十分に睡眠がとれていないと、生産性低下につながります。
必要な睡眠時間は人によって異なりますが、日中に眠気がないように、十分な睡眠時間をとる必要があります。
今回は、睡眠と生産性との関係や、日中の眠気の解消法などを紹介します。
睡眠時間は足りていますか?
必要な睡眠時間は、個人によって大きく異なり、また、年齢によっても変わります。
大切なことは、一人ひとりが自分に必要な睡眠時間を知ることです。
自分の睡眠時間が足りているかどうかを知るためには、日中の眠気の程度に注意すると良いでしょう。
日中の仕事や活動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。
睡眠不足は生産性低下に直結する
何故、昼間に眠気が来るのでしょうか?
様々な理由がありますが、主に「睡眠の質と量不足」と言われています。
働き世代は、必要な睡眠時間が確保しにくいこともあるため、特に勤務形態の違いを考慮しつつ、十分な睡眠を確保する必要があります。
睡眠不足は、注意力や作業能率を低下させ、生産性を下げ、事故やヒューマンエラーの危険性を高めます。
自分では、眠気による作業能率の低下に気が付かないこともあります。
睡眠時間を削ってでも働いている、非常に忙しい職場もあるかもしれません。
しかし、それが続くと知らず知らずのうちに作業能率が低下し、産業事故などの危険性が増すことがあるのです。
睡眠負債という考え方
睡眠不足が長く続くと、疲労回復は難しくなります。
これを「睡眠負債」といいます。
睡眠不足による疲労の蓄積を防ぐためには、毎日必要な睡眠時間を確保することが大切です。
睡眠不足を休日などにまとめて解消しようとすることを「寝だめ」と呼ぶことがあります。
沢山眠っておくとその後の睡眠不足に耐えられるということはありません。
つまり、「睡眠」を「貯める」ことはできないということです。
睡眠不足が蓄積されてしまうと、休日にまとめて睡眠をとろうとしても、睡眠不足による能率の低下を上手く補うことはできません。
また、睡眠不足の解消のために、休日に遅い時刻まで眠っていると、光による体内時計の調整が行われないために生活が夜型化します。
そして、日曜の夜の入眠困難や、月曜の朝の目覚めの悪さにつながってしまうのです。
一般的な睡眠時間
日本の成人の睡眠時間は6時間以上8時間未満の人がおよそ6割を占めており、これが標準的な睡眠時間と考えられています。
睡眠時間は、日の長い季節では短くなり、日の短い季節では長くなるといった変化を示します。
労働者の睡眠時間
夜間に実際に眠ることのできる時間、つまり一晩の睡眠の量は、成人してからは加齢するにつれて、徐々に減っていきます。
夜間の睡眠時間は10歳代前半までは8時間以上、25歳で約7時間となっています。
その後、20年経って45歳には約6.5時間、さらに20年経って65歳になると約6時間となります。
このように、健康で病気のない人でも、20年ごとに30分ぐらいの割合で減少していくことが分かります。
一方で、夜間に寝床で過ごした時間は、20〜30歳代では7時間程度ですが、中年以降では長くなり、75歳では7.5時間を越えます。
個人差はあるものの、必要な睡眠時間は6時間以上8時間未満のあたりが妥当だと考えられます。
睡眠時間と生活習慣病やうつ病との関係などからもいえることですが、必要な睡眠時間以上に長く睡眠をとったとしても、健康になるわけではありません。
年をとると、睡眠時間が少し短くなることは自然であること、日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番であるということを知っておくとよいしょう。
日中の眠気の解消法
もちろん、毎日十分な睡眠をとることが基本です。
しかし、仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時間を確保できない場合があります。
午後の眠気による仕事の問題の改善には、昼寝が有効です。
午後の早い時刻に、30分以内の短い昼寝をすることで、眠気による作業能率の改善を図ることが出来ます。
参考
監修:佐藤祐造(医師、愛知みずほ大学特別教授・名古屋大学名誉教授)