9月になり、気温も下がってすごしやすくなりました。マスク着用時も少し楽になったように思います。
新しいウイルス感染症の流行が懸念される中、この冬に向けてインフルエンザのリスクが高まる可能性があります。
そこで今回はインフルエンザについてのお話です。
ふつうの風邪とインフルエンザの違いはこちらをご覧ください。
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違い
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。
38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。
併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。
お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では二次性の肺炎を伴う等、重症になることがあります。
季節性インフルエンザは流行性があり、いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。日本では、例年12月~3月が流行シーズンです。
季節性インフルエンザの中でも、特にA型は、その原因となるインフルエンザウイルスの抗原性が小さく変化しながら毎年世界中のヒトの間で流行しています。
一方、新型インフルエンザは、時としてこの抗原性が大きく異なるインフルエンザウイルスが現れ、
多くの国民が免疫を獲得していないことから、全国的に急速にまん延することによって起こります。
過去に流行した新型インフルエンザは、平成21-22(2009-2010)年(新型インフルエンザA(H1N1)pdm2009)に発生しました(pdm:パンデミック)。
しかし、世界に流行が拡がり、多くの国民が新型インフルエンザに対して免疫を獲得するにつれ、
このような新型インフルエンザも、季節的な流行を繰り返すようになってきました。
新型インフルエンザA(H1N1)pdm2009についても、平成23(2011)年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱われることになりました。
厚生労働省は、平成23(2011)年3月31日の時点において「新型インフルエンザ」と呼ばれていたインフルエンザA(H1N1)pdm2009ウイルスについて、季節性インフルエンザとして取り扱うこととし、対応も季節性インフルエンザの対策に移行しました。
新型インフルエンザの脅威とは
新型インフルエンザとは、ヒトの間で長い間流行しなかった新しいタイプのインフルエンザウイルスによるインフルエンザのことです。
現在、ニワトリなどにとって毒性の強い鳥インフルエンザウイルスの流行が懸念される中、遺伝子が変異してヒトからヒトに感染するタイプになる可能性が最も危惧されています。
時として、抗原性が大きく異なったインフルエンザウイルスが現れ、多くの国民が免疫を獲得していないことから全国的に急速にまん延します。
この国民の健康と生命、生活に多大な影響を及ぼす可能性があるものを新型インフルエンザと呼んでいます。
次の新型インフルエンザウイルスがいつ出現するのか、誰にも予測することはできませんし、平成21(2009)年に流行したインフルエンザ(H1N1)2009 とは異なる特徴を持っている可能性があります。
「新型インフルエンザ」の法律上の定義(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、以下「感染症法」)は、
「新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、
一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、
当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」とされています。
感染症法では、このようなインフルエンザウイルスを法的に「新型インフルエンザ」と位置付け、感染した際には、
感染拡大を防止するため、様々な対応が取られることになっています。
まとめると
新型インフルエンザとは
・流行を予測できない新しいタイプのインフルエンザ
・免疫を獲得していないためパンデミックになる恐れがある
・ヒトからヒトへ伝染するウイルスで生命、健康に重大な影響を及ぼす感染症
ということです。
新型ウイルスにはほとんどの人が抗体をもっていませんので、もし流行した場合、爆発的に世界中で大流行すると考えられています(パンデミック)。
かつて流行し今はヒトの間で消滅したインフルエンザウイルスが再び出現した時も、パンデミックとなり得ることが考えられています。
大規模なヒトへの感染が起こり、甚大な被害が生じた場合を想定し、可能な限りの準備を進め、できるだけその被害を少なくするという危機管理の視点がもっとも重要です。
まずは、インフルエンザワクチンの予防接種を受けましょう。
また、手洗い・うがいも忘れずに。
出典