肝機能障害

定義

肝不全は、肝機能が大幅に低下した状態です。肝不全は肝臓を損傷する疾患や物質により引き起こされます。黄疸、疲労、脱力感、食欲不振などの症状がよくみられます。腹部に体液がたまる腹水や、あざや出血が発生しやすくなるなどの重篤な症状もみられます。
診断は症状、診察結果、血液検査結果に基づきます。通常は原因の治療に加えて、たんぱく質摂取の調整、食事の減塩、アルコール摂取の禁止を実施します。
肝不全はウイルス性肝炎、肝硬変、アルコールやアセトアミノフェンといった薬物による肝障害など、あらゆる肝臓の病気の結果として生じます。肝不全が起こる前に、肝臓のかなりの部分が損傷を受けています。肝不全は数日から数週間のうちに急速に進行する場合(急性肝炎)もあれば、数カ月から数年かかって徐々に進行する場合(慢性肝炎)もあります。
肝臓の機能不全によって、多くの影響が及びます。肝臓でビリルビン(古い赤血球が分解されてできる老廃物)を排出する処理が適切に行われなくなります。その結果が黄疸です。肝臓で血液凝固を支えるたんぱく質を十分に合成できなくなります。その結果、あざや出血が起こりやすくなります(血液凝固障害)。また、門脈圧亢進症が頻繁に生じます。その結果、腹腔内の体液貯留(腹水)や肝性脳症が起こる場合があります。さらに、食道静脈瘤ができ、それが大量の消化管出血を招くことがあります。

関連する健診項目

食事改善提案

標準体重あたりのエネルギー摂取量は25~35kcal/kg・日、たんぱく質摂取量は1.0~1.3g/kg(標準体重)・日としましょう。
脂肪は肉などの飽和脂肪酸を抑え、エネルギー摂取量の20〜25%にします。
ショ糖など、精製された糖類は控えめにし、雑穀など精製されていない穀類などから炭水化物を摂取することをお勧めします。また、夏場の刺身など生食摂取を控えましょう。

運動改善提案

運動療法は内臓脂肪減少やインスリン抵抗性改善に有効です。ただし、急性肝炎の場合は安静が必要です。

生活改善提案

NASH(非アルコール性脂肪性肝疾患)は脂肪変性から進展すると考えられることから。脂肪肝を放置しないことが大切です。
肝機能障害などは原則的に食事療法、運動療法などの生活習慣を改善し、背景にある肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を是正することから始まります。まずは、生活習慣改善から始めましょう。