佐久間特殊鋼株式会社は、特殊鋼の販売を目的として1951年名古屋市に設立された特殊鋼の総合コンサルティング商社です。
半世紀以上にわたり特殊鋼の販売・提案を行ってきた商社機能と、時代の変化の中で高度化する顧客の要望に
応える中で培ってきたメーカー機能を兼ね備えた特殊鋼のスペシャリストとして、自動車業界をはじめ
工作機械、建設機械、環境・医療など多岐にわたる業界で活動しています。
愛知県名古屋市にある本社以外に、愛知県内の東海支店、西尾支店、静岡県磐田市の浜松支店、
三重県いなべ市の三重支店、茨城県結城市の関東支店といった支店があります。
また、タイ、中国、インドネシアにそれぞれ海外現地法人があります。
2000種類以上の鋼材アイテムを取り扱い、またパートナー企業と連携して高品質な加工品を納入します。
国内外の顧客からは、ワンストップで部品を調達でき、かつトレーサビリティを確保できる
佐久間特殊鋼のソリューションについて高い評価を得ています。
佐久間特殊鋼は、「健康経営優良法人2018(大規模法人部門)」の認定を受けたホワイト500認定企業です。
佐久間特殊鋼株式会社にて、健康経営の推進の実務を担当されている総務企画グループ総務チーム
(以下 「佐久間特殊鋼」と記載します)にインタビューさせていただきました。
健康経営への取り組みのきっかけ
【勤次郎】
健康経営への取り組みのきっかけを教えていただけますか?
【佐久間特殊鋼】
当社はISO9001とISO14001の認証を受けていますが、認証取得時にIMS基本方針として
「特殊鋼の素材から加工品の供給を通じて、お客様との共存共栄をはかるとともに、次世代に引き継ぐべき
健全な地球環境の保護を企業の重要な役割と認識し、社会の発展に貢献する」という内容を定めています。
企業理念として、「すべてはあなたのために~All for you~」を掲げ、社員、家族、お取引先様などすべての人が
健康で、物心共に豊かに幸福になることを目指してきており、地域貢献や社会との共存共栄に取り組んできました。
そういった流れの中で、8年程前から、特に社員の健康やライフワークバランスの推進を意識するようになりました。
【勤次郎】
「共存共栄のために社員の健康は不可欠」ということですね。
例えば、「社員が健康でないと、お客様に満足していただく事業を提供できない」のような・・・。
【佐久間特殊鋼】
当社では企業主導型保育所の運営をしていますし、関連企業がイングリッシュプリスクールの経営も行っています。
しかし、こういった事業は、収益だけを目的としているのではなく、「次世代につなげる」
という基本理念を実現するための具体的な取り組みの一つです。
事業を通じて、社会との共存共栄のための交流が現実に生まれています。
健康経営についても、社員の健康はもちろんのこと、社員一人ひとりにイキイキと
働いてもらうことがもちろん一番大切ですが、社内的なものだけではありません。
例えば、今後は「健康経営にしっかりと取り組んでいる企業と取引をしたい」といった
社外的な意味合いが出てくる可能性もあると思っています。
充実した健診
【勤次郎】
8年前から、健康経営を意識されていたということは、健康経営優良法人認定制度よりも前から取り組みをされていたのですね。
【佐久間特殊鋼】
もともと、健診に関しては会社として非常に充実していました。
10年以上前から35歳以上の社員は、全員人間ドックの対象であり、
2年に1度は脳ドックの会社補助も実施しています。
その他、一部の腫瘍マーカー(PSA検査)、乳がん、子宮がんの検診や胃カメラ、
ピロリ菌検査も全額会社補助にて行っています。
【勤次郎】
すごく充実していますね。
【佐久間特殊鋼】
実際に、腫瘍マーカーで社員のがんの早期発見につながったという事例があります。
投資金額は決して少なくないですが、健診を充実させることは重要だと思っています。
ただ、健診は社員の100%が受診していますが、有所見者の再検査受診率が低いことが問題でした。
そこで3年程前に、役員会で再検査の受診率を50%以上にするという目標を発表したところ、
役員からは「100%以外あり得ない」とすごく怒られました。
それからは、職場の上長も巻き込み、対象社員一人ひとりをケアして、再検査を受けるよう促しています。
あと、病気になる前の一次予防が重要だということで、10年前から
インフルエンザの予防接種を社内で就業時間内に実施しています。
インフルエンザの予防接種は、全額会社補助ではなく、自分の健康管理に自発的に取り組む
という意識づけの理由から、社員にもワンコイン500円を負担してもらっています。
また、一次予防に関連が深いという口腔内の健康維持の為、歯科健診についても、
2年前から歯科医師の先生に会社に来ていただいて就業時間内に実施しています。
全社員一丸で健康経営
【勤次郎】
再検査100%は大変ですね。
100%健診受診という動きは広がってきましたが、再検査100%を目指す企業には、はじめてお会いしました。
【佐久間特殊鋼】
トップが健康経営を会社の方針として打ち出しているので、
「全社員一丸となって健康経営に取り組む」という雰囲気はあると思います。
例えば、数年前、社員が自発的にラジカセを持ち込んで、就業時間前に数人でラジオ体操を始めました。
そこで、全社に放送が流れるように会社側で放送設備の投資をして、どの職場でもラジオ体操できるようにしました。
もちろん参加は任意なのですが、今ではラジオ体操をほぼ全社員で行っています。
また、生活習慣病予防の為、BMIを適正化するといった取り組みを始めたところ、
各拠点にQCサークルを立ち上げて、それぞれ成果を競う、という活動が立ち上がりました。
そこで、会社としても全拠点に、血圧計と体組成計を設置しました。
また、社内に健康推進コーナーを設置し、エアロバイクを設置しました。
エアロバイクをこぎながら、上司と部下が打ち合わせをしているといった光景も見ることができます。
【勤次郎】
確かに、一次予防にしっかりと取り組まれていますね。
【佐久間特殊鋼】
2017年からは、ロコモティブシンドローム対策も始めました。
健康を維持して、できるだけ長い間働いていただくためにも、早い段階からロコモ対策は重要と思い、
簡単な計測をして、その後運動指導するといったメニューで実施しました。
全社員で取り組みましたところ、若い人にとっては内容が簡単すぎたようで、若い人もチャレンジできるハードなメニューも加えようと思っています。
社員喫煙者ゼロへの挑戦
【勤次郎】
ホームページを拝見すると、「社員喫煙者ゼロへの挑戦」とありますね。
【佐久間特殊鋼】
最初は、「業務時間中は禁煙」から始めましたが、2017年からは昼休みも禁煙にしました。
さらに、全社員の名刺に「完全禁煙宣言」と入れています。
お客様と名刺交換をする際に、名刺に「完全禁煙宣言」と記載されているので、
喫煙者も自ら禁煙を表明していることになります。
この名刺の「完全禁煙宣言」は、さすがに当初、一部社員には抵抗感もあったようです。
しかし、一丸となって取り組むべき会社方針であることをあらためてトップより発信することで、
今は誰も反対することなく、名刺には「完全禁煙宣言」の文字が入っています。
さらに2018年からは、朝出勤してから夕方退勤するまでは、たばこを持ち歩くことも禁止にしています。
【勤次郎】
本当に社員喫煙者ゼロを目指して、徹底的に取り組まれていますね。
【佐久間特殊鋼】
社員を苦しめるのが目的ではなく、社員にも、その家族にも幸せになってもらいたい
という気持ちで取り組んでいます。
もし「健康経営のための禁煙だ」という内容だったら、誰もついてこないと思います。
「あなたやあなたの家族の健康のための禁煙だ」というメッセージが伝わった結果、社員がついてきてくれていると思います。
また、理念を共有するために「佐久間フィロソフィ」という冊子を作成して、全社員に配っています。
社員も基本理念を理解して、会社方針に一体となって取り組んでくれています。
【勤次郎】
本日はありがとうございました。