長期の連休明けは、ゆっくり休めた人、意外に疲れた人など様々ではないでしょうか?
症状があるからといって、病気であるとは限りません。
今回は、疲労や全身倦怠感のお話です。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
疲労とは
長時間の運動や仕事を続けると、誰でも疲れが出てきます。
こうした疲労は末梢性疲労と中枢性疲労に大きく分類することができます。
末梢性疲労とは、運動を続けたときに起りやすい筋肉などの疲れで、中枢性疲労は脳が疲れを感じている状態です。
この中枢性疲労では、長時間の考え事や精神的な緊張状態が続いたときに、脳の調整能力が十分に働かなくなって、疲労を感じるようになります。
その他、食生活の乱れや不規則な生活、運動不足が疲労の原因になっていることもあるでしょう。
そんなとき、十分な休息や睡眠をとることで疲労を回復できる場合は、生理的な疲労であり、病的な疲労とは言えません。
しかし、十分な休息をとっても疲労が回復しない、全身のだるさや倦怠感が長く続くときは、その背景に何らかの病気があるかもしれません。
身体の病気はありませんか?
こころの病気の中には、身体症状を伴うものが決して少なくはありません。
もし、身体症状が長く続く場合には、まずは身体疾患の面から受診するのがよいでしょう。
疲労や全身の倦怠感が出てくる場合の主な身体疾患として、貧血や悪性腫瘍、糖尿病、高血圧など様々な病気があります。
それでも疲労がとれない時には
一般的に、疲れがとれない場合は内科を受診することが多いでしょう。
内科では、血液検査や胃の検査など、身体疾患についての検査を行います。
そこで、とくに異常がみられない場合に、精神科や心療内科を紹介されることもあるでしょう。
その結果、うつ病だと診断されることもあります。
こうしたことは、遠回りをしているように見えるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
逆に、うつ病の治療をしていて、たまたま体の検査をしたら、うつ病の背景に糖尿病があることがわかったということもあります。
ですから、身体症状について、体の病気の検査を行うのは患者さんにとってもメリットがあることなのです。
心の健康は大丈夫?
疲労と関係が深いこころの病気には、うつ病だけではなく、統合失調症や適応障害、不安障害、身体表現性障害など、様々な疾患が考えられます。
たとえば、うつ病はエネルギーが消耗する病気だとよく言われます。
うつ傾向を示す病気にもいろいろな種類がありますが、大きなストレスを受けながらも、責任感の強さから懸命に頑張り過ぎた場合に、疲労が蓄積していると考えられます。
意欲が減退するとともに、倦怠感に覆われ、症状が重い場合には、疲労からまったく動けなくなることがあります。
非定型うつ病の特徴のひとつに鉛様麻痺という症状がありますが、これは体が鉛のように重く感じて、立ち上がるのにも苦労するほどの疲労感を覚える症状です。
統合失調症では、幻覚や妄想によって、緊張や不安が強くなり、そこから疲労が生じてくることも多いでしょう。
外出するだけで、いろいろな刺激に耐えられなくて、疲れてしまうことも少なくありません。
適応障害や不安障害等も同様に、不安や緊張の連続から、心身ともに疲れてしまうといったことが起こります。
「休めばそのうち治るだろう」と考えるかもしれません。
しかし、休んでも疲れがとれない、疲労感が長く続く、生活に支障が出ているといった場合には、何らかの病気が背景にあるかもしれません。
そんなときは、早めに医療機関を受診したほうがよいでしょう。
疲れの原因がうつ病である場合は、うつ病の治療を行うことで、身体症状も軽減していくでしょう。
なかなかとれない疲労感、全身倦怠感は心の病気も検討して見ることが大切です。
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