若年層の患者が増えている「子宮頸がん」 検診の特徴と検査方法 

検査している様子

 

 

「がん」と聞くと、ある程度上の年齢層が患うもの、と思われるのではないでしょうか?

実は、女性の罹患するがんの中でも多い「子宮頸がん」は、若年層の患者が近年増えているのです。

 

今回は、そんな「子宮頸がん」の検診の特徴と、検査方法を紹介します。

 

 

子宮頸がんについて

 

子宮頸がんは、検診により進行がんを防ぐことができます。

子宮頸がん検診は非常に有効で、進行がんを防ぎ、死亡を減らす効果が証明されています。

 

多くの先進国ではほぼ例外なく、子宮頸部細胞診による検診が行われています。

欧米での受診率は高く、例えばアメリカでは、2002年には18歳以上の女性の80%以上が、過去3年以内に1回以上検診を受けています。

一方、日本では過去1年以内に検診を受けた女性は、25%程度となっています。

 

 

20歳代の若年層患者が急増

 

子宮頸がんは、粘膜表面にとどまる上皮内がんと、粘膜より深く広がる浸潤がんからなります。

上皮内がんを含めた子宮頸がんの発生率は、50歳以上の中高年層ではこの20年間で順調に減ってきています。

一方で、20歳から29歳では急激に増加しています。

 

これは、子宮頸がんがヒトパピローマウイルス(HPV)の感染と関与しているためです。

高齢になるほど多くなる他のがんと違い、性活動が活発な若年層で、感染の機会が増えているのではと考えられています。

 

※ 子宮頸がんは、「子宮頚がん」と表記されることもあります。

 

下の図は、上皮内がんを含む子宮頸がん発生率の推移です。

 

部位別罹患率

 

 

 

 

子宮頸部細胞診で早期発見

 

細胞診では、子宮頸部の表面から綿棒などでこすりとった細胞を顕微鏡で調べます。

受診者のうち、がんが発見されるのはわずかです。

受診者の約1%に精密検査が必要となり、精密検査が必要な受診者の中でがんが発見されるのは、約10%弱と非常に高率です。

これらのがんの60%以上は、粘膜の表面のごく一部だけにとどまる上皮内がん等のごく早期のがんで、その大半は子宮を温存した治療が可能です。

早期発見のおかげといえます。

 

 

子宮体がんについて

 

子宮体がんは、症状があったら早めに医療機関を受診することが重要です。

体部細胞診による検査が一般的ですが、この検査で子宮体がんでの死亡を減らせるかどうかは、明らかになっていません。

 

子宮体がんは、病状が進行していない早期の段階で出血を来すことが多く、不正性器出血での発見が約90%といわれています。

少量でも出血があれば、すぐに医療機関を受診することで早期発見が可能です。

下着に染みが付くことや、下腹部痛も出血に次ぐ症状です。

 

 

子宮頸がんと子宮体がんの違い

 

子宮頸がんと子宮体がんは、下の図のように、出来る箇所が少々異なります。

 

子宮頸がんと子宮体がんの図

 

また、以下のような違いもありますので、併せて覚えておきましょう。

 

 

子宮体がんは、早期発見が大切です。

特に閉経後の出血には注意しましょう。

 

 

出典

国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト 「子宮がん検診のすすめ」

 

 

監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)