皆さんは「健診結果は誰のものですか?」と尋ねられた時、どのように答えるでしょうか?
実は、健診結果は加入している組合によって管理の仕方は異なり、ある一定の年齢を過ぎた
段階で、過去の健診結果がデータとして残るかどうかが変わります。
「なんとなく受けて、なんとなく結果を見て、そうなんだ」で捨ててしまってはいませんか?
普段から健診結果を自分でしっかり管理している方なら良いのですが、そうでない方は
なるべく、自身の健診結果の管理は様々な方法で行っていただきたいと考えます。
今回は、過去の健診結果を何故管理する必要があるのか、国としてはどうやって残していく
方針を立てているかご紹介します。
健診結果は誰のもの?
65歳までは協会けんぽや健康保険組合の被保険者で、65歳を過ぎてから国保の被保険者になる方と、
65歳になる前から国保の被保険者になる方がいます。
65歳になる前から国保の被保険者の方は、40歳以降毎年必ず特定健康診査を受けていれば、
60歳になっても70歳になっても、40歳からの健診結果が国保のデータベースに残っていると考えられます。
では、協会けんぽや健康保険組合の被保険者で、65歳を過ぎてから国保の被保険者になる方は、
40歳からの健診結果が65歳以降、自動的に国保のデータベースに移行されるのでしょうか?
協会けんぽや健康保険組合等の保険者が本人の同意なく他の保険者に健診結果をデータとして
提供することは大変難しいと考えられます。
そのため、65歳になる前の健診結果は自分自身できちんと管理保存することが大変重要であると言えます。
40歳からの健診結果を65歳になるまで、ずっと自分自身で保存管理できている人は、余程意識が高い方と考えられます。
2~3年分ならまだしも、20年分といった長期にわたって健診結果を管理されている方は少ないのではないでしょうか?
例えば、職域の被保険者だった方が、65歳になって国保の被保険者となり、
66歳になって、自治体の主催する健康診断を受診したとします。
そして特定保健指導の対象となったとします。
保健師の先生から特定保健指導を受ける際に、過去からの健診結果を持っていれば保健師の方は、
例えば血糖値や尿酸値がどう上がってきたのか、元々血圧は高いほうなのかなど、様々な視点で見ることができます。
しかし、66歳の健診結果しかない場合は、その1回の健診結果の値だけで判断するしかありません。
有所見で、再検査となった場合も同様と言えます。
このように、過去の健診結果が残っているかどうかは、65歳になってからの
健康状態を大きく左右させる可能性があります。
では、65歳になった時に、過去の健診結果がきちんと残っているように
するためにはどういう方法があるのでしょうか?
過去の健診結果を残す方法
実現性は別として、以下の3つの方法が考えられます。
(1) 個人でしっかりと管理
(2) 協会けんぽや健康保険組合が個人の同意を得た上で、国保に自動的に過去の健診結果を受け渡すような仕組みの構築
(3) 国民の健康診断の結果が、全て同一のデータベースで管理され、協会けんぽ、健康保険組合、国保、共済組合含め
全ての保険者、被保険者がそれぞれのアクセス権でデータベースにアクセスするような仕組みの構築
今、国が向かっている方向性は(3)です。
将来的にはマイナンバーで管理するといった方向と考えられますが、その為には膨大な設備投資の他、
インフラ整備、利害関係者の調整が必要になり、時間がかかりそうです。
(2)については、各地域に保険者協議会があるので、保険者協議会での協議の結果、何かしらの仕組みを
構築することができる地域もあれば、難しい地域も出てきます。
いずれにしても簡単にはいかないと考えられます。
(1)については、結局今と変わらないため、難しいと考えられます。
滋賀県の取り組み
滋賀県のBIWAKOスキやねん保険者協議会様では、市町・協会けんぽ地域支部・地域企業の健康保険組合、
共済組合等が一体となって、健康ポイント制を運用しています。
誰もが同じ条件で健康ポイント制に参加できる仕組みを構築・運営されていて、大変参考になります。
保険者協議会としてBIWA-TEKUというアプリを提供されていて、参加市町・団体の
被保険者ならば誰でも参加することができます。
こういった形ならば、地域・職域連携での健康づくりが推進できると考えられます。
弊社での取り組み
こういった地域・職域連携での健康ポイント制をきっかけとして、
「健診結果」を合わせて管理することをご提案しています。
具体的には、スマートフォンを持ち歩くだけで歩数を計測できる機能を利用し、
地域・職域の保険者が連携して健康ポイント制を運用します。
併せて、それぞれの保険者から、被保険者および被扶養者に対して、同一の
データプラットフォームに健診結果を入力するように促し、入力後にポイントを付与します。
その結果、一つのアプリケーション上に健康診断の結果と歩数とそれによって獲得したポイントが保存されます。
そしてそれらのデータの所有権は本人に帰属しますが、全ての保険者が同じデータプラットフォームを用いています。
例えば、本人が65歳になって協会けんぽから国保に移ったとしても、同じ
データプラットフォームを引き続き使い続けることができます。
今、国保も健保もそれぞれが健康管理システムを導入して運用しています。
それに合わせて業務も確立しているため、既存の運用を変えることは
大変ハードルが高いと考えられます。
しかしながら、こういったデータプラットフォームを用いることで、低コストで
住民主体での健康データの管理を実現することができます。
すでに一部の自治体がこういった仕組みを推進しています。
地域・職域連携での健康データ管理にご関心がある方は、ぜひ弊社までご連絡をいただければと存じます。