特定非営利活動法人 日本成人病予防協会は1987年に、東京都医師協同組合連合会によって設立されました。
1992年より「健康管理士一般指導員資格認定」を開始し、1993年には
「健康管理士一般指導員受験対策講座」が厚生労働大臣指定講座となっています。
「健康管理士一般指導員」は、病気や栄養、運動、ストレスなど、健康管理・予防医学全般にわたって広く学習し、
正しい知識に基づいて多くの方々へ健康指導やアドバイスを行うための資格であり、
50校の大学教育にも採用されています。
「健康管理士一般指導員」の資格認定者は2019年1月時点で、6.5万人います。
主な活動
日本成人病予防協会は、中央官庁をはじめ、医療・福祉・企業・家庭・学校・地域と連携し、
「健康社会」実現のために幅広く活動をしています。
主な活動内容は以下の通りです。
【健康講演】
官公庁、自治体、団体・企業、学校などで、生活習慣病の知識・予防といった全般的なテーマ、高血圧、
ストレス、食育、排便・睡眠といった特定の分野のテーマを含めて、様々な内容での講演やグループ勉強会を実施しています。
(資料出所:日本成人病予防協会ホームページ)
<講演活動について>
「主な公演活動」をご参照ください。
【健康カウンセリング活動】
日本成人病予防協会は、設立当初より「一次予防のための正しい知識」を広めることが
重要と考え、積極的に健康相談を行ってきました。
その中で培った健康カウンセリングのノウハウを生かし、企業や一般の方などに健康相談・保健指導を実施しています。
【食育活動】
文部科学省、「早寝早起き朝ごはん」全国協議会、公益社団法人日本PTA全国協議会の後援をいただき、
全国の小学校の児童や保護者、教職員を対象に、楽しく学べる参加型の食育事業を行っています。
手作りの教材や資料を工夫して作成し、食に関する講師派遣・講演や、イベントへの参加を随時行っています。
(資料出所:日本成人病予防協会ホームページ)
「早寝早起き朝ごはん」運動の推進のための食育活動「バナナうんちで元気な子」では、
その功績が認められ、文部科学大臣表彰を受けています。
(資料出所:日本成人病予防協会ホームページ)
<食育活動について>
「食育活動への取り組み」をご参照ください。
【公募・公益事業の実施】
広く地域に根ざした活動を行うために各関係機関の事業について公募申請を行い、成果をあげています。
また自治体との協働による事業も積極的に進めています。
<これまでの公募・公益事業の内容について>
「公募事業・イベント出展」をご参照ください。
【セミナー、能力開発講座などの企画・運営】
一般の方を対象とした様々なシンポジウムを定期的に開催しています。
特に「日本の食育セミナー」は公共性の高い内容となっており、多くの方が参加されています。
<「日本の食育セミナー」について>
「食育セミナー」をご参照ください。
<日本成人病予防協会の企画・運営する講座・セミナーについて>
「セミナー・講座情報」をご参照ください。
【イベント参加】
協会の特色を生かした内容で、食育や健康づくりの様々なイベントへ参加しています。
<イベントについて>
「イベント出展」をご参照ください。
【健康管理士一般指導員認定・健康管理能力検定事業】
「健康社会」を実現するため、医療、福祉、企業、家庭、学校、地域などで
健康管理の知識と意識・予防医学を普及啓発しています。
<健康管理士について>
「健康管理士公式サイト」をご参照ください。
日本成人病予防協会様に、インタビューをさせていただきました。
「健康になる」為に必要なこと
【勤次郎】
健康づくりの普及・啓発のために幅広い活動をされていますね。
【日本成人病予防協会】
当会では、健康についての「知識」を身につけていただくために、これまでに様々な活動を続けてきました。
2019年1月時点で、講演会だけでも、すでに4000回以上行っています。
【勤次郎】
国や自治体等でも様々な「啓発」のための講演会を開催されていますが、貴会の活動はどういった特徴があるのでしょうか?
【日本成人病予防協会】
誰もが「健康が大事だ」ということは分かっています。
それにもかかわらず、生活習慣を変えようとしない人がたくさんいるということは、
「健康が大事だ」ということは分かっていても、その本当の意味が分かっていないのではないかと思います。
当会では、「健康が大事ですよ」ということを啓発することを目的としているのではなく、
健康についての正しい「知識」を身につけていただくことが目的です。
【勤次郎】
確かに、「健康が大事だ」と思っている人に「健康は大事ですよ」と言っても、当たり前のことですね。
【日本成人病予防協会】
むしろ、「健康」を押し付けられているような気持ちになると思います。
押しつけでは健康にはなれません。
健康になるためには、本人が自ら健康を維持しようと思う意識が重要です。
誰でも、何時でも、病気になる可能性があります。
その怖さが分かっていれば、予防のための活動をするはずです。
「知識」があれば、健康を失うことの怖さがわかり、健康を大事に管理しようという意識につながります。
【勤次郎】
企業が健康経営を推進して、社員に対して健康の教育をしたり、社員が健康を推進するためのツールを
提供したりすることによって、社員の健康への意識を上げることは効果的ですね。
【日本成人病予防協会】
健康になろうという雰囲気が組織で醸成されるのはとてもよいことだと思います。
また、組織でツール等を導入することで社員の日常的な健康増進につながりやすいと思います。
しかし、それだけでは十分ではなく、社員全員に健康への「意識」を持ってもらうためには、
社員一人一人と真剣に向き合う必要があると考えています。
「血圧が高い」とか「血糖値が高い」といったことは、健診結果を見れば書いてあります。
ではその血圧や血糖値を下げるために、どうすればいいか、ということになると、
本人が意識して生活習慣を変えていかなければなりません。
生活習慣は個人によって異なるので、その改善の仕方も個人によって異なります。
社員一人ひとりと向き合うことで、健康になろうという意識を持ってもらうことができれば、
健康経営の効果はさらに高まると考えています。
【勤次郎】
そう考えると、画一的な教育やツールの提供だけでは、社員一人ひとりの意識を高めるのは難しいですね。
【日本成人病予防協会】
便利なツールも、使う側が意識を持って使うかどうかで、その効果は大きく異なります。
健康を維持増進するための生活習慣を身に着けるためには、自分自身で考えて、
決めるということが必要です。
当会では、「健康になろう」という意識を持つためには、まずは
「知識」を持つことが必要であるという考えで活動をしています。
今回、健康管理士に対してアンケートを行い、約5,000名の結果を集計しました。
健康管理士の資格を取得および知識の習得によって半数以上の方が周囲の方からの信頼度が高まったと答えています。
また、運動や睡眠・休養に関しては約60%、食生活においては75%以上の方が良い方向へと
行動変容したとの結果となりました。
健康に関する知識が身につけば、「健康になろう」という意識が自然と身につくと言えます。
これから、埼玉医大の先生と共同で、学会発表を目指して、意識が高い人と意識が低い人の
違いなど、細かい分析を行う予定です。
情報の発信からスタート
【勤次郎】
確かに、言われてみればすごく当然のことですね。
しかし、なかなか「知識」を身につけようという具体的な行動を起こすのが大変ではないでしょうか?
【日本成人病予防協会】
その通りです。
講演会だけでは、情報発信だけでは意識は上がりません。
一人ひとりが、「知ろう」という気持ちにならなければいけません。
ただし、まずは発信することからがスタートです。
発信だけではダメなことは分かっているけど、まず発信することが重要だから発信を続けています。
「知ろう」という気持ちになる機会をもってもらうために、本人に対してだけでなく、
家族、地域、企業など、様々なチャネルで発信を続けています。
例えば商社の奥様宛に講演会を開いたこともあります。
商社マンは憧れのステータスです。
商社の奥様にとってそのステータスは少なからず大事だと思います。
そこで、「旦那様が病気になってしまったら、どうしますか?」と呼びかけると、奥さんの方に
「旦那様に健康でいてもらわなければ」と思ってもらうことができます。
こういった形で、奥様に意識を持ってもらえば、それがきっかけで
商社マンご本人にも意識を持ってもらう機会が増えます。
このように、それぞれ観点を変えながら、意識を持ってもらう機会が増えるように
工夫をしながら講演会を行っています。
もちろん、労働組合で講演を行ったこともあります。
【勤次郎】
講演会は、一人ひとりに意識を持ってもらうためのきっかけとして重要なのですね。
【日本成人病予防協会】
そういった意識を持ってもらうきっかけは、必ずしも講演会だけでないと思います。
そのため当会では自ら企画する講演会だけでなく、全国で開催される様々なイベントにも出展したり参加したりしています。
今、国がヘルスケア産業の創出に取り組んでいると思いますが、この産業の
考え方も大切であると思っています。
一人ひとりにすべて寄り添っていたら、費用対効果は合いません。
健康社会を実現するというのが当会の目的なので、当会としても産業と連携して
取り組んでいくことが重要であると考えています。
ビジネスにはビジネスの役割があります。
ビジネスの役割では、意識を変えることまでは難しいため、その部分を当会が
担うことによって補完効果、相乗効果があります。
ヘルスケア産業の創出が進めば、それに応じて当会の担う役割もさらに高まるのではないかと考えています。
【勤次郎】
健康社会を実現するために、幅広いチャネルで、また深く取り組まれていることが良く分かります。
【日本成人病予防協会】
自治体や企業など様々な組織が今、「歩きましょう」といった活動を行っており、とてもいいことだと思います。
あとは、「歩くことがなぜいいのか」、「何のために歩くか」を一人ひとりが理解することが重要だと思います。
例えば、歩くことで認知症が予防できますよ、認知症になるとこれだけ大変ですよ、
といった知識だけでも持って歩くのと、何も知識なく歩くのでは意識が全く違うと思います。
せっかく健康が盛り上がっているので、そういったことに、多くの方に気がついてもらいたいと思います。
そのため当会としては講演会、イベント、産業との連携だけでなく、新聞等での広報も積極的に行っています。
学校でも「バナナうんちで元気な子」の活動を行って、子供のうちから
健康に対する意識を持ってもらいたいと考えています。
【勤次郎】
健康になるためには、本人が変わらなければならないということを、すべての
人に認識してもらいたいという強いメッセージを感じます。
【日本成人病予防協会】
健康は誰かに守ってもらうものではなく、本人が守るものです。
例えば毎回の食事でほんの少しだけ、栄養に気を付けているかどうかで、
1万回食事をすれば健康状態は大きく変わってきます。
そういった一つひとつのことを「自分から知りに行く」と言うことが大切です。
そういう環境をつくってあげるのが社会の役割であると思います。
当会は当会の役割を、企業は企業の役割を、地域は地域の役割を
果たしていくことで、健康社会が実現すると思っています。
【勤次郎】
本日はありがとうございました。