完全栄養食「玄米」の栄養価と効果を解説!白米との違いは?

お米と唐辛子

 

みなさんは「ごはん」と聞くと、何を思い浮かべますか?

多くの方は白いご飯、「白米」を思い浮かべると思います。

そんな白米ですが、炭水化物として分類され、他の穀物と比べて血糖値を

上げやすいという性質を持っています。

 

一般的に、白い炭水化物は血糖値を上げ、脳卒中や動脈硬化などの病気を

引き起こしやすいといわれています。

血糖値や生活習慣病のリスクを抱えている方は、摂取に注意したいものです。

 

とはいえ、日本人にとって当たり前のように食卓に並ぶ「ごはん」。

これを食卓からなくす、というのはなかなか難しいのではないでしょうか?

 

そこで今回は、同じコメであり、「完全栄養食」と呼ばれる「玄米」の効果と

白米との違いをご紹介します。

 

監修者情報

佐藤祐造

名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

 

 

完全栄養食とは

 

完全栄養食とは、人間が生きるために必要な栄養素を十分に含んでいる食品のことです。

完全食とも呼ばれています。

 

玄米栄養成分表

 

上記の図は、消費者庁が公表している、栄養素等表示基準値の一部です。

1日に人間がとるべき栄養素は年齢や性別、運動量によって変わってきますが、一般的に

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に基づき設定されている

この「栄養素等表示基準値」を指標としています。

 

完全栄養食は、これらの様々な栄養素を含み、極端な栄養の偏りをなくしてバランスを

保つことを目的としています。

「毎日これだけを食べていればいい」という訳ではありませんが、意識して日々の食事に

取り入れていきたいですね。

 

そんな完全栄養食の一つに、日本人の大好きな「おこめ」、玄米があるのです。

 

 

完全栄養食・玄米

 

では、玄米にはどういった栄養素があるのでしょうか?

今回は、生活習慣病や発育という観点から、以下の3つの栄養素に着目してみました。

 

マグネシウム

 

マグネシウムは人体に必要なミネラルの一種で、リンやカルシウムとともに骨を形成する

ほか、体内のさまざまな代謝を助ける機能をもっています。

 

成人では、体内に約20g~30gが存在し、その約6割はリン酸マグネシウムや

炭酸水素マグネシウムとして骨や歯に含まれ、残りは筋肉や脳・神経に存在しています。

300種類以上の酵素を活性化する働きがあり、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調節にも役立っています。

 

また、血管を拡張させ血圧を下げる働きもあります。

子供の発育や、高血圧の抑制にはうってつけの栄養素といえます。

 

玄米には、このマグネシウムが100gあたり110㎎含まれています。

これは、同じ白米(23mg)のおよそ4.8倍の含有量となっています。

 

ビタミンE

 

ビタミンEには、活性酸素による体内の酸化を防止する作用があります。

免疫機能を高め、体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退します。

 

また、血管拡張を促し、血管内で血液が凝固するのを防ぎます。

動脈硬化などの生活習慣病を予防するために摂取したい栄養素です。

 

玄米には、このビタミンEが100gあたり1.5㎎含まれています。

これは、同じ白米(0.1mg)の量の15倍の含有量となっています。

 

GABA

 

GABAとは「γ-アミノ酪酸(Gamma-Amino-Butyric-Acid)」の略で、ストレスを

軽減させる効果やリラックス効果があることで、近年注目されている成分です。

脳内の興奮を抑え、平常心を保つ手助けをしてくれます。

 

また、血圧降下作用もあるため、高血圧による脳卒中のリスクを軽減するはたらきもあります。

食事制限によるダイエットを行うと、空腹感がストレスの原因となり、

影響を及ぼすこともあるため、健康づくりには欠かせない栄養素といえます。

 

玄米には、このGABAが100gあたり3㎎含まれています。

これは、同じ白米(1mg)の量の3倍の含有量となっています。

 

 

玄米と白米の違いは何?

 

以下は、白米と玄米それぞれの、100gあたりに含まれる栄養素を比較した図になります。

 

玄米と白米の栄養比較表

 

エネルギーやたんぱく質などは大差ありませんが、図に示すミネラルなどの含有量は、

玄米に圧倒的に多く含まれていることが分かります。

同じ主食なのに、これほど違うのは驚きですね。

 

 

玄米の効果

 

白米と比較し、玄米の栄養素が高いことはわかりましたが、具体的に

どのように健康によいといえるのでしょうか?

以下の2点に着目して、その効果をご紹介します。

 

ダイエット

 

ダイエットに効果がある根拠として、以下の4つが挙げられます。

① 糖質や脂質の分解・代謝をサポートするビタミンB群が含まれている

② 糖をエネルギーに変えるマグネシウムが含まれている

③ 腸内に長くとどまる食物繊維によって、満腹感を増して過食を防止する

④ 血糖値が上がりにくい性質を持っている

 

これらにより、糖質や脂質が体に溜まりにくく、食べ過ぎない体づくりが出来るため、

ダイエットに効果があるとされています。

 

便秘予防

 

玄米に含まれる食物繊維によって便の量を増やしたり、大腸の中にいる腸内細菌と

結びついて腸の動きを活発化させたりします。

これにより、便秘が起こりにくい体が作られるのです。

 

 

玄米を食べるときの注意点

 

硬い糠(ぬか)を取り除いている白米と比べると、消化不良を起こす可能性が

あるため、玄米はしっかり噛んで食べましょう。

 

また、胃が痛くなったりアレルギーを引き起こしたりする例があるそうです。

健康のためとはいえ、体質に合わない場合は無理に玄米を食べないようにしましょう。

 

購入の際には、パッケージに「無農薬栽培」と書かれているものをおすすめします。

精米前の玄米には、白米よりわずかに農薬が表面に残留している可能性があるためです。

 

 

美味しく炊く方法

 

玄米に含まれている食物繊維は、水の吸収を妨げるはたらきがあります。

また、玄米を覆っている糠(ぬか)は硬いです。

そのため、白米に比べて炊き上がりに平均1.25~1.5倍多く時間をかける必要があります。

 

炊きはじめる前に、2~3回かるく洗い、玄米に対して1.5倍の量の水で炊き上げると

少し硬めの食感を残しつつおいしく炊きあがります。

柔らかくしたい場合は、一晩水に浸してから炊くとよいでしょう。

 

 

「ななつぼし」は、北海道で最も食べられている人気の品種です。

つや・粘り・甘味のバランスに優れ、お弁当等にも広く活用されています。

 

パッケージに書かれている農薬節減米とは、栽培地域において、従来から慣行的に

行われている化学合成農薬の使用回数を5割以下に削減して生産されたお米という意味です。

 

噛み応え、味わいともに白米より良いと話題になっています。

 

 

まとめ

 

玄米は、人間が1日に摂取したい様々な栄養素を含んでいる完全栄養食です。

育ち盛りの子どもから、ダイエットを考えている方、便秘、生活習慣病が

気になってきた世代まで、幅広く健康に良い効果をもたらしてくれます。

 

美味しく食べるためのコツは、水の分量を多めにして炊き上げることです。

一晩水に浸してから炊くと、よりふっくらと仕上がります。

 

また、白米に比べてお米そのものが硬いため、よく噛んで食べるようにしましょう。

 

 

【出典】

BASE FOOD MAGAZINE 「完全食」って何?身近で買える、栄養豊富な食べ物まとめ

厚生労働省 e-ヘルスネット マグネシウム

わかさの秘密 GABA

 

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