初夏は筍がおいしい季節です。
筍の旬はわずかしかないので、水煮やメンマにして保存する方もいらっしゃいますが、
今回は、筍の薬用作用についてです。
漢方効果
筍は早めにお召し上がりください。時間が経過すると固くなってしまいます。
料理用に用いられる筍には、食物繊維が多く含まれています。
食物繊維は、消化吸収されませんので、食物繊維を食べると、糖質や脂肪がゆっくりと吸収されます。
そのため、食後の血糖の上昇を少なくするなど、糖尿病の患者さんの食事療法に役立ちます。
また、竹の葉は「竹葉(ちくよう)」、幹の部分(稈)の内側を「竹如(ちくじょ)」といい、いずれも漢方薬としての作用があります。
竹の漢方作用
ササの葉(竹葉)、竹(竹如)には、鎮静、鎮咳、解熱、抗炎症作用があり、「清肺湯(せいはいとう)」「竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)」という漢方薬を構成する生薬として用いられ、痰の多い咳の出る患者さんに処方されます。
また、ササの葉から抽出した多糖類には、抗腫瘍作用があるとして現在研究が行われています。
食用としての筍
筍には、独特の「エグミ」がありますが、下茹ですれば灰汁(あく)が取り除かれ、アミノ酸の一種であるチロシンなど、うまみ成分が出てきます。
チロシンには、脳を活性化させ、老化防止に役立つ作用があります。
オススメしたい理由としては、噛む回数が多いほど認知症予防に効果があるといわれているため、この点でも、筍はオススメの食物です。
また、タウリンといってイカゲソやタコなどにふくまれる疲労回復に役立つ物質があります。
これらの魚介類と筍を組み合わせると肝機能を強化する働きがあります。
皆さんがよく目にする「若竹煮」ですが、わかめなどの海藻類と一緒に煮ると筍が柔らかくなり、うまみが増すといわれています。
春が旬のわかめと筍に木の芽をいれて「若竹汁」で初夏を楽しみましょう。
出典
四季の健康 佐藤 祐造 風媒社
監修者情報 名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
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