股関節レントゲン画像

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    立ち上がるとき、歩きはじめに足の付け根に痛みはありませんか?

     

    足の付け根には股関節と言われる関節があります。

    この股関節は人が2本の足で立って歩くのにとても重要です。

    人は股関節で体重を支え、股関節を中心に足を動かしているからです。

     

    しかし、体を支える関節は年齢とともに少しずつ傷みます。

    特に関節のクッションの役割を果たしている軟骨は年齢と共に徐々にすり減っていきます。

    股関節の軟骨がすり減った状態を医学用語では変形性股関節症と言います。

     

    もし、変形性股関節症になったら2度と痛みを感じることなく歩くことはできないのでしょうか?

    今回はこの変形性股関節症という病気とその予防策、治療方法について解説しましょう。

     

     

    変形性股関節症ってどんな病気?

     

    年齢とともに関節の軟骨がすり減っていき骨の形が変形したり、関節が腫れたりすることを変形性関節症と言います。

     

    変形性関節症になると軟骨がないところに体重がかかることや関節内で炎症が起こることで痛みが出ます。

    足の付け根、つまり骨盤の骨と太ももの骨の関節のことを股関節と呼びますが、

    この股関節で変形性関節症になることを変形性股関節症といいます。

     

    股関節は体の中心となる関節で体を支えることや、歩行時の足の運動に大きな役割を果たしています。

    変形性股関節症となると、立ちあがる時、じっと立っている時、歩いている時などに股関節に痛みが出て、

    日常生活に大きな影響を与えてしまいます。[1]

     

    変形性股関節症は何歳くらいから?どんな症状?

     

    変形性股関節症は日本に約500万人いるとされており、比較的多い病気です。

    40歳から50歳以上の中年以降に発症することが多く、男女比は14と女性に多い病気です。

     

    病気になった最初の頃は股関節を動かし始めたときに痛みを感じることが特徴的です。

    軟骨がどんどん傷んでしまうと痛みを感じる時間が増えていき、

    人によっては体重がかかっていない状態の寝ているときにも痛みが出てくることもあります。

     

    さらに悪化すると、股関節の形が変わってしまい、股関節を動かせる範囲が小さくなってしまいます。

    具体的には靴下を履いたり、爪を切ったりするなどの動作が難しくなってきます。

     

    また関節の変形がひどくなってしまうと痛みのある足の長さが短縮してしまうこともあります。[2]

     

     

     

     

    変形性股関節症って何が原因でなるの?

     

    変形性股関節症になりやすい人とは?

     

    変形性股関節症は軟骨が擦り減ることが原因なのでやはり歳をとるとなりやすくなります。

     

    さらに股関節への負担が大きい人は変形性股関節症になりやすいです。

    具体的には激しいスポーツをしたり、重量物を持ったりすることが多い人は要注意です。

     

    また太っている人は当然股関節への負担が大きいので危ないです。

    ただ、遺伝的な原因があるとも報告されており、

    股関節の骨盤側の関節の受け皿が生まれつき小さい人や骨の量を測る骨密度が高い人も変形性股関節症になりやすいとされています。[3]

     

    変形性股関節症が悪くなる理由は?

     

    軟骨は一度傷つくと回復が期待しにくいです。

    そのため、ひとたび変形性股関節症になってしまうと若い頃のような股関節には戻れず、悪くなるだけです。

     

    ただし、どんどん悪くなっていく人とゆっくり悪くなる人がいます。

    どんどん悪くなる人はやはり股関節への負担が大きい人です。

     

    特に肥満体型の人や股関節の受け皿が小さい人は股関節への負担が大きく悪くなりやすいとされています。

    何かしらの病気や薬の副作用でどうしても痩せることができない人もいると思いますが、

    そうでない場合、変形性股関節症になってしまったらまずはダイエットをしましょう。

     

     

    変形性股関節症になったらどうしたらいいのか?

     

    まずは整形外科へ行こう

     

    そもそも、「股関節の痛みが出る=変形性股関節症」というわけではありません。

    例えば痛風や関節リウマチ、関節内にばい菌が入ってしまうことも股関節に痛みが出ます。

    本当に股関節の痛みが変形性股関節症なのかを整形外科を受診し、確認をしましょう。

     

    整形外科ではどんな治療がされる?

     

    変形性股関節症になると治療方法として有名なのは人工関節でしょう。

     

    しかし、手術をする前に他の方法で痛みが取れれば手術は必要ありません。

    ではどのような治療があるのかを解説しましょう。

     

    薬や注射など

     

    変形性股関節症で痛みが出る一番の原因は関節の中の炎症です。

    そのため痛みをとる方法としては炎症を抑える治療になります。

    特に飲み薬で有効なものは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)という薬です。

     

    代表例は、「ロキソニン®︎」という名前で知られています。

    また湿布も外用の非ステロイド性抗炎症薬であり、貼ったところから炎症を抑える成分を吸収する薬なので効果が期待できます。

    他にも整形外科へ行くとステロイドという炎症を抑える薬液と痛み止めを混合した注射を股関節に直接打つこともできます。

     

    ただし、ステロイド自体が組織を傷める可能性があったり、

    ばい菌と戦う力を弱めたりと副作用もあるためたびたび打つことはお勧めしません。

     

    またステロイドの関節内注射は血糖値を上げてしまうので糖尿病がある人はかかりつけの先生に相談し、

    許可が出てから注射してもらいましょう。

     

    運動療法(リハビリ)はどんなことをするの?

     

    運動療法の目的は股関節の周りの筋肉を鍛えて、関節の負担を減らし、関節がグラグラしないようにすることです。

     

    お尻にある中臀筋や大臀筋を中心に鍛えます。

    バランスボールやゴムチューブを用いて行うとより効果的になります。

     

    また変形性股関節症では骨の変形だけでなく、関節を包んでいる膜が硬くなることで関節の動きが悪くなることもあるため、

    関節を動かす可動域訓練やストレッチも効果的です。[4]

     

    手術はどんな方法があるの?

     

    手術療法としては大きく分けて自分の関節を温存する方法と温存しない方法に分けられます。

     

    関節を温存する方法としては体重がかかるところの軟骨がすり減って痛いのであれば

    骨を切って体重がかかる場所を変える骨切り術とよばれるものがあります。

     

    また内視鏡を使っていらない骨を削る手術やわざと骨に穴を開けて中から

    骨髄という再生する組織を出すことで軟骨を修復させる手術があります。

     

    一方、関節を温存しない方法は「人工関節」です。

    この人工関節もお尻側を切るのか股関節の前側を切るのかなど様々な方法があります。

     

    どの手術が一番いいかは骨のすり減り具合や患者さんの年齢、社会的背景なども考えて総合的に判断されます。[1]

     

     

    変形性股関節症に対し、家でもできること

     

    運動療法は何も整形外科でしかできないわけではありません。

    家でもできる自重運動を紹介しましょう。

     

    まず股関節の後側と体幹のストレッチとして、仰向けで膝の抱え込みを行います。

     

    そして、抱え込んだ状態をやめ、膝を体の外がわに倒すこと(ガニ股のようなイメージ)で股関節の前側のストレッチを行いましょう。

     

    また筋力増強トレーニングとして、片足立ちやスクワット、かかと上げ運動(カーフレイズ)を行いましょう。

    四つん這いになった状態で片足を伸ばして上下に動かす運動や横向きに寝て上の足を上げ下げする運動もおすすめです。

     

    いずれのトレーニングも最初から無理をしてはいけません。

    スクワットや片足立ちなどは机や手すりを持った状態からはじめるなど軽い運動から始めましょう。[1][4]

     

     

     

     

    まとめ

     

    今回は股関節に痛みを感じる変形性股関節症の解説をしました。

     

    日本では高齢社会をこえて超高齢社会へと移り変わっており、いかに健康寿命を延ばすかが課題となっています。

    股関節は体の中心となる関節であり、体幹を支えると同時に歩行の基盤となる関節です。

    股関節を悪くしないことは健康寿命においてとても重要です。

    自身で行えるセルフトレーニングや体重コントロール等の自己管理により、痛みの少ない生活を目指して行きましょう。

     

     

    【参考文献】

    [1] 山本豪明 ほか, 関節外科, Vol 38, No 10, 2019, 30-44

    [2] 病気が見える, Vol 11, 運動器・整形外科, 2017, 404-408

    [3] 池裕之,稲場裕, Pharma Medica, Vol 39, No 6, 2021, 53-57

    [4] 仲宗根哲 ほか, Journal of clinical rehabilitation, Vo1 28, No 7, 2019, 677-687