まず、はじめに家庭備蓄と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?
今回は、日常の一部として普段から無理なく、楽しみながら取り入れていく「ローリングストック」のご紹介です。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
はじめに家庭備蓄と聞いて・・・
様々なイメージを持たれたと思いますが、大きく分けて、4つの声が良く聞かれます。
(1)何から始めれば良いか分からない
災害時に備えて食料備蓄をする際に、具体的に何をどれくらい準備したらいいか分からないという声があります。
(2)毎日忙しくて、そこまでやる余裕がない
日々の仕事や家事、子育てなどで忙しく日常過ごされている中で、考えたり準備したりする暇が無いというケースです。
(3)一度やってみたけど、なかなか続かない
過去に1度行ってみて、食料備蓄を揃えたにもかかわらず、期限切れなどになってしまうなどして、管理が難しく、諦めてしまうケースです。
(4)備蓄のためのスペースもお金もない
こちらは、食品備蓄の必要性は理解しつつも、スペースやお金の問題から諦めてしまっているケースです。
これら4つの理由から、食料備蓄について、ついつい先延ばしにして考えがちでは無いでしょうか?
54.2%が準備をしていないという事実
家庭備蓄の取組状況について見てみましょう。
こちらは内閣府「防災に関する世論調査」(平成29年11月)の情報です。
これによると、『大地震に備えて食料や飲料水を準備している』という人の割合は54.2%、半分ほどの人しか準備をしていないことが分かります。
都市別では、大都市:50.7% 中都市:46.5% 小都市:42.1%という調査結果となっており、大都市の方が備蓄している人の割合が高くなっています。
私たちに必要なことは、家庭備蓄を非日常のものと考えるのではなく、楽しみながら取り入れていくことです。
いざという時でも自分や家族を守り、心のゆとりを持つことができるよう、必要な備えを進めましょう。
災害時に食料が届くのはいつ?
東日本大震災の事例です。
出典は平成25年3月に実施された「東日本大震災における食料へのアクセス実態調査(農林水産省)」で岩手県、宮城県、福島県の3県で被災し、自宅で生活を行った計11人からヒアリング、及び避難所で生活を行った住民及び自治体担当者28名のアンケート結果となります。
・スーパーで食料を調達できたのは、発災後、数日経ってから
・食料の家庭備蓄を行っていた家庭は少なく、発災日の夜は自宅にあった食料や近所の炊き出しで食事
・避難所に地方公共団体の食料備蓄があったのは全体の3割程度
・発災日に避難所に届いた食料のほとんどは、他地区住民の協力による炊き出しのおにぎり
・自宅から避難所に食料を持参した人は2割程度
事例によると、主要スーパーが数日、営業停止になり、店舗での食料の調達が、震災の影響でできなくなる可能性が大いにあるということです。
簡単 ローリングストック
「ローリングストック」とは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
ローリングストックは3つのステップで行います。
「備える」:食品を備蓄
「食べる」:賞味期限の古いものから食べる
「補充する」:食品を買い足す
特に、ここがポイントです。
◎費用・時間の面で、普段の買い物の範囲でできること
◎買い置きのスペースを少し増やすだけで済むこと
備蓄食品を用意するヒント
備蓄食品は、大きく分けて「非常食」と「日常食品」の2種類があります。
主に災害時に使用する「非常食」だけでなく、日常で使用し、災害時にも使えるものを「ローリングストック」として、バランス良く備えることが大事です。
また、外出中に災害が発生することを考えて、普段から持ち歩く飲料水やチョコレートなどの「持ち歩き用品」も備えておけば万全です。
備蓄食品の選び方は、
1.まず、家庭にある食品をチェックします
2.次に栄養バランスを考え、家族の人数や好みに応じた備蓄食品の内容と量を決めましょう
3.足りないものを買い足しましょう
4.賞味期限が切れる前に食べて、食べた分は買い足しましょう
この手順を繰り返すことで、自然と「ローリングストック」が実施できます。
また備蓄食品選びで忘れてはいけないのが災害直後は、炭水化物ばかりになりがちで、栄養が偏り、便秘、口内炎など体調不良を起こしやすくなること。
たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養バランスを考慮して缶詰や日持ちする野菜、乾物、野菜ジュースなどを備えるよう心掛けましょう。
出典
農林水産省 「災害時に備えて食品の家庭備蓄を始めよう」(PPTが開きます)
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