今回は、「みとり(看取り)」のお話です。
「みとり」とは、病人のそばにいて世話をすること。
また、死期まで見守り看病すること全般のことです。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
ご自宅で最後を迎えたいと思う人は71.7%。
自宅で最期を迎えたいと思う方は71.7%。
一方、実際に自宅で最後を迎えられる人は12.4%という状況です。
現在年間約130万人の死亡者は、2040年のピーク時には約167万9000人になる見通し。
在宅でのみとりの増加も見据えて、政府は昨年6月、遠隔の死亡診断の条件付き解禁を閣議決定。
その後、厚労省研究班が具体的な条件や手順の検討を進め、今年6月、指針案をまとめました。
在宅みとりの最大問題は、死亡診断書の作成です。
地域医療や家族が「看取り」をできるかどうかにかかっています。
特に火葬に必須の死亡診断書の交付には、医師による診察が必要です。
しかし、離島や過疎地では医師の到着が難しく、自宅から病院への搬送を余儀なくされることもあります。
また、都市部でも、かかりつけ医が休日、夜間の対応をしない場合には死期が近づくと施設・病院に入院するケースも多くあります。
医師がみとりを行っていない場合などは、事件性を否定できないため、警察が介入する場合も少なからずあり、遺族の心理的負担が増加します。
このように、医師のみとりと死亡診断書が必須である現状では、在宅みとりや自宅での最期が難しくなってしまうのです。
みとりに情報通信技術(ICT)の活用を
そのため厚生労働省は、医師が対面することなく、情報通信機器を使って死亡診断を行える体制を整備。
情報通信技術(ICT)の活用で、住み慣れた場所でのみとりを可能にすることを目標としています。
これは、患者さんや家族にとっては朗報で、最期の願いがかなえられる人が、今後多くなるのではないかと思います。
看護師の活躍でみとりが可能に
看護師の活躍とICT技術、法体制の整備で自宅でのみとりが可能に!(WEBサイト「ヨミドクター」より)
具体的には、特定の研修受講など限定された看護師が行う予定です。
また、医師が12時間以上対面での死亡診断書発行ができないなど一定の条件下で行うものです。
手順は、以下の通りとなります。
〈1〉看護師が、患者の写真を撮影したり、携帯できる心電図計でデータをとったりする
〈2〉誤送信を防ぐシステムを使い医師に送信
〈3〉データを読み取って医師が診断
〈4〉看護師が死亡診断書を代筆し家族に渡す
看護師は、スマートフォンやタブレット端末でご遺体の写真をとり、データとともに医師に送る。
医師は「死亡」と確認すれば、看護師に死亡診断書の代筆を指示し、医師はテレビ電話などを通じて遺族に口頭で説明するという流れを想定。
最終確認は、医師が行うこととなっています。
家族の思いをひとつに
自宅でのみとりには、家族の理解が一番大切です。家族間でしっかり話し合いをしておきましょう。
もちろん在宅みとりをする場合には、家族との話し合い、家族の理解が一番重要です。
住み慣れた自宅での最期を迎える瞬間を、かかりつけ医と看護師がともに支援する。
ICT技術が組み込まれ、遠隔医療が可能にできる在宅みとりの実現が始まろうとしています。
出典
厚生労働省 情報通信機器(ICT)を利用した 死亡診断等ガイドライン
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