息切れや長引く咳や痰。それはCOPDかも

 

肺の生活習慣病と言われている「COPD」。

煙草を吸われる方に多い病気です。

 

「最近、咳や痰が続いていて、治りそうにない…」

「すでに禁煙しているのに、なんだか肺の調子が悪い…」

 

そのような症状はありませんか。

 

症状が続くと、本来の肺の役割が徐々に失われていき、

心不全などの合併症を引き起こしやすくなります。

 

さらに、世界での死亡原因にも

上位にくるほどの恐ろしい病気なので、

放っておかずに、適切な治療を受けましょう。

 

この記事では、COPDの治療方法について、

解説しています。

 

受動喫煙の場合でも、

COPDを引き起こす可能性もありますので、

煙草を吸われている方も吸われていない方も

注目してみていきましょう。

 

まずは、COPDの症状についてです。

 

喫煙者の15〜30% が発症 COPDは肺の生活習慣病

 

歩いているときや階段の上り下りなど、

体を動かしたときに息切れがする、

同年代の人と歩いていて歩くペースが遅れる、

咳や痰がずっと続いて、

風邪を引いたときや運動をしたときにぜいぜいする―

 

もし、このような症状があるとしたら、

肺の病気「COPD」かもしれません。

 

COPDは、慢性閉塞性肺疾患のことで、

かつては慢性気管支炎や

肺気腫といわれていた病気が含まれます。

※COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略。

 

おもな原因は煙草です。

喫煙習慣のある人が、

中高年になってから発症することが多いため、

肺の生活習慣病ともいわれます。

現在は禁煙しているけれど、

過去に喫煙していたことがあるという人も要注意です。

 

COPDの患者数は年々増えており、

日本では40歳以上の8.6%、

約530万人と推計されています。

 

しかし、治療を受けている人は少なく、

大半は未治療です。

 

日本人の死亡原因として、

COPDは男性で9位
(厚生労働省 人口動態統計 2021年)。

世界での死亡原因では3位です。

 

気づかないうちに進行 受動喫煙にもリスクがある

 

なぜ、煙草が肺を悪くしてしまうのでしょうか。

 

煙草の煙には、

粒子成分4300種類、ガス成分1000種類もの

化学物質が含まれていますが、

このなかには有害物質もあります。

 

とくに有害なのは、

一般にもよく知られている

ニコチンやタール、それに一酸化炭素です。

 

これらの有害物質を吸い込むと、

気管支や肺が炎症を起こし、傷つきます。

気管支の先にある肺も、

肺胞というブドウの房のような

形をした組織が破壊され、

酸素がうまく取り込めなくなってしまいます。

 

肺の役割は、酸素を取り込んで、

二酸化炭素を排出させることですが、

COPDの人はその働きが低下するため、

階段を上り下りしただけで酸素不足になり、

息切れするのです。

 

この病気はゆっくり進行するため、

かなり進んでからわかる人も少なくありません。

 

自分自身は煙草を吸わなくても、

身近な人が吸っていれば、

受動喫煙という状態になり、

COPDになる危険性が高いとされています。

 

禁煙で進行を抑え 薬と呼吸器リハビリで治療

 

治療の基本は、いうまでもなく禁煙です。

煙草を吸い続ければCOPDは進行していくので、

禁煙して進行を食い止めたうえで、

薬による治療や呼吸器リハビリを行い、

症状の改善を目指します。

 

薬は、気管支を広げて

呼吸を楽にする薬(気管支拡張剤)を使います。

 

飲み薬ではなく吸入薬を用いますが、

その理由は、吸入薬の方が

効果が高く副作用が少ないからです。

 

COPDの治療では、薬物療法とともに

呼吸器リハビリを行うことがとても大切です。

 

呼吸器リハビリとは、

呼吸筋を鍛える運動療法や、

楽な呼吸法などを総合的に行うもので、

医師や理学療法士の指導を受けながら

続けていく必要があります。

 

症状が進行し、継続的に酸素を吸入していないと

日常生活に支障がある場合は、

在宅酸素療法(HOT)を行います。

 

呼吸機能が著しく低下すると、

心不全など深刻な合併症を起こしやすくなるので、

早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。

 

ゆっくり進行し、初期は自覚症状のないCOPDですが、

呼吸機能検査で発見することができます。

 

呼吸機能検査は、紙製の筒をくわえて息を吸い、

思いきり吐くだけという簡単な検査です。

 

気になる症状がある方は、

かかりつけ医に相談してみましょう。

 

 

取材・文:NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部

医療ライター/看護師  天野 敦子

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※記事/図版等の無断使用(転載)、引用は禁止といたします。

 


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