心臓は一生にどのくらい打ち続けるかご存じですか。
90歳まで生きるとすると、1分間に70回として、70回×60分×24時間×365日×90年で、ざっと33億回です。
大切な臓器である心臓ですが、公益財団法人日本心臓財団・日本循環器学会では、8月10日が810(ハート)と読めることから、この日を「健康ハートの日」と定め、その日を中心とした8月の下記日程で、生活習慣の改善を中心とした心臓病予防啓発活動を各地で行っています。
健康ハートの日設定趣旨
1985年に日本心臓財団は、高齢化が進むにつれて増える心臓病に対応するには、国民の予防意識の向上が不可欠であると考え、8月10日が ハート810 と読み取れることから、覚えやすいように語呂合わせでこの日を『健康ハートの日』と定めました。
これまでの「心臓病・脳卒中=病気」の予防というイメージから、“健康ハート”をつくるという明るいプラスのイメージで、この日を中心に新しい国民運動を展開しようと始めたものです。
生活習慣を見直そう
心臓病は単に高齢によるものだけではなく、生活習慣に原因があるケースも多くみられ、高齢者だけでなく、若者や働き盛りの壮年層にとっても無視できない病気です。
心臓病の危険因子には高血圧、脂質異常症(高脂血症)、肥満、糖尿病、喫煙などがありますが、これらの危険因子を軽減するには日常生活(ライフスタイル)を見直すことが大切です。
「健康ハートの日」はこうした生活習慣を見直し、血圧などをチェックすることで、暑い夏の一日を「こころとからだの休日」となるよう願ったものです。
「健康ハートの日」設定から約35年が経過し、その間に生活習慣病という言葉が生まれ、近年はメタボリックシンドローム、通称メタボという言葉が流行になりました。
長寿社会を迎えた日本にとって、単なる長生きではなく、いつまでも健康で過ごすことのできる健康寿命を伸ばすためには、よい生活習慣を身につけることが大切です。
平均寿命と健康寿命の差は、男性9.22年、女性12.77年。
この期間を少しでも短くすることが、これからの日本の課題といえます。
健康ハート10ヵ条
日本心臓財団では、よい生活習慣として健康ハート10ヵ条を提唱しています。
1 血圧とコレステロールを正常に。(太りすぎ、糖尿病には注意して)
2 脂肪の摂取は、植物性を中心に。
3 食塩は調理の工夫で、無理なく減塩。(1日、6g未満を目標に)
4 食品は、栄養バランスを考えて。(1日、30食品を目標に)
5 食事の量は、運動量とのバランスで。甘いものには要注意。
6 つとめて歩き、適度な運動。
7 ストレスは、工夫をこらして上手に発散。
8 お酒の量は、自分のペースでほどほどに。
9 タバコは吸わない。頑固に禁煙。
10 定期健診忘れずに。(毎年一度は健康診断)
脚は第二の心臓
忘れてはならないのが、ふくらはぎです。脚力、特にふくらはぎの筋力には、静脈を刺激することで血液を心臓へ送り返すポンプとしての役割があります。
体内の静脈は、体内で発生した老廃物を含んだ血液を心臓に向かって戻す血管で、足の静脈の血液を重力に逆らって下から上へと送り出しているのがふくらはぎの筋肉です。
縮んだりふくらんだりを繰り返すことで血液を押し流すポンプの役割を果たしているため、 「足は第2の心臓」 と言われています。
ふくらはぎの筋力を維持するには、まず、歩くこと。
そして、できるだけ座っている時間を減らし、小刻みでも良いので、立つ、歩く、座る等を繰り返し行うことです。
座っている時間が長いと筋力が低下します。
また、重力に抗うこともないため全身活動量も増えません。
まず、座っている時間を少なくすること。
最近のスマートフォンやウェアラブルでは、座っている時間が長くなると警告をしてくれるものもあります。
そういったツールを利用するのも一つですね。
そして、筋力をつけるには、つま先立ちをすることが簡単で、どこでもできる運動です。
歯磨き中、電車の中などちょっとした時間でできますし、効果も早く表れます。
電車の中など移動中は安全に注意して行うことが必要ですが、ふくらはぎに力が入れることができれば、座っていてもできるのでお勧めの運動です。
8月10日だけではなく、もっと心臓に興味をもって心臓病にならない生活習慣を継続していきましょう。
出典
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長