女性 腹痛

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    急な腹痛に悩まされている方、もしかしたらその腹痛は糖尿病と関係がある腹痛、

    つまり糖尿病の前兆かもしれません。

     

    また、既に糖尿病の診断を受けている方で、最近腹痛の症状が気になる方も、

    「腹痛と糖尿病って何か関係があるの?」と気にされている方もいらっしゃるかと思います。

     

    本記事では上記のような方々のために、

    「糖尿病と腹痛の関係性について」徹底的に解説していきます!

     

    最近腹痛で悩まされているという方は、本記事を参考にして医療機関への受診を検討されてはいかがでしょうか?

     

    「そもそも糖尿病ってどんな病気なの?」と気になる方はこちらの記事もご参照ください。

     

    「糖尿病予防にはコーヒーが効果的!」って本当?

    監修者情報

    佐藤祐造 []

    名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

    内科医、医学博士。名古屋大学大学院医学研究科修了。専門は内科・糖尿病学・スポーツ医学など。日本糖尿病学会理事、日本臨床スポーツ医学会会長、日本肥満学会会長などを歴任。著書に『糖尿病教室』(新興医学出版)ほか。

     

     

    腹痛は糖尿病に関係がある?

     

    糖尿病と腹痛には、関係がある場合があります!

    その原因としては様々で、神経障害や下痢など様々な原因が考えられます。

     

     

     

     

    腹痛で糖尿病と考えられる原因は?

     

    糖尿病と腹痛の関係性については、以下のような原因や合併症が考えられます。

     

     

    糖尿病性ケトアシドーシス(DKA

    糖尿病神経障害

    下痢や便秘

    胆石症

     

     

    糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

     

    糖尿病性ケトアシドーシスとは、糖尿病による急性の合併症で、その多くは1型糖尿病患者に起こります。

    症状には、腹痛(特に小児)を始め、吐き気、嘔吐、強いのどの渇き、頻尿、

    特徴的な呼気のフルーツ臭などがあり、

    治療を行わずに放っておくと進行して最終的には死に至ることもあります。

     

    糖尿病には1型と2型の2種類があり、どちらの場合でも血液中の糖分(ブドウ糖)の量が上昇します。

    ブドウ糖は体の主な燃料源であり、そのブドウ糖の血液中から細胞への移動を助けるのが、インスリンです。

    (※ブドウ糖は細胞内に取り込まれることでエネルギーに変換され、作用します。)

     

    そのため、十分なインスリン量がないと血液中のブドウ糖が細胞へ移動できず、エネルギーに変換されません。

    しかし、生きるためにはエネルギーが必要となるため、

    インスリン量が追い付かない場合は予備のメカニズムに切り替わります。

    すると脂肪細胞が分解され、ケトン体という物質が産生されます。

    ケトン体は細胞にエネルギーを供給することができますが、それと同時に血液の状態を酸性にしすぎてしまいます。

    この状態がケトアシドーシスです。

     

    このケトアシドーシスが、糖尿病の人に発生すると、糖尿病性ケトアシドーシスとよばれます。

    この糖尿病性ケトアシドーシスは、主に1型糖尿病の人に発生することが多いですが、

    まれに2型糖尿病の人に発生することもあります。

     

    糖尿病性ケトアシドーシスは、糖尿病を発症した人の最初の徴候になる場合もあり、

    また糖尿病であることが既に分かっている人でも発生することがあります。

     

     

    糖尿病神経障害

     

    高血糖が続く糖尿病患者には、全身の細い血管や神経の障害がでてきます。

     

    その結果、糖尿病患者の方に起こる特有の病気として

    糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害という病気があり、

    この3つをまとめて「三大合併症」とよばれています。

     

    この中の1つである糖尿病神経障害では、自律神経に異常が表れることがあり、腹痛の症状が表れる場合があります。

     

     

    下痢や便秘

     

    糖尿病の人は、下痢や便秘になりがちといわれています。

    胃や胆のうの機能低下や自律神経障害によって、腸の運動がきちんと行われないことが原因で、

    下痢や便秘になりやすいのです。

     

    特に、糖尿病神経障害による下痢は特徴的で、腸の動きや不快を感じる神経が弱っているため、

    腹痛のない下痢の症状が現れる場合があります。

    そのため、何の前兆もなく水のような下痢が急激に出てしまい、

    トイレに間に合わないということもしばしばあるようです。

     

    これは「糖尿病性下痢」という病名がついており、治療には強い薬が必要となってきます。

     

     

    胆石症

     

    糖尿病患者の方は、胆石症の合併頻度が高いとされています。

     

    胆石症とは、胆汁が流れる道である「胆道」に石(結石)ができる病態を総称して言います。

    胆石は、胆汁に含まれるコレステロール等の成分が凝縮されて結晶化し、固まったものです。

    特徴的な症状としては、腹痛を始め、

    右脇腹やみぞおち、背中、右肩の痛み、おなかの張り、吐き気、嘔吐、便秘等が考えられます。

     

    胆石症の最大の原因は、コレステロールを多く摂取しすぎる食生活であると考えられています。

    コレステロールが多く取り込まれることで、胆汁内のコレステロールが増えたり、胆のうの働きが低下し、胆石症を発症します。

    そのため、胆石は肥満の人にできやすいとされ、デンマークのコペンハーゲン大学が行った調査でも

    「肥満が胆石の危険因子である」ことが判明しています。

     

    日本でも、食生活の欧米化や高齢化によって、胆石症の患者さんは年々増加しており、

    現在では成人の10人に1人が胆石を持っているとされています。

     

    胆石ができやすい人の特徴としてよく知られているのが「5F」です。

    これは「Fatty(太った)」、「Female(女性)」、「Forty40代)」、「Fair(白人)」、「Fecund(多産婦)」

    の頭文字をとったもので、この他にも糖尿病患者の方や血中コレステロールが高い人、

    美食家さん等が周りにいらっしゃる方も要注意です。

     

    胆石は、自覚なく進行している場合も多いため、上記の症状がみられる方は胆石症も疑い、

    医療機関を受診された方が良いでしょう。

     

     

     

     

    まとめ

     

    まとめ

     

    いかがでしたでしょうか?

    糖尿病と腹痛には関係性があり、様々な原因が考えられます。

    特に糖尿病性ケトアシドーシスは、1型糖尿病の初発症状となる場合もあるため、

    ただの腹痛が糖尿病の初発症状だった」という可能性も十分にあり得ます。

    また、既に糖尿病患者の方も、上記のように症状に腹痛を伴う様々な合併症も考えられるため、腹痛には注意が必要です。

     

    腹痛は、医師にとっても診断がしづらい症状とされており、痛みを感じる場所によってさまざまな病気の可能性が考えられます。

     

    既に糖尿病で腹痛の症状がみられる方、糖尿病の診断を受けていなくても最近腹痛が気になるという方、

    自己判断に任せず、一度お近くの医療機関を受診されてはいかがでしょうか?

     

     

    【出典】   

    日本消化器病学会ガイドライン「胆石症ガイド」

    MDSマニュアルプロフェッショナル版「糖尿病ケトアシドーシス(DKA)」

    糖尿病お助け隊「糖尿病は腹痛になりやすい?理由と症状危険な病気の可能性」

    MDSマニュアル家庭版「糖尿病ケトアシドーシス」

    糖尿病ネットワーク「胆石の原因と対策 症状がないまま早期にみつかる人が増加」

    Stefan Stender, Borge G. Nordestgaard and Tybjærg-Hansen. Hepatology2013)『Higher BMI Increases Risk of Gallstones, Especially in Women

    原和人、横山隆、古田和雄、安田清平『糖尿病を伴った胆石症の特徴とその術前、術後管理の検討』