「お酒の飲み過ぎで認知症を発症する」
ということをご存知でしょうか?
認知症にはさまざまなタイプがありますが、
アルコールが関係する認知症も存在します。
今回は、アルコールと認知症の関係性や、
アルコール性認知症の症状、
今から実行するべきアルコール対策まで、
具体的に解説します。
アルコール性認知症とは
まずは、アルコール性認知症の説明の前に、
認知症や認知機能の定義、そして
アルコール性認知症との関係性について解説します。
認知症の定義
「認知症」とは、認知機能が後天的な脳の障害で低下し、
日常生活に支障をきたす状態のことです。
「認知機能」とは、
五感をもとに、記憶したり、考えたり、判断するなど、
脳で理解して表現する能力です。
認知機能が衰えると、
身体・精神の活動に影響を及ぼします。
認知症には、さまざまな発症理由があり、
厚生労働省
「都市部における認知症有病率と
認知症の生活機能への障害への対応」
によると、
その原因の内訳は、
アルツハイマー型が67.6%、
血管性認知症が19.5%、
レビー小体型認知症が4.3%、
前頭側頭型認知症が1.0%、
その他が7.6%となっています。(※1)
アルコール性認知症の仕組み
アルコール性認知症とは、
アルコールの過剰摂取を原因とする認知症です。
前述のような、認知症発症の原因がなく、
アルコールに原因がある場合、
アルコール性認知症と診断されます。
アルコール性認知症は
まだ不明な部分も多い病気ですが、
アルコール摂取による脳血管障害や、
ビタミンB1欠乏による
ウェルニッケ・コルサコフ症候群などが
深く関係しているといわれ、
アルコールを過剰摂取することで
それらのリスクが増大することも。
それ以外にも、肝硬変、糖尿病、頭部外傷など、
アルコール性認知症を引き起こす原因は
さまざまなものがあります。(※2)(※3)
アルコール性認知症の症状
続いては、アルコール性認知症の
主な症状の特徴について見ていきましょう。
・記憶障害
・作り話
・感情を抑えられない
・注意力や判断力の低下
・日時や場所がわからない
・歩行のふらつき
・手の震え
アルコール性認知症は、
記憶が曖昧になる症状があらわれます。
過去の出来事を思い出せなくなったり、
新しい情報を覚えにくくなったりすることがあります。
また、話の内容が混ざり合い、
無意識のうちに事実とは異なる話をしたり、
本人に嘘をつく意図はなくても、記憶障害の影響で
虚偽の内容を話してしまったりすることも。
さらに、感情のコントロールが
難しくなって興奮しやすくなり、
攻撃的な言動がみられることがあります。
幻覚、意欲低下などが生じる場合もあります。
加えて、自分の状況を正しく把握できない
「見当識障害」も。
日付、時刻といった認識や、
自分がいる場所の認識も曖昧になってしまいます。
身体的な症状としては、
歩行時にバランスがとれず不安定になり、
手がブルブルと震えるなどの症状も目立ちます。
今からやるべきアルコール対策2選
ここからは、アルコール性認知症を予防するための
対策方法を2つご紹介します。
一緒に水を飲む
アルコールの過剰摂取を防ぐには、
お酒と一緒に水や炭酸水などの
非アルコール性飲料を飲む
「チェイサー」の習慣をつけましょう。
過剰飲酒を防ぐほか、飲酒時の脱水症状を予防し、
アルコール代謝を促せます。
酔いの回りを遅くし、
二日酔いの対策にもなります。
水を飲むことで満腹感を得られるので、
飲酒量を抑えることにつながり、
過度なアルコール摂取を防ぎ、
アルコール性認知症リスクを減らすことができるのです。
食事をしてから
アルコール摂取前に食事をすることで、
アルコールの吸収を穏やかにして、
からだへの負担を軽減できます。
血中アルコール濃度が上がると、
脳への負担が大きくなりますが、
胃の中に食べ物がある状態なら、
体内へのアルコール吸収を緩やかにでき、
血中アルコール濃度の急上昇も防ぐ効果を期待できます。
また、肉や魚、卵など、
たんぱく質や脂質を含む食事をとると、
アルコールの影響を和らげることができるため、
食事のバランスを意識することも大事です。
以上の対策を行い、
アルコール性認知症を予防していきましょう。
ただし、認知症の疑いがあるなら、
まずは病院を受診することが重要です。
認知症は放置するとどんどん進行していくので、
適切な治療を行う必要があります。
診療科は「精神科」「神経科」「神経内科」などが
おすすめです。
かかりつけ医がいるなら、
そちらに相談するのもいいでしょう。
お酒の過剰摂取を控え、アルコール性認知症を予防
アルコール性認知症とは、
アルコールの過剰摂取が原因の認知症です。
記憶障害、作り話、感情の不安定を始め、
自分の居場所がわからなくなるなどの症状や、
手の震えや歩行障害などの身体症状もみられます。
十分な水分の補給、食事のタイミング、
たんぱく質や脂質の摂取など、
さまざまな部分に気を配り、
アルコールの過剰摂取を防いで
アルコール性認知症を予防していきましょう。
<参考サイト>
(※1)知っておきたい認知症の基本|政府広報オンライン
(※2)e-ヘルスネット
(※3)アルコールは認知症リスクを高める?|朝日生命
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。