項目が多いだけではない? ストレスチェック80項目を薦める7つの理由

ストレスチェックイメージ

 

 

2015年12月から、ストレスチェックが従業員50名以上のすべての事業場で義務化されました。

 

ストレスチェックポスター

 

多くの企業は、厚生労働省のマニュアルに従って職業性ストレス簡易調査票(以下、57項目)で

実施したケースが多いのではないでしょうか?

 

また、実際にストレスチェック実施までにかかる準備期間や、実施後の医師面接等の

フォローまで含めると、当初想定した以上の時間を費やした企業もあるのではないでしょうか?

 

もちろん、投資には必ずリターンがあります。

ストレスチェックは、かけた手間、そして大事な社員のメンタル不調を未然に防止したい

という思いの分だけ、いつか必ず、結果として現れます。

 

ストレスチェックにお金も時間も費やしたのに、何も成果がなかったと思われている

企業もあるかもしれませんが、効果は長期的に現れてきます。

ぜひ焦らずに、取り組み続けていただきたいと思います。

 

さて、「今までのストレスチェックをさらに充実させたい!」という声に対し、弊社で

お薦めしているのが、「新職業性ストレス簡易調査票(以下、80項目)」です。

何故、80項目が良いかというと、後に記載する7つの理由があるためです。

 

 

項目数が増えても回答時間はほぼ同じ

 

57項目の受検には、平均的に10分~15分の時間を要します。

80項目は、質問項目が増える分だけ受検者の負担も増えることになりますが、

一般的には15分~20分あれば十分すべての質問に回答することができます。

 

80項目にすると、「受検者が嫌がるのでは?」という懸念を持たれる方もいらっしゃると思います。

ところが、もともと10分~15分の時間を費やしていたところ、5分~10分の時間が

増えても受検者の方の抵抗感はあまり大きくないようです。

 

 

57項目の質問がすべて含まれている

 

「57項目と80項目は、全く異なるストレスチェックの調査票なのか?」というと、

必ずしもそうとは言い切れません。

 

80項目の質問項目には、57項目の質問が全て含まれています。

すなわち、80項目でストレスチェックを受検すれば、

80項目に基づく帳票だけでなく、57項目に基づく帳票も結果として得ることができるということです。

 

一度、80項目で受検しておけば、それぞれのメリットを生かしたフィードバックを

実施者から提供することが可能といえるのです。

 

 

 

 

組織の課題を見つけやすい

 

57項目では、心身のストレス反応ストレッサー(ストレス要因)、そして緩衝要因(周囲のサポート)という

3つの要素から個人のストレス状態を把握することに重点に置いています。

一方、80項目は、集団的分析によって組織レベルでの状態を把握することに重点を置いています。

 

57項目の受検によって得られる組織レベルの分析では、「仕事のストレス判定図」があります。

仕事のストレス判定図からは、「職場の仕事量とコントロール」と「上司の支援と同僚の支援

という組織の状態を分析することができます。

 

80項目を受検すると、仕事の負担だけでなく、作業レベル、部署レベル、事業場レベルでの分析が可能です。

組織の課題が仕事の量や質にあるのか、キャリア形成、人事評価にあるのか、仕事の分担の仕方にあるのか等、

具体的に把握できればそれに応じた対策を講じることができます。

 

 

組織の良い点を把握できる

 

80項目では、個人のストレス状態以外に様々な組織レベルでの分析を行うことができます。

そのため、組織の課題だけでなく組織の強みを把握することもできます。

 

例えば、80項目の尺度である「上司の公正な態度」「ほめてもらえる職場」「失敗を認める職場」

「経営層との信頼関係」「変化への対応」「個人の尊重」「公正な人事評価」などの平均点が高い

職場については、ストレス要因があったとしても組織として対応ができる職場といえるかもしれません。

 

それぞれの尺度によって、平均が高い尺度もあれば低い尺度もあります。

組織の課題だけでなく強みも把握し、組織の強みをさらに活かすというアプローチを

講ずることができれば、メンタル不調を未然に防止できます。

また、メンバー一人ひとりのパフォーマンスも向上させることも可能かもしれません。

 

 

ワーク・エンゲージメントを測定できる

 

80項目の尺度には、ワーク・エンゲージメントも含まれています。

メンバーが働きがいをもって日々業務に従事しているかどうかは、組織の生産性を測る上で大変重要な尺度です。

 

昨今、ES(Employee Satisfaction/従業員満足度)ということも言われるようになっています。

メンバーがいきいきと働く職場は、コミュニケーションも活発でチームワークもよく、

メンバー一人ひとりがストレスを抱えにくい職場であると考えられます。

 

また、ワーク・エンゲージメントの高い職場は組織へのロイヤリティが高く、組織とそのメンバーの

向かう方向が一致しやすい職場になるといわれています。

 

現在、自社または自部門のワーク・エンゲージメントを把握できている組織はどれくらいあるでしょうか?

もし、自社もしくは自部門のワーク・エンゲージメントを測ってみたい場合は、ぜひ

80項目を採用していただきたいと考えています。

 

 

セルフケアだけでなくラインケアにも役立つ

 

メンタル不調を未然に防止する為には、セルフケア、ラインケア、産業保健スタッフによるケアが大切です。

57項目を受検した方は、心身のストレス状態とストレス要因を把握し、ストレッサーを

マネジメントする方法を身に着けることができれば、メンタル耐性を高めることができます。

 

80項目ならば、そこから一歩進んで、さらに組織としてメンタル耐性のある労務環境を構築することができます。

組織の課題、組織の強みを把握して、組織内あるいは組織の外のリソースも活用しながら、

よりメンタル不調が起きにくい職場、そしてより高いパフォーマンスを実現できるための

職場づくりを行う為のラインケアを実施してみてはいかがでしょうか?

 

 

具体的なアクションにつなげるツールがある

 

「80項目でストレスチェックを実施して、受検者へのフィードバックを行って、

組織の課題や強みも把握できたけど、その先は?」と、思われる方もいらっしゃると思います。

 

実際に課題を把握しただけで、アクションに結びつかなければ何も改善されません。

そんな方はぜひ、「職場環境等改善のためのヒント集」をご活用ください。

組織の課題に応じて具体的にどのようなアクションを講ずると有効か、手引きが掲載されています。

 

また、その為のアクションリストも提供されています。

厚生労働省のホームページ「こころの耳」や東京大学大学院医学系研究科の

運営する「健康いきいき職場づくりフォーラム」からリストを入手することができます。

 

 

最後に

 

以上、80項目をお薦めする7つの理由をご紹介させていただきました。

 

80項目は、新職業性ストレス簡易調査票の「短縮版」であり、標準版は120項目です。

120項目で実施すればさらに詳細な分析ができる反面、受検者の負担が増えることになります。

しかし、80項目より詳しく分析が出来ることは言うまでもありません。

 

まず、80項目で実施してみて、受検率が下がらなければ次回、120項目で実施してみてはいかがでしょうか?

 

弊社では、多くの企業がストレスチェック制度を有効活用し、メンタル不調が起こりにくく、

かつ生産性の高い職場を実現されることを願っています。