監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
我が国の「食品ロス」年間643万トン
我が国では、食べられるにもかかわらず廃棄される「食品ロス」が、年間643万トン(平成28年度推計)発生しています。
このうち352万トンが食品産業から発生しています。
その内訳をみると、外食産業では133万トンもの食品ロスが発生しており、食べ残しによるものが相当程度を占めています。
地方公共団体では、飲食店等における食品ロスの削減に向けて、
「食べきり」運動や、食べきれずに残した料理を自己責任の範囲で持ち帰る「持ち帰り」の呼び掛けも広がり始めています。
今回は、宴会時に誰もが簡単にできる3010(サンマルイチマル)運動をご紹介します。
3010(サンマルイチマル)運動とは、宴会などでは乾杯後の“30分”とお開き前の“10分”は、
席を立たずに料理を楽しむことにより食べきりを実践することです。
3010(サンマルイチマル) 宴会5か条
1. 適量な注文
2. 幹事さんから「おいしく食べきろう」の声かけ
3. 開始30分、終了10分は席を立たずにしっかり食べる「食べきり」タイム
4. 食べきれないときには、「仲間で分け合う」
5. それでも食べきれなかった料理は、お店の方に相談して「持ち帰り」
ポイント
コース料理であれば、最初に献立を見て、食べきれるかどうか判断しましょう。
もし、食べきれそうでなければ、傷む可能性の低い献立、持ち帰るのが容易な献立を持ち帰る献立とします。
鍋の料理など持ち帰りにくいものから食べきっていきます。
宴会の際に注意してほしいこと
○ 幹事さんや主催者は、参加者の嗜好や年齢層、男女比を考えながら食べきれる量に配慮して、お店やメニューの選択をしましょう。
○ お店を予約する際は、こうした参加者の情報をお店側に事前に伝えましょう。
○ 料理を楽しんで食べる時間を作りましょう。例えば、乾杯後の30分間は、提供された出来たての料理に集中して食べることや、お開き前の10分間は食べ残しをしないよう、幹事さんが声を掛けるなど、料理を食べきるようにしましょう。
それでも食べきれなかったら?
食べきれずに残してしまった料理を捨ててしまうのは、もったいないです。
でも、「持ち帰り」には、衛生上の問題が伴います。
「持ち帰り」を行う場合は、飲食店の方の説明をよく聞いて、食中毒のリスクなどを十分に理解した上で、自己責任の範囲で行うことになります。
○持ち帰りは、十分に加熱された食品で、 帰宅後に再加熱が可能なものとし、食べきれる量を考えて、行いましょう。
○自ら料理を詰める場合は、手を清潔に洗ってから、清潔な容器に、清潔な箸などを使って入れましょう。
また、水分はできるだけ切り、早く冷めるように浅い容器に小分けしましょう。
○ 料理は、暖かい場所に置かないようにしましょう。
○ 時間が経過すると食中毒のリスクが高まるので、帰宅までに時間がかかる場合は、 持ち帰りはやめましょう。
○ 持ち帰った料理は、帰宅後できるだけ速やかに食べるようにしましょう。
○ 中心部まで十分に再加熱してから食べましょう。
○ 見た目やにおいなどが、少しでも怪しいと思ったら、口に入れるのはやめましょう。
「持ち帰り」のワザ3つ!
○ 料理を衛生的に扱える力
○ 怪しいと思ったら捨てることのできる判断力
○ おいしい料理を提供してくれるお店を大切にする気持ちが必要です
春の歓送迎会、冬の忘・新年会シーズンも宴会5カ条を参考にし、おいしく食べきりましょう。
出典
ドクターがすすめる日々の健康管理法。
毎日の健康管理はヘルスライフで歩数を確認することから。