ハワイのシステム・インテグレーター Visual Systems

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Visual Systems, Inc.(以下、Visual Systems) は、ハワイ州で設立された日系法人です。

ハワイの地をビジネスフィールドとして、コンピューターシステムに関する総合的な

サービスを提供しているハワイ最大の本格的な日系システム・インテグレーターです。

 

業務用ネットワークシステム、イントラネット、Eコマースなどのシステム開発をはじめ、

システム関連機器やソフトウェアの販売・サポートなどを行っています。

 

Waikiki Business Plaza

 

Visual Systemsの本社は、Waikikiの中心にあるWaikiki Business Plazaです。

本社のある15階からは、ワイキキを一望することが出来ます。

 

仕事風景

 

Visual systemsのオフィスでは、CEO以下全員が同じ部屋で仕事をしながらも、

一人一人のスペースが確保されています。

 

visual systems CEO hayashi

 

Visual Systems CEOであるHayashi氏に、創業のきっかけと、会社の特徴を伺いました。

 

 

創業のきっかけ

 

Visual Systemsは、1994年にHayashi氏とハワイの旅行会社に勤めていた

当時の共同経営者のKuratani氏によって設立されました。

 

Hayashi氏は、高校卒業をきっかけに18歳でハワイに移住しました。

その後、ハワイの大学でコンピュータサイエンスを学んでアメリカ西海岸の

IT企業に就職し、その後ハワイのデータベース会社に勤めていました。

 

大きな転機が訪れたのは、1994年のこと。

当時、Hayashi氏の勤めていたデータベースの会社がインターネット上データの

データベース化を目指すマイクロソフトに買収されました。

 

1994年といえば、まだインターネットが出始めた頃で普及もしていなかった時代。

当時の通信手段の主流はFAXでした。

 

この時、Hayashi氏はインターネットの可能性に注目し、

通信手段は将来確実にFAXからインターネットに変わる」と確信しました。

そこで一念発起し、マイクロソフトを退社し、ハワイの旅行会社に勤めていた

当時の共同経営者のKuratani氏と一緒にVisual Systemsを創業しました。

 

Visual Systemsの目的は、社名からも推測できる通り、インターネット上での画像データの通信です。

しかし創業当初は資金がなかったため、まずは資金を蓄えるための手始めの

目的としてハワイ旅行会社向けの基幹システムを始めました。

 

ところが、画像データの通信技術の確立は、先に他社にノウハウを

奪われてしまったため、断念せざるをえなくなりました。

 

そこでHayashi氏は軌道修正を余儀なくされ、旅行会社向け基幹システムを

事業の柱として確立していくようになります。

幸い、様々な旅行会社が声をかけてきてくれたおかげで、事業は少しずつ軌道に乗っていったそうです。

 

最初はHayashi氏とKuratani氏の2名で、システム開発だけなくインターネットプロバイダ事業などを

行いながら経営を成り立たせていました。

 

その後、旅行会社だけでなく、日系のウェディング会社からも声がかかるようになりました。

1年後には少しずつメンバーも増えていき、今の基幹システムのシステム・インテグレーターとしての

地位を固めていくことができました。

 

今ではハワイにあるウェディング会社、旅行会社の他にもハワイにある製造業にも

基幹系システムを開発・提供するようになっています。

 

製造業に関しては現地資本の企業も多く、またウェディング会社の仕事に携わっていた

関係上、オーストラリア・グアム・サイパン・ベトナム・中国の仕事も行ってきました。

 

 

日本の企業と異なる働き方

 

Visual Systemsの従業員は、日系アメリカ人と日本人です。

これまでアメリカ系アメリカ人も雇用したことがありましたが、

肌感覚が合わずに上手くいきませんでした。

 

仕事上言語はすべて英語で行っていますが、

チームで仕事をする上で日本人の感覚でお互いに仕事ができることが重要と考え、

今では基本的に従業員は日系人のみとする方針です。

 

従業員の定着率は非常に良いのですが、Visual Systemsでは、

最初から即戦力を雇用しており、入社後従業員を教育するようなことは行っていません。

これは、Hayashi氏がマイクロソフトで働いていた経験が少なからず影響しています。

 

【Hayashi氏】

マイクロソフトではサラリーマンとはいえ、「何時から何時まで働けばいくらの賃金がもらえる」

というシステムではありませんでした。

むしろ、定められたミーティングにのみ参加して、

自分の仕事さえきちんと完結していれば、職場に行かなくても何も問題とならなかったのです。

 

一方で、結果が出せないと他のプログラマーの足を引っ張ることになり、追い出される厳しい世界です。

マイクロソフトでは、チームとして働くならば全員が一人残らず結果を出せることが絶対条件です。

チームメンバーの一人でも結果を出せなければ、チームとしての成果が出せません。

チームメンバー同士信頼し会うのが、マイクロソフトという会社で、チームで動く絶対条件なのです。

 

Visual Systemsにしても同様です。

例えば、プログラミングをやりたくて入社したならば、徹底的にプログラミングを行ってもらい、

出来なければ辞めていただく。

そうでなければ、会社として成り立たなくなってしまいます。

今は、プログラミング・ネットワーク関連・マニュアル・プレゼンなど役割分担して、

チームとして一人一人が活躍しています。

 

一方で、IT企業だから必ずしもプログラミングが出来なければならない、

という訳ではありません。

チームメンバーとしてチームのために役割を果たすことができるならば、

Visual Systemsにとって、なくてはならない存在です。

 

逆を言えば、中途半端なプログラム技術だけ身につけても、

チームで動けなければ必要ないということになります。

 

そういう意味では、今の従業員は全員、会社の財産です。

少数精鋭の方がプロジェクトは回りますし、逆に全員優秀でも

人数が増えるとエゴが発生してしまいます。

 

少ないメンバーで沢山のプロジェクトを回してくれる今のメンバーは

誇りであり、今のメンバーでずっとやっていきたいと考えています。

 

また、結果さえ出せば、大きな裁量が与えられる点もマイクロソフトを

はじめとするアメリカのIT企業と同様です。

 

勤務時間は、完全フレックスです。

朝サーフィンをしてから会社にくるメンバーもいれば、仕事をさっさと

片付けて早い時間からサーフィンで出かけるメンバーもいます。

ハイキングに出かけるメンバーもいれば、日本とやりとりするために

昼夜逆転して働いているメンバーもいます。

 

ハワイという土地柄もあり、メンバーは職住近接で、歩いて通っているメンバーが多くいます。

自転車で、通勤をしているメンバーもいます。

 

自転車

 

従業員が仕事と生活のメリハリを自分でコントロールしているだけに、

経営者としてメンバーの一体感を損なわないように意識しています。

 

例えば、少なくとも2ヶ月に1回は会社主催で食事会を開催しています。

IT企業のハードワークは日米共通ですが、メンバーもこの食事会には

きちんと時間を作って参加しています。

外に誇れるメンバーに恵まれていると思います。

 

 

今後の方針

 

Hayashi氏は、今後の方針を以下のように語っています。

 

【Hayashi氏】

Visual Systemsのような、日系企業としての同業はハワイにないため、いわば

ナンバーワン・オンリーワンのポジションでビジネスを行っています。

 

また、ハワイに日系企業の数が多いのですが、それはハワイでは50万ドル投資すると

永住権がもらえるため、ハワイで会社をつくって永住権を取得するという人が多いためです。

 

そのような企業はいずれもVisual Systemsの顧客となりうるため、

今後もそういった企業一社一社と信頼関係を確立していくことが

Visual Systemsにとって重要と考えています。

 

また、近年増加傾向にある製造業系の顧客を増やしていく予定です。

20人以下のものづくり企業はこれまでIT投資なしでも回ってきましたが、

これからはそうはいかなくなるのではないかと考えています。

 

20人以下のものづくり企業にとって、大手のシステムメーカーの製品は高すぎて買うことが出来ません。

確かに、大手の基幹系システムは画一的で融通が利かないにもかかわらず、中小企業にとっては高い買い物です。

 

一方、Visual Systemsの製品は、カスタマイズでありながら大手よりも安いことが特徴です。

Visual Systemsにとって、中小製造業向けの基幹システムが大きなビジネスチャンスになるのではと考えています。

中小の起業家は、大手企業がシステム投資をしているのは知っていますが、

そもそも自社には関係ないと考えています。

 

実は長期的に見るとシステムは安いことを一人一人説明していくと、中小企業の

経営者は納得してシステムに投資してくれます。

 

製造業を狙っていく上では、Visual Systemsの顧客はハワイと関連ある企業だけではないと考えています。

アメリカ本土では、実は価格ではなく、信用が一番大事です。

アメリカの企業はオープンなので、「隣の同規模の会社が導入したのなら、うちでも検討しよう!」

という考えになります。

 

アメリカ本土には中小の製造業が多く、特に食品関係で従業員20人以下の

規模の企業が非常に多いことが特徴です。

 

中小企業の未開拓のマーケットは、まだまだ大きいです。

例えば当初ハワイで旅行会社向けにシステムの提供を開始した時、旅行会社には、

離れたところでも情報を共有したいというニーズがありました。

 

そのニーズに、ITによる最適なソリューション提供で応えることができました。

各業態・各企業が様々なニーズを持っていて、それぞれのニーズをITが解決できるケースは多いのです。

Visual Systemsはハワイ初の日系IT企業として、今後アメリカ本土にも事業領域を広げていく予定です。