何はともあれ肩が痛い
「肩関節周囲炎」は、肩の関節が炎症を起こし、痛んだり、動きが悪くなったりする病気で、一般的に「いわゆる五十肩」といわれています。
中高年なら誰にでも起こりうる病気ですが、症状に合った治療や運動療法を行うことで、痛みを軽くし、早く治すことができます。
五十肩の特徴
①両肩同時にはなりません。
②一年くらいで症状が治まります。
③利き腕でなくても五十肩になります。
④原因は肩の老化です。
五十肩になりやすい人
①40代~60代
②普段、肩をあまり使わない人。
③男女差はほとんどありません。
五十肩の症状
①運動痛・・・・肩を動かすと痛い。特にひねると痛い。
②夜間痛・・・・痛みで眠れない。寝返りうつだけで痛い。
③挙上障害・・・自力で腕を上げられない。
④インピンジメント徴候・・・・腕を上下すると水平あたりでひっかかる。
五十肩の治療はどんなことをするの?
一般的に急性期と慢性期の二つに分けて考えます。
①急性期・・・強い痛みがある場合には、安静にして薬物療法を行います。無理な動作は控えましょう。湿布などの外用薬、ヒアルロン酸などの関節内注射をすることもあります。
②慢性期・・・痛みが治まってくると、運動制限が起こります。肩関節の動きが悪くなり、医師の指示のもと、温熱療法や運動療法を行います。
予防やリハビリにはどんなことをしたらいいの?
強い痛みが落ち着いたら、肩の動きをよくするため、積極的に運動を行いましょう。
ただし、無理は禁物。医師や理学療法士の指導のもと、手軽な運動を毎日続けることが大切です。
肩ストレッチ①
肩ストレッチ①
痛い側の肘を胸の方に近づけます。
痛くない側の手首で痛い側の肘を支えます。
痛くない手首でゆっくりと胸の方に近づけます。
痛みが出る直前で止めて20秒ストレッチします。
痛い所と痛くない所の中間を見つけてください。
肩ストレッチ②
肩ストレッチ②
両方の手を頭上で組みます。
痛くない手でゆっくりと痛くない側に引っ張ります。
痛みが出る直前で止めて20秒ストレッチします。
痛い所と痛くない所の中間を見つけてください。
肩ストレッチ③
肩ストレッチ③
痛い側の手首を痛くない側の手で掴みます。
痛くない側の手で掴んだ手首を頭の方向に引き上げます。
痛みが出る直前で止めて20秒ストレッチします。
肩ストレッチでの注意点
- 動かす範囲は痛みのない範囲(痛くなる直前の位置)で行ってください。
- 呼吸を止めずに、ゆったり20秒ずつ行いましょう。
- 一度にたくさんではなく、少しずつ頻回に行ってください(1時間に1回程度)。
- もしも痛みが強くなるようなことがあれば、中止して医師に相談してください。
日常生活で注意することは?
日常生活の中には、肩をひねったり、ねじったりする動作がたくさんあります。
痛みがあるときは、肩に負担がかからないよう、特に次のような動作に気をつけましょう。
★肩に負担のかかる動作に注意しましょう ・高いところのものをとる ・遠くにあるものをとる ・重いものを持ち上げる ・着替え・窓拭き・洗濯物を干すなどの家事や日常動作
★肩を冷やさないようにしましょう ・肩を冷やすと血行が悪くなり、筋肉や腱などがこわばります。冷房や夜間寝ている間の冷えには特に注意しましょう。
★適度な運動を普段から ・五十肩は、あまり体を動かさない人に多い病気です。普段から無理のない範囲で積極的に体を動かすようにしましょう。
五十肩かなと思ったら
- 頭の後ろで両手が組めますか?
- 後ろに手を回して腰から肩甲骨まで両手が上がりますか?
- 右手で左肩に触れますか?反対側はどうですか?
五十肩は中高年なら誰にでも起こりうる病気ですが、「年だから仕方ない」、「そのうちに良くなる」と、治療をうけずに我慢している人も少なくありません。
しかし、症状に合った治療をすることで、痛みを改善したり、再発を防いだりすることができます。
自覚症状がでる前に肩ストレッチをするなど、予防をしましょう。
また、痛みがでたら、受診をしましょう。
出典
肩の痛みを和らげ、再発を防ぐために 肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)の治療ハンドブック 中外製薬株式会社
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長