定期健康診断の有所見で、圧倒的に多いのが血中脂質です。
中性脂肪が高い、LDLコレステロールが高い、HDLコレステロールが低い人がこれにあたります。
どうしたら血中脂質が適性になるの?と聞かれることが多いので、今回は、血中脂質を上げない食事療法について説明します。
脂質異常症とは?
血液中のLDLコレステロールや中性脂肪などが過剰に増えたり、良い働きをするHDLコレステロールの量が減りすぎた状態のことです。
血液中のコレステロールが増えすぎた状態が続くと、動脈硬化の原因になります。放置しておくと、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすおそれもあるのです。
食事の基本は、摂取エネルギー量を抑え、血中脂質の上昇を抑えてくれる食品をバランスよくとることです。
魚や大豆製品などは、脂質異常症の方が積極的にとりたい食品です。
「コレステロール値を改善する」ためのひと工夫
血中のLDLコレステロール値が高い方が気をつけたいのは、肉類の脂肪分のとり過ぎです。牛肉や豚肉は脂身が少ない部位を選び、鶏肉は皮をとり除いて食べるようにしましょう。
ベーコンやソーセージもとり過ぎに注意したい食品です。コレステロールが多い卵や魚卵、レバーなどはたくさん食べ過ぎないようにします。卵は1日1個までにしましょう。
食べたほうが良いもの
大豆に含まれるたんぱく質には、血中のコレステロール値を下げる働きがあるため、豆腐や納豆などの大豆製品は積極的に食卓へ。
豆腐なら100g(約1/3丁)、納豆なら50g(1パック)が1日の目安量です。
野菜や海藻類、きのこなどに含まれる食物繊維は低エネルギーで、コレステロールの吸収を緩やかにしてくれる働きがあります。
外食の多い方は野菜たっぷりのメニューを選ぶなど、野菜を補うように心掛けましょう。
魚に多く含まれる油(DHAやEPA)は、血液の流れをスムーズにする働きがあるなど、食べる回数を増やしたい食品です。
サンマやアジ、イワシなどの青背魚だけでなく、ヒラメやカレイ、タラなどの白身魚にも含まれています。
エネルギー量を抑えるには、「揚げる」よりも、「生食」「焼く」「ゆでる」「煮る」といった調理法を選びましょう。
気をつけたいもの
バターやラード、牛脂はLDLコレステロール値を上げやすい油です。ラードや牛脂は市販のフライドポテトやカレールーなどにも多く含まれます。
一方、LDLコレステロール値を下げる作用のあるオリーブ油やひまわり油などを使うのはよい方法ですが、とり過ぎには注意しましょう。
アルコール(エタノール)は1gあたり7カロリーの熱量を持っていますが、栄養素はほとんど含んでいない上、多量の飲酒は血中の中性脂肪の上昇につながります。
あくまでも“適量”を守ることが大切です。
また、アルコールには高エネルギーの揚げ物や味の濃いおつまみがつきものです。食欲が増すことで食べ過ぎにつながりやすいため、おつまみは野菜の煮物や酢の物などを選ぶように意識しましょう。
お菓子や甘い飲料は糖質が多く含まれるため、とり過ぎは中性脂肪を増やします。お菓子を控えるとともに、飲み物はジュースや清涼飲料水ではなく、水や無糖のお茶を選ぶようにしましょう。
生活習慣病の予防は食生活から
食べ過ぎなどの食生活の乱れは、内臓脂肪を増やす要因です。
それが高血糖や高血圧、脂質異常、脂肪肝などにつながり、さまざまな生活習慣病の発症リスクを高めます。できるだけ早い段階で食生活を改善していきましょう。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
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