「労働安全衛生法」が改正されて、労働者が50人以上いる事業場では、2015年12月から、毎年1回、「ストレスチェック」を全ての働く人に対して実施することが義務づけられました。
働いていらっしゃる皆さんは、年に一度「ああ、あれか・・」と思い当たるものがありますよね。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
「またか」と思われがち
「ストレスチェックを受けてください」と担当者から連絡が来ると正直、「面倒だな」って思う人が多いと思います。
でも、ストレスチェック実は、とても大切なものなのです。
今回は、知らないともったいない ストレスチェックの仕組みについてお話します。
実は、ストレスって自分で気が付かない
ストレスは、誰しも多かれ少なかれ自覚しているものです。
では、以下のようなことを考えてみましょう。
・ どれくらいストレスが溜まっているのか?
・ ヤバイ状態なのか?
・ このままでも大丈夫なのか?
どうでしょうか?
実は、こういったことは、ご自身でよくわからないものなのです。
そのために、年に一度のストレスチェックが設定されています。
ストレスチェックの目的は「気づく」こと
ストレスを過度にためず、適度なストレスとうまくつきあっていくコツのひとつは、「自分のストレスに気づく」ことです。
ストレスの気づきのポイントは、3つあります。
・ 身体面への影響
肩こり、目の疲れ、疲労、頭痛、自律神経の乱れ
・ 心理面への影響
不安、落ち込み、イライラ、不眠、怒り
・ 行動面への影響
生活の乱れ、暴言暴力、暴飲暴食、飲酒喫煙
「最近よく眠れないなぁ」、「イライラすることが多くなってきたなぁ」というのは、こころの不調としてのストレスサインのひとつです。
このようなサインを放っておくと、ストレス性の疾患など治療が必要なレベルに移行する可能性もあります。
サインに気づいたときは、早めに相談する、対処するなどの対応をとることが大切です。
こころの不調としてのストレスサインの主なものは以下のとおりです。
以下のような症状が2週間以上続く場合は「うつ」が疑われますので、専門家(精神科、心療内科)に早めに相談することをおすすめします。
《こころの面》
・ 悲しみ、憂うつ感
・ 不安感、イライラ感、緊張感
・ 無力感、やる気が出ない
《体の面》
・ 食欲がなくなる、やせてきた
・ 寝つきが悪い、朝早く目が覚める
・ 動悸がする、血圧が上がる、手や足の裏に汗をかく
《行動の面》
・ 消極的になる、周囲との交流をさけるようになる
・ 飲酒、喫煙量が増える
・ 身だしなみがだらしなくなる、落ち着きがない
こういったことに気づかずに無理をし続けてしまうと、気がついたら「うつ」などの病気になってしまうかもしれません。
そうならないように、「早めに気づいて、早めにケア」をするようにしてくれるのです。
ストレスチェックは、自分のストレスケアのために大切なものなのです。
さらなる目的はセルフケアをすること
ストレスチェックでは、点数によって以下の2つに分類をしています。
・ ストレスが高い
・ ストレスはあるけど面談が必要な程度ではない
ただ、ストレスが高いと判定をされていなくても、セルフケアをするスキルを身に着けておくことは大切なことです。
ストレスチェックは、どのあたりにストレスが蓄積されているかも教えてくれます。
・ 仕事の量や質などで不調になっている状態
・ 体に不調が出ている状態
・ 周囲のサポートがない状態
これらの、3つのカテゴリーの点数を算出しています。
自分のストレスの原因ともいえるところなので、ストレスチェックが終わったら確認しましょう。
ストレスを軽減するコーピング
私たちがストレスをうまく処理できないと、そのストレスは増幅され、心身の異常を発生させることになります。
自分ひとりで対処できないような強度なストレスの場合は、特に心拍数や血圧の異常を引き起こし、そして、不安や恐怖などの心理的負荷を感じることになります。
しかし、私たちは、これらのストレスに対して緩和するべくいろいろな対応を行っています。
ストレスに対処する行動をストレスコーピングといいます。
ストレスコーピングの分類としては、ストレスそのものに対する働きかけによってストレスをなくしてしまう方法、ストレスに対して自分自身ならびに周囲の人の協力を得て解決する方法、ストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を周囲の人たちに聴いてもらうことによって発散する方法などがあります。
いずれにしても自分で対応しきれないストレスに対しては、自分ひとりで解決するよりは、自分の力と周囲の人たちの力を合わせて、よりよい解決の糸口を見出すことが重要です。
また、日頃からストレスが発散できるよう、趣味や生きがいとなるものを持つことも必要です。
一番身近な方法は?
一番手軽で、身近な方法は「相談」です。
自分で対応しきれない大きな問題を抱えた時には、自分ひとりで解決するにはかなりの時間と労力を要することになり、結果として心身の不調を招くことになりかねません。
そのような時には、信頼できる人や専門家に相談することが必要となります。
仕事のことで行き詰まった時には同僚や上司に、心身の異常であれば医療の専門家に、金銭に係る法的問題であれは法律の専門家になります。
相談窓口を設けている企業もありますし、また、公的な機関が相談窓口を設けていますので、専門家に相談することで問題解決の糸口を見出すことが期待できます。
もし、「相談する人がいない」という場合には、以下のような一人でもできる方法をとってみましょう。
・ 紙に書く
・ 壁に向かってつぶやく
・ とにかく口に出してみる
勤務先に相談窓口があれば、そちらを利用してもよいでしょう。
とにかく、一人で抱え込まないことが大切です。
まとめ
ストレスチェックは、以下のようなことに気づくことが出来る画期的なチェックです。
・ 普段自分で気が付かない自分自身のストレスを気づかせてくれる
・ ストレスに気づくことで早めにケアができる
・ ストレスの原因についても気づかせてくれる
1年に一度ではなく、ストレスを感じた時にその都度、行ってもよいでしょう。
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出典