手の指がしびれる…その原因は!?放置すると危険な病気かも

「手の指がしびれて、なんだかうまく動かせない…」

「親指の付け根が瘦せてきたかも…」

 

そんな症状に当てはまる方はとても危険です。

もしかすると、「手根管症候群」と呼ばれる

病気の可能性があります。

 

本記事では、

女性に多いと言われる「手根管症候群」の症状や

症状のチェック方法、治療法をご紹介しています。

 

悪化するとなかなか治りにくい病気でもあるので、

最近、手のしびれが少しでもあった方もなかった方も、

症状のチェック方法を試して、

早期発見を心がけましょう。

 

女性に多い病気「手根管症候群」

 

手根管症候群は、

手の親指、人差し指、中指、薬指の中指側に

しびれや痛みが生じ、

ものをつまむ動作や縫い物がしにくくなる病気です。

7対3で女性に多く、

とくに40~60歳代によくみられます。

 

しびれや痛みが起こるのは、

正中神経という神経が圧迫されているためです。

病気が進むと、

親指の付け根の筋肉(母指球筋)がやせ、

手のひらが変形することもあります。

 

また、神経の圧迫が長期間続くと、

治療をしてもしびれなどが残りやすくなるので、

できるだけ早く適切な治療を受けることが大切です。

 

朝起きたときにしびれや痛みが強い

 

手根管症候群のしびれや痛みは、

人差し指と中指から始まることが多いようです。

だんだん親指や薬指の中指側にも症状があらわれます。

 

しびれや痛みは夜間や明け方に増し、

朝起きたときに強く感じますが、

手を振ったり指を曲げ伸ばしすると

楽になるのが特徴です。

 

原因は、正中神経という神経の圧迫です。

正中神経は、手首にある手根管という

トンネルを通って指の方に延びています(図1)。

 

手根管症候群

 

このトンネルには、指を動かすための

9本の腱(筋肉と骨をつなぐベルトのような組織)も

通っているのですが、

腱を包んでいる膜(腱鞘けんしょう)などに

炎症が起こって腫れると、

正中神経が圧迫され、手根管症候群が発症します。

 

手関節の骨折などの後遺症、腫瘍や腫瘤、

腱鞘炎、神経や筋肉の奇形、

仕事やスポーツでの手の使いすぎなどのほか、

糖尿病や関節リウマチなどの影響、透析の影響など

さまざまな理由で起こりますが、

理由がはっきりしないもの
(特発性手根管症候群)もあります。

 

女性の場合、妊娠出産時期と更年期に

手根管症候群になる人が多く、

ホルモンの影響だと考えられています。

詳しいことはわかっていませんが、

ホルモンの乱れによって、

手根管を通る腱の腱鞘がむくみ、

手根管のなかの圧が上がって

正中神経が圧迫されるという説が有力です。

 

治療は薬物療法が中心 進行した場合は手術も

 

手根管症候群になると、しびれや痛みだけでなく、

親指の脱力など運動障害もあらわれます。

 

また、親指の付け根の筋肉(母指球筋)が衰え、

人差し指と親指で輪をつくること
(OKサインをつくること)がうまくできなくなり、

ものをつまむ動作や縫い物が難しくなります。

 

母指球筋がやせて薄くなり(筋萎縮)、

猿手さるてと呼ばれる状態になることもあります。

 

 

治療は薬物療法が中心です。

消炎鎮痛薬の内服や湿布、

神経組織を修復する作用がある

ビタミンB12製剤の内服から始めます。

 

手の負担を軽くすることも大切です。

手首をサポーターなどで固定し、

手に負担のかかるような仕事や家事は減らして、

腱鞘の炎症(腱鞘炎)が鎮まるのを待ちます。

 

しびれや痛みが強い場合は、炎症を鎮めるために、

抗炎症作用のあるステロイド薬を、

手根管のなかの腱鞘に直接投与する

手根管内腱鞘内注射を行うこともあります。

 

これらの治療で思うような効果が得られず、

母指球筋がやせてしまった場合は、

正中神経の圧迫を取り除く手術を行います。

内視鏡下手術が可能であり、

切開する場合でも傷は小さくてすむため、

局所麻酔の日帰り手術が主流です。

 

腫瘍や腫瘤が原因の場合は、

これらを取り除くための手術が必要です。

 

正中神経の圧迫が長期に及ぶと、

神経が傷ついてしまい、治療を行っても

すっきり治らないこともあります。

 

朝に指がしびれるけれども手を触れば治るからと、

放置するのはよくありません。

なるべく早く整形外科医に相談しましょう。

 

すでに症状が進んでしまった場合でも、

あきらめずに治療をすることで、

それ以上の悪化を抑えられる可能性はあります。

 

頸椎症の症状と似ているため 正しい診断が大切

 

もし気になる症状があれば、

簡単にチェックできる方法があるので

試してみましょう(図2)。

 

手根管症候群のチェック方法

 

「ファレンテスト」を行う場合は、

手首を直角に曲げて左右の手の甲を合わせ、

その状態をキープ。

1分以内にしびれや痛みが悪化すれば、

手根管症候群が疑われます。

 

「ティネル微候」をみる場合は、

手首の手のひら寄りの部分を軽く叩きます。

叩いたときに、しびれや痛みが指先に響く場合は

手根管症候群の徴候があると考えられるため、

整形外科の診察が必要です。

 

整形外科では、これらのほかに、

母指球筋の筋力低下や筋萎縮の状態を調べたり、

腫瘍や腫瘤が疑われる場合は

超音波検査やMRIなどの画像検査も行います。

 

手根管症候群は、

頸椎症性神経根症の症状と

一部似ているところがありますが、

この2つは原因がまったく異なるので、

きちんと見分ける必要があります。

 

そのために有効なのが筋電図検査です。

弱い電気の刺激で、画像検査ではわからない

神経の働きを調べることができます。

筋電図検査は神経内科でも実施しています。

 

頸椎症性神経根症

 

手指のしびれや痛み、機能低下は

日常生活を不便にします。

症状を少しでも改善するために

適切な治療を続けましょう。

 

 

取材・文:NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部

医療ライター/看護師  天野 敦子

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※記事/図版等の無断使用(転載)、引用は禁止といたします。

 


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