近年有名人の乳がん告白や、若くして乳がんで亡くなる方がいらっしゃるなど、乳がんが注目されるようになりました。
実は乳がんは、生活習慣病の一つだという事はご存知でしたか?
今回は乳がんのお話です。
増加する乳がん
乳がんは女性ばかりでなく、男性も罹患します。
乳腺という器官が体の中にあるからです。
男性の乳がんも「0ではない」ことを理解しましょう。
国立がん研究センター調査では、2016年の乳がん罹患率(りかんりつ)は9万人で、女性のがん罹患率のトップでした。
女性の乳がんの罹患率は30歳代から増加しはじめ、40歳代後半から50歳代前半にピークを迎え、その後は次第に減少します。
どちらかというと若年性のがんという印象があります。
しかし早期に発見してきちんと治療すれば、初期のⅠ期、Ⅱ期では5年生存率が90%を超えていることも最近の報告でわかりました。
つまり、がん検診がとても有効であると言えます。
乳がんの予防には
飲酒がエストロゲン(=乳がんのリスクとなる女性ホルモン)を増加させることが、乳がん発症に影響していると推測されています。
その為、下記の生活習慣対策がおススメです。
① 節度のある適度な飲酒をする
特に女性は、肝臓が小さくアルコール分解能が低いのでアルコールの影響を受けやすいです。
② 飲めない人には、勧めない、飲まない
③ 運動不足にならないように、日常生活を活動的に過ごす
④ 特に閉経後は女性ホルモンの関係もあり、適正な体重を保つ
⑤ 脂肪の多い食事を避け、緑黄色野菜を摂るなどバランスの良い食事にする
⑥ 禁煙
何と言っても検診を受ける
生活習慣に気をつけていても、遺伝的要素が強いことも否定できません。
そういった場合には検診が有効です。
2016年の乳がん検診受診率は44.9%と、以前と比較して多くの方が受診をするようになりました。
しかし、まだ若年者への周知や助成が不足しているためか、罹患率が増加しています。
乳がんは、検診が大きな効果を挙げています。
「恥ずかしい」「痛い」という声が多く聞かれますが、乳がん検診にはなるべく女性検査員を配置しているなど、配慮している健診機関も多くあります。
また月経のあと一週間ほどであれば、乳房が張っていないため痛みをあまり感じず受けられます。
どんな検査を受けるといいの?
40歳以上は、レントゲンを用いたマンモグラフィーと決まっている自治体・健保が多いです。
しかしマンモグラフィーでは、「石灰化」などが見えづらいことがあります。
若年者は特にその傾向が強いため、30代では超音波エコー検査を勧めることもあります。
マンモグラフィーと超音波エコー検査を併用した場合、乳がんの発見率が1.5倍になると、2016年に東北大学から発表されました。
遺伝性検査とは
遺伝性の乳がんは乳がん全体の5%~10%になります。
40歳未満の乳がん患者がいる、男性の乳がん患者が血縁にいるなどいくつかの要件に当てはまる場合に、遺伝的検査を勧められることがあります。
まだ保険適用がなく20万円ほど費用がかかりますが、血縁内に乳がん患者が続く場合には、検討するとよいでしょう。
基本は検診と生活習慣改善です
乳がんは生活習慣病のひとつなので、まずは、検診で毎年確認をしてください。
再検査勧奨されている場合は、必ず、再検査を受診しましょう。
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出典
国立がん研究センター がん診療連携拠点病院等院内がん登録2015年全国集計、2008年5年生存率集計公表
四日市アルコールと健康を考えるネットワーク 「乳がんとアルコール」
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
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