2020年、2021年は緊急事態宣言と自粛のおかげですっかり忘れていましたが、5月、6月は「母の日」「父の日」と家族のイベントがあったのでした。
例年、花を贈る人が多いこの季節ですが、今年は新しい感染症のおかげで、せっかく咲いた花も見てもらえることがなく、大量に廃棄されたと聞いています。
それは、自粛緩和が進んだ今でも変わりがないようで、結婚式やお葬式等の需要もなくなり、売上が昨年の40%になったところもあるようです。
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
需要がなければ、作ればいい!
農林水産省は、緊急事態宣言と自粛の影響で需要が減少している花木の消費拡大を図るため、家庭や職場に花を飾って楽しむ「花いっぱいプロジェクト」を始めました。
まず、その影響により、国内消費が減退している花木について、公共施設等における花木の活用を拡大することになりました。
さらには、家庭や職場でも気軽に花木を飾ってもらえるように、
「キャンセルになった花材を購入したい。」
「キャンセルになった花材の提供先を探している。」
「家庭で鑑賞するためのアレンジメントづくりに協力したい。」
「花の管理方法等をアドバイスしてくれる人を探している。」
といった声を紹介しています。
花木を飾る効果って?
花には、見た目の美しさや色による視覚的効果が認められていますが、実は匂いによる心理的効果もあります。
例えば、脳波測定の分析結果からは、快適性においては「花の香」が添加されると快適性が高まることがわかりました。
また、女性は、香りがあると、悲しみや怒り、敵意が低下しポジティブな精神状態に導かれ、リラックス効果も高まるそうです。
男性では、反対にリラックス感を低下させ身体覚醒度が高まる半面、不安を低減し、ポジティブな感情を誘起するそうです。
このように、職場や公共建築物に花を飾ることでその鑑賞性や香りの肯定的な効果で人々が癒されることも期待できそうです。
お家で職場でお花を生けてみよう
農林水産省のホームページでは、【家庭で花・園芸を楽しめるサイト一覧】として簡単に生け花ができるサイトを集めています。
花いっぱいプロジェクト2021
例えば、池坊(お家でできる簡単生け花)では、動画でわかりやすく生け方を紹介しています。
自宅で過ごす時間が長くなっている児童・学生に生け花にチャレンジしてもらおうと、自宅にある素材や道具を使ってでき、生ける時のポイント解説もされていてチャレンジしやすいものになっています。
お家でできる簡単いけばな(Youtube)
利用するのは、メラミンスポンジだったり、ペットボトル、花を固定するには剣山ではなく、なんと「セロハンテープ!」
お家でできる簡単いけばな(セロハンテープ編)(Youtube)
これなら職場でも、花さえあれば簡単に生け花を楽しむことができますね。
メラミンスポンジもセロハンテープもとても意外な素材ですが、子供にも安全ですし、どこにでもあるものなので、生け花へのハードルがさらに低くなってチャレンジしやすい感じです。
個人的には、庭先等に咲いていたり道端等に普通に咲いている花自体が大きくないものが生けやすいように思います。
また、つぼみがだんだんふっくらと大きくなっていく様子を見るのも楽しみです。
少し前までは、白と緑の取り合わせが流行っていました。
白い花と緑の葉っぱを合わせることで成立するのですが、葉っぱを少し多めにするとエレガントな感じにまとまります。
今からの時期は、生けるお水の中に少しハイターを入れると水腐れが予防でき、水換えの回数を抑えることができます。
パソコン操作の後で、室内観葉植物を見ると、見ない場合よりも視覚疲労が緩和したという報告もあります。
「花いっぱいプロジェクト」がオフィスにも広まるといいですね。
出典
農林水産省ホームページ 「花いっぱいプロジェクト」の取組について
室内の植物が人間の心身に及ぼす影響に関わる研究の現状と今後の課題
長谷川祥子・下村 孝 日緑工誌 39(4),552-560 (2014)