マトリョーシカ

    特定感染症保険

     

    各地で新型コロナウイルスの第二波が確認されています。

     

    第一波と比較し、重症者は少ないものの、感染陽性者の数はぐんぐん増加しています。

    感染陽性者数の増加の理由の一つに、第一波の頃の10倍以上のPCR検査を行うことができていることがあげられます。

     

    ただ、夏風邪とよく似た軽症者が多いとはいえ、高齢者が罹患すると年齢が1歳上がるごとに死亡確率が1.14増加します。

    また90%の人が何等か1つ以上の慢性疲労等の後遺症に悩み続けています。

     

    新型コロナウイルスは、未曽有のウイルスであるばかりではなく、原因や対策がわかりづらく扱いの難しいウイルスでもあるのです。

     

    PCR検査の最近の動向ですが、「症状がないのにPCR検査で陽性になる」人いわゆる「無症候性患者」が増えています。

     

    国立保健医療科学院のホームページでは、

    「無症状病原体保持者からの感染を示唆する報告もみられますが、現状では、まだ確実なことはわかっていません。通常、肺炎などを起こすウイルス感染症の場合、症状が最も強く表れる時期に、他者へウイルスをうつす可能性も最も高くなると言われています。」

    と掲載されています。

     

    ということは、本来であれば、

    1. 病気にかかるとその病気に応じた症状がでる

    2. 通常、肺炎などの感染症の場合は症状が最も強い場合に排ウイルス可能性が高い

     

    ということですが、新型コロナウイルス感染症では、「無症状であるのに検査をすると陽性になっている」ということです。

     

    この矛盾した状態は、「元気で通常の生活をしている人がコロナウイルスを排出させている」ということになり不安があおられます。

     

     

    無症状の人は一体どれくらいいるのか。

     

    COVID-19 UPDATES

     

    ダイヤモンドプリンセスクルーズ船の乗客からのデータでは、検査陽性患者619名のうち318名が無症状でした。

    全搭乗者3711名のうち感染者は619名(17%)であり、そのうち無症状318名は全搭乗者に対して9%にあたります。

     

    このころは、まだコロナウイルス症状の定義もあいまいで短い検疫期間中の検査でもあり、発症前の患者を含むなど流動的な数値ではありますが、あの閉鎖空間で「元気だ」「病気になってない」と思っていた人の半分が実は陽性であり、ひょっとしたら「スプレッダー(拡散する人)」だった可能性もあります。

    これらの無症候性陽性者患者を最近では「サイレントスプレッダー」と呼ぶようです。

     

     

     

     

    閉鎖空間ではなく、一般の病院等ではどうなのか。

     

    ウィスコンシン州の2つの郡にある2つの病院で、無症候性コロナウイルス患者の有病率を測定するトライアルが報告されてます。

     

    結論は、両病院で確認された無症候性患者は1%以下であり、1つの病院はウィスコンシン州ミルウォーキー群にあり、コロナウイルス患者発生率が高いにも関わらず、コロナウイルス患者がそれほど多くないデーン群の病院と同じ数値だったとしています。

    しかし、この数字は病院へ診察のために来院した人、手術を受ける人など新型コロナウイルス以外での「患者」の有病率であること、限定された地域での数値であることがわかっており、この数値をそのまま一般市中環境に用いることはできません。

     

    他には、中国では0.3%だったこと、イギリスの大きな病院の医療従事者では0.5%だったとの報告があり、無症候性患者の数はそれほど多くはないのかもしれないという見方もできます。

     

    ただ、BMJ BestPracticeでは、集団における無症候性症例の有病率を推定することは困難であり、1.2%~12.9%と推定されるとしています。

     

    症状がない人ほど検査を受ける機会や気持ちも少ないため、本当の意味でのサイレントスプレッダーの数はわかっていないのではないでしょうか。

     

     

     

     

    無症候性患者は感染させる力をもっているのか。

     

    PERSPECTIVE

     

    2020年6月には世界保健機関(WHO)が「不顕性感染者(無症状だが陽性者)が他者に感染させるリスクは極めてまれ」という発表をしたにもかかわらず、数日後には「誤解であった」と釈明会見をしたことは記憶に新しいことでしょう。

     

    ある報告では、無症候性患者のグループと有症候性患者グループのウイルス排出期間の比較をしました。

    軽症患者の鼻咽頭吸引液のウイルス排出期間の中央値は14日でした。

    しかし、無症候性患者のウイルス排出期間の中央値は有意に長く、19日でした。

     

    ここで注意したいのは、ウイルスRNAの検出は、必ずしも感染性ウイルスが呼吸器検体に存在することを意味するわけではないということです。

     

    今回、無症候性患者のウイルス排出期間が長いからといって、必ずしも感染性ウイルスが含まれているとは言い切れません。

    それは、疾患の重症度、ウイルス排出の期間の定義、検体採取の頻度など、さまざまな研究でのウイルス排出の期間の変動にはいくつかの要因が関与している可能性があるからです。

     

    国際保健機関(WHO)では、無症候性患者は、症状を発症する人よりもウイルスを伝染する可能性がはるかに低いとしています。

     

    ただ、これを証明するウイルスの感染力に関するリポートがまだなく、現在では、陽性患者の手動追跡結果に基づく自己申告とPCR検査の結果からの推定でしかありません。

     

    今回調査した結果をまとめてみると

    1. 無症状患者も排ウイルスをしていることが判明しました

    2. その排ウイルス期間は有症状患者の中央値よりも5日間長かった

    3. しかし、排出されているウイルスに感染力があるかどうかが判明していない

    4. さらに、一般市中における無症状陽性患者数を推定することが難しい

     

    という結果になります。

     

    今回の調査内容は

    1.世界の一部のデータをさらにかいつまんで掲載していること

    2.新型コロナウイルスはその型や性質をどんどん変化させて生きながらえていること

    3.今後も医療は進歩していくこと

    などの流動性をはらんでおり、現時点の世界の一部分の情報としてお受け取りください。

     

    今後、新型コロナウイルスの性質、特徴などももっと判明していくことでしょう。

    それに伴い、ワクチン開発、予防法、治療法なども革新的に変化をしていくでしょう。

     

    ヘルスライフ情報WEBでは、コロナウイルスに対する新しく正しい情報を入手して皆様にお届けしたいと考えています。

     

     

    出典

    国立保健医療科学院 HP

    国立感染研究所 フィールドブリーフィング:ダイヤモンドプリンセスCOVID-19ケース、2月20日更新

    The Lancet VOLUME 395, ISSUE 10229, P1054-1062, MARCH 28, 2020
    Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study

    BMJ BestPractice Coronavirus disease 2019 (COVID-19)

    Infectious Diseases Society of America
    2020 Aug 19;ciaa1225. doi: 10.1093/cid/ciaa1225. Online ahead of print.(公開前の論文)
    Prevalence of SARS-CoV-2 asymptomatic infections in two large academic health systems in Wisconsin

     

    監修者情報

    佐藤祐造 []

    名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

    内科医、医学博士。名古屋大学大学院医学研究科修了。専門は内科・糖尿病学・スポーツ医学など。日本糖尿病学会理事、日本臨床スポーツ医学会会長、日本肥満学会会長などを歴任。著書に『糖尿病教室』(新興医学出版)ほか。