「若いころは気にならなかった夫の癖が、
最近気になってイライラする……」
「夫のイビキがうるさくて、
イライラして眠れない……」
こんなお悩みを抱えていませんか?
そのイライラはもしかしたら
更年期のせいかもしれません。
更年期の女性は、
自分の感情をコントロールできなくなり、
不必要にイライラしてしまうことがあります。
この記事では、更年期のイライラと
上手に付き合っていくための方法をご紹介します。
更年期とは
更年期とは、閉経前後の10年くらいの期間のことです。
女性ホルモンのバランスがくずれることで、
心身ともに不調があらわれる場合があります。
月経不順から始まり、のぼせやめまい、
倦怠感、不眠など症状には個人差があります。
更年期にイライラしてしまう理由
更年期になると、女性ホルモン(エストロゲン)の
分泌が減っていきます。
これに伴い「幸せホルモン」とも呼ばれる
セロトニンの分泌が少なくなり、
イライラしやすくなってしまうのです。
さらに、ホットフラッシュや睡眠不足、
仕事や私生活におけるストレスなどが重なると
精神的に不安定になり、イライラや落ち込みなどの
症状があらわれやすくなります。(※1)
簡単にできるイライラ対処法5選
更年期がくるのは避けられませんが、
できればイライラを増幅させず、
穏やかにすごしたいですよね。
ここからは、前向きな気持ちで更年期を乗り切るために、
簡単にできるイライラ対処法を5つご紹介します。
相手に対して過度に期待しない
相手に対して「こうしてくれるはず」と
期待をかけてしまうと、期待が外れたときに失望し、
感情が不安定になりがちです。
期待どおりに行動してくれることのほうが
少ないのだと、あらかじめ期待値を下げておけば、
相手との衝突を避けられます。
頑張った自分にご褒美
仕事や家事など、女性の毎日はマルチタスクで
こなさなければならないことが山積みです。
いつも頑張っている自分のために、
少し贅沢なお菓子を買ってみたり、
お風呂にゆっくり入ったり、
頑張った自分にご褒美をあげるようにしましょう。
アロマオイルを使う
イライラを感じているときには、
アロマオイルを使うのもおすすめです。
アロマで用いられる精油のなかには
エストロゲンと似たような作用を持つ精油もあり、
更年期症状の緩和効果が期待されます。
アロマオイルの一種である
「クラリセージオイル」を使用すると、
ホットフラッシュが減少した
という研究報告もあります。(※2)
クラリセージオイルは、
ハーブ系のさわやかさと、やや甘いナッツのような
香りをあわせもったアロマオイル。
気になる方は、まずは香りが好みに合うか
確かめてみましょう。
生活習慣の見直し
運動習慣がない人や食生活が乱れている人は、
生活習慣を見直しましょう。
更年期のイライラの原因のひとつはストレスです。
定期的に運動することで、
ストレスが解消するだけでなく、
生活習慣病の予防につながるといわれています。
ヨガや水泳など、体力に合わせ無理をせずに、
少しずつ進めていってください。
また、食生活の乱れは、
更年期の若年化を招くとされています。
食生活を見直し、良質なタンパク質やカルシウムは
十分に摂取し、脂質は抑えるようにしましょう。(※3)
セロトニンの分泌を促進させる
セロトニンは必須アミノ酸の一種である
トリプトファンから作られる
脳内の神経伝達物質のひとつです。
セロトニンが低下すると、攻撃性が高まり、
不安やうつ・パニック症(パニック障害)などの
精神症状を引き起こすといわれています。
近年、女性ホルモンの分泌の減少にあわせて、
セロトニンが低下することが判明し、
更年期障害と関わりがあることが
知られるようになりました。(※4)
セロトニンの分泌を促進させるためには、
トリプトファンを多く含む、
バナナ、乳製品、豆腐や納豆の豆製品、卵、ゴマを
摂るようにしましょう。
また、ヨガやウォーキングなどの運動をすることでも、
セロトニンの分泌が増加します。
ウォーキングはメリハリをつけ、
少し息があがるくらいの早足で
一歩ずつ踏みしめて歩くといいでしょう。
さらに、朝起きたらカーテンを開けて
陽の光を浴びるのも、セロトニン分泌を
促すとされています。(※5)
更年期症状には漢方薬もおすすめ
更年期症状に悩む人には漢方薬もおすすめです。
漢方薬は、自然の生薬を組み合わせて作られており、
心とからだ全体の乱れたバランスを
根本から回復させる働きを持ちます。
そのため、イライラだけでなく、
他のさまざまな更年期症状の改善にも
同時にアプローチできます。
更年期のイライラには、
● 血流をよくして自律神経のバランスを整える
● 過剰な興奮を鎮める
● 抗ストレス作用
● ホルモンバランスの乱れを整える
などの働きをもった漢方薬を選びましょう。
<更年期症状におすすめの漢方薬>
加味逍遙散(かみしょうようさん)
とくに更年期障害や月経異常などの女性特有の症状に
悩む女性に向いている漢方薬です。
血行の促進や自律神経の調整などの効果が期待でき、
疲れやすい、イライラする、
のぼせや肩こりがするなどの不調がある人に用いられます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
「気」(エネルギー)を巡らせて
からだにこもった熱を冷ますことで、
ストレスを和らげて自律神経を整える
働きのある漢方薬です。
不安、動悸、不眠、イライラや抑うつなどの
神経症などに悩む人にも用いられます。
漢方薬は、更年期症状に対する
治療のひとつとなっており、
更年期のさまざまな症状にアプローチできますが、
飲む人の状態や体質に合っていないと、
効果を感じられないだけでなく、
場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、
専門家に力を借りるのがおすすめです。
スマホで気軽に専門家に相談できる
「あんしん漢方」のような、
オンライン個別相談も話題です。
あんしん漢方はAI(人工知能)を活用し、
漢方のプロが効く漢方を見極めて
自宅に郵送してくれるオンライン漢方サービス。
スマホで完結できるので、
対面では話しづらいことも気軽に相談できますよ。
お手頃価格で不調を改善したい方は、
医薬品の漢方をチェックしてみましょう。
イライラしがちな更年期を穏やかに過ごそう
更年期のイライラは、多くの女性に共通する悩みです。
夫にイライラするときは、
アロマオイルを使ったり、生活習慣を見直したりして
心を落ち着かせましょう。
また、セロトニンを増やす食事や運動を
取り入れるのも効果的です。
漢方薬を服用するのもおすすめですが、
自分に合ったものを選ぶためには
専門家のアドバイスを受けることが大切です。
適切な対処方法を知っておくことで、
更年期を穏やかに過ごしましょう。
<参考サイト>
(※1)女性の健康課題別体験談 「職場でキレる女性」の原因は性格ではなく、更年期症状の場合も|東京都産業労働局
(※2)更年期女性のホットフラッシュに対する クラリセージ精油の経皮吸収効果の検討 | 横浜看護学雑誌 Vol.14,No.1,pp.52-60,2021
(※3)更年期とうまくつきあう方法を教えてください。 | 千葉県 健康福祉部健康づくり支援課
(※4)セロトニン(せろとにん) | e-ヘルスネット
(※5)セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境 | 大阪河﨑リハビリテーション大学紀要 5 11-20, 2011-03
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。