新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、ニュースで度々話題になる「変異ウイルス」。
通常の新型コロナウイルスと何が違うのでしょうか?
今回は、2020年冬季に猛威を振るった「変異ウイルス(以下、変異株)」について学んでいきましょう。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
新型コロナウイルスに新たな動き
ボリス・ジョンソン英首相は2020年12月19 日に緊急記者会見を開き、
新型コロナウイルスの感染力の強い新しい変異株が急速に広がるロンドンやイングランド南東部、
東部に「Tier 4」(警戒レベル4)の都市封鎖(ロックダウン)を発動しました。
イギリスで何が起こっているのか?
2020年12月、イギリスでは、ロンドンを含むイングランド南東部でCOVID-19 の症例が急増しました。
そのため、ウイルス学的調査を強化した結果、南東イングランドで増加している COVID-19 症例の多くが、新しい単⼀の系統に属していることが確認されました。
これは、簡潔に言うと「既存の新型コロナウイルスが新たに変化した」ということになります。
そのため、「今までのウイルスとは違う症状が出るの?」「もしかして、開発されているワクチンは効果ないのでは?」など、さまざまな疑問が上がりました。
新しい変異株は?
以前に流行していた変異株よりも有意に感染力が高く、実行再生産数(Rt)を 0.4 以上増加させる可能性があると推定され、最大70%の感染力の増加が推定されました。
実際、イングランド南東部で患者の増加が顕著で、14 日間の症例届出率は、41 週目の人口10 万人当たり100 例から50週目には人口10 万人当たり400 例以上に増加しました。
この新変異株は、イギリスで【SARS-CoV-2 VUI 202012/01】と呼ばれています。
スパイク蛋白質とは
ウイルスには、表面にスパイク蛋白質と呼ばれる突起があります。
これは、1つのウイルスに20から40個くらいあり、表面は蛋白質で覆われています。
このスパイク蛋白質がコロナウイルスの付着や融合、侵入に大きな役割を果たしているので、ワクチンはまずこのスパイク蛋白質を標的にします。
今回変異している問題点の多くは、このスパイク蛋白質の変異でした。
しかも、その変異数が多いことも問題となっていました。
ウイルスは常に変異によって変化し、新しい変異株の出現につながることが知られており、予測されています。
新型コロナウイルスも、すでに月に2回の変異を起こしていることが知られています。
この新しい変異株については、現在も調査が継続していますが、詳細について判明しておりません。
日本でのリスクは?
ウイルスは常に突然変異によって変化しており、新しい変異株の出現は十分予想されることです。
その為、変異株に対して懸念をしても、正直なところ仕方がありません。
しかし、人体に対する影響が未知であり、急激な感染増加も見られているため、感染拡大がさらに強まる可能性があります。
そんな今、私たちにできることは、感染予防を徹底することです。
マスクは、症状等ある方が飛沫によって他人に感染させない為に有効です。
ただ、「耳が痛くなる」「息苦しくなる」「フィットしない」といった声もよく聞きます。
そういったことでお悩みのアナタ、こちらのマスクはいかがでしょうか?
今後もしっかりと感染予防に努めましょう。
出典
国⽴感染症研究所 2020年12⽉22⽇英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について (第1報)