連した議題があがります。
【勤次郎】
従業員の健康について、会社として重要度が高いということがよく分かります。
経営層含めて定期的に議論されて、都度必要に応じて制度を見直されているのですね。
そういえば、貴社では特定保健指導が35歳から対象になっていて、対象年齢が
法定の基準よりも早いと思います。
確かに、健康状態の悪化を防ぐためには予防が重要であり、予防への取り組みは
早ければ早いほどよいと思います。
その一方で、30代では、まだそれほど本人の健康意識は高くないのではないでしょうか?
【リンナイ】
本人が積極的でない場合は、その部署の上司にも協力を依頼します。
例えば、「今、この仕事があるから特定保健指導に行けない」と本人が言ったとしても、
上司から「行ってこい」と言われたら一度は来てくれます。
一度来てくれれば、本人の意見も聞いて、しっかりと話をすることができます。
【勤次郎】
上司によっては、考え方が違う場合もあるのではないでしょうか?
【リンナイ】
会議(各種リスクについて協議する会議)で検討された内容は、工場長や各事業所のトップも共有できています。
なので健康を大事にするという考え方は、上長クラスは全員持ってくれていると思います。
そのため、人事としてもすぐに上長に協力を依頼しますし、どの上長も
当たり前のように「行ってこい」と言ってくれますね。
ただし、特定保健指導などを、全国に約100拠点ある支店・営業所まで含めてすべて対応
できるかというと、どうしても支店・営業所は手薄になってしまうので、そこが今の課題と言えます。
海外拠点では・・・
【勤次郎】
貴社は海外にも多数拠点展開されていますが、海外拠点の方はどうなのでしょうか?
【リンナイ】
海外は全く別です。
海外では現地の会社として、現地の考え方で経営をしています。
海外のパートナーも、最初は従業員数人という規模から始まり、現地の市場で現地の
従業員とともに成長してきた会社です。
なので、日本での考え方と海外のパートナーの考え方を同一で考えることはできません。
【勤次郎】
資本関係があっても、海外拠点や海外子会社という考え方ではなく、パートナーなのですね。
【リンナイ】
1970年代から一緒に取り組んでいる企業も多く、生産会社であっても販売会社であっても、
どの会社も当社にとって大事なパートナーです。
現地のリンナイは、リンナイを自分の国の会社だと思ってくれています。
そのため、当社からの駐在員の数はすごく少ないです。
もちろん技術支援等を長期出張で行うことはありますが、基本的には現地の経営者が、
現地の従業員を雇用して経営しています。
一方で、考え方が合わない為に関係が続かなかった事例もあります。
逆に、長い間一緒に取り組んでいるパートナーは、現地の従業員と一緒に成長してきた会社なので、
当たり前のように従業員を大切に思っているのではないかと思います。
それぞれの立場での役割
【勤次郎】
リンナイ株式会社人事部、リンナイ健康保険組合、リンナイ従業員組合、それぞれの
立場で取り組んでいると思います。
どのように役割分担をされているのでしょうか?
【リンナイ】
従業員の声を聞くために従業員組合を通じてアンケートを行ったり、従業員組合が研修を行ったり、といった形で、
実施主体がそれぞれ異なることはありますが、基本的には会社も、健保も、組合も向いている
方向は同じであり、三位一体で取り組んでいます。
従業員が、健康で、やりがい・働きがいをもって活躍するために、常によりよい環境を目指していく
という点では、立場の違いはありません。
【勤次郎】
育児休業、子の看護休暇、介護休暇、再雇用(カムバック)制度など、制度面も充実されていて、ラジオ体操や
スポーツフェスティバルなどの運動、セミナー・研修、健診の充実、特定保健指導、健康訪問など、
様々な取り組みも推進されていますが、それだけでなく、常に、「会社全体で従業員が働きやすい環境に改善していこう」
という現場力を感じます。
【リンナイ】
カムバック制度も、かつて一緒に働いていて理由があって退職された、ある特定の方に会社に
戻っていただくことをきっかけとして作った制度です。
そういった意味では、制度ありきではなく、従業員のために何が必要か、という考え方が先にあることは確かです。
だからこそ、今の制度や取り組みが十分な内容であるとは思っておらず、今後も
必要に応じて見直しが必要であると思っています。
健康経営の推進においても、これからも見直し、改善していかなければいけないことは
まだ沢山あると思っています。
【勤次郎】
従業員の中には、健康意識の高い方もいらっしゃれば、そうではない方もいらっしゃると思います。
健康意識の高い方も、低い方も、全ての従業員、そして家族も含めて、会社・健保組合・従業員組合が
三位一体となって、全体を底上げして、よりよい環境を常に追求していこうという貴社の考え方が大変良く分かりました。
本日はありがとうございました。