手消毒

    特定感染症保険

     

    新型の感染症対策として、消毒用アルコールが一時不足していましたが、最近ではどこでも入手ができるようになりました。

     

    インターネット通信販売サイトで除菌や消毒をうたう商品を検索すると、様々な成分を含む商品が販売されています。

     

    ここで迷うのが「殺菌・滅菌・抗菌」の違いです。

    どれが一番効果があるの?とお問合せがあるので今回は、この違いを説明します。

     

    監修者情報

    佐藤祐造 []

    名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

    内科医、医学博士。名古屋大学大学院医学研究科修了。専門は内科・糖尿病学・スポーツ医学など。日本糖尿病学会理事、日本臨床スポーツ医学会会長、日本肥満学会会長などを歴任。著書に『糖尿病教室』(新興医学出版)ほか。

     

    除菌とは

     

    除菌とは一般に化学的・物理的に微生物を取り除くことをいいますが、その対象や程度は公的には定められていません。

    一方、消毒とは一般に有害な微生物を除去、死滅、無害化することをいいます。

    手指の消毒は医薬品や医薬部外品の効能効果にあたるため、医薬品や医薬部外品にしか使えません。

     

     

     

     

    滅菌とは

     

    滅菌は無菌性を達成するためのプロセス、全ての微生物を殺滅または除去することをいいます。

    つまり、すべての菌(微生物やウイルスなど)を、殺滅させ除去することで、日本薬局方では微生物の生存する確率が 100万分の1以下になることをもって、滅菌と定義しています。

    しかし、これは現実的には、人体ではあり得ない状況(たとえばヒトの手を滅菌するには、人体の細胞ごと殺さなければならないことになる)で、例えば、医療器具などの菌に対しての用語だと考えられています。

    この基準は、日本ばかりでなく国際的にも採用されています。

    この滅菌は微生物への制御の中で最も厳しいものであり、無菌性が要求される注射剤や手術用器具などの制御では滅菌が必須となっています。

     

     

    殺菌とは

     

    これは、文字通り「菌を殺す」ということを指しています。

    細菌を死滅させる、という意味ですが、すべての菌を殺すことではありません。

    このため、その一部を殺しただけでも殺菌といえる、と解されており、厳密にはこの用語を使う場合は、有効性を担保したものではありません。

    殺菌・消毒は危険を減少させ、安全性を高める操作で、滅菌のように明確な概念ではありません。

    また、この「殺菌」という表現は、は薬事法上の用語で、人体に対して病気の予防目的で使用する医薬品(消毒薬など)や医薬部外品(薬用石鹸など)の効能・効果として“手指の殺菌消毒”のように使用されています。

    しかし、洗剤や漂白剤などの雑貨品は効果があっても法的に表記することはできなくなっています。

     

     

    除菌

     

    物体や液体といった対象物や、限られた空間に含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高めることをいう、とされています。

    台所洗剤のCMで除菌という言葉を耳にしますが、石けん公正取引協議会が定義する除菌とは、「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させること」とし、除菌の用語を使用する際には、対象物・用途・使用条件を明記することを規定しています。

     

    法律上では食品衛生法の省令で「ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去することをいう」と規定されています。

    いろいろな商品で、この性能を訴求する商品もたくさん出てきており、除菌の方法も洗浄やろ過など、各分野でさまざまな意味づけが行なわれ、それぞれ程度の範囲を示している、と考えられます。

    また、この細菌にはカビや酵母などの真菌類は含まれません。

     

     

     

     

    抗菌

     

    頃では幅広い商品に謳われるようになりましたが、「抗菌」とは「菌の繁殖を防止する」という意味です。

    経済産業省の定義では、抗菌の対象を細菌のみとしています。

    JIS 規格でその試験法を規定していますが、抗菌仕様製品では、カビ、黒ずみ、ヌメリは効果の対象外とされています。

    菌を殺し減少させるのではなく、繁殖を阻止するわけですが、これも対象やその程度を含まない概念です。

     

    まとめると学術等専門的に使用するのでなければ、滅菌>>>殺菌≒除菌>抗菌というイメージのようです。

     

    これらの概念は、生活の中で私たちが思っているのとは少し違うようです。

    特に、殺菌と滅菌は同様のものと考えている人が多いと日本石鹸洗剤工業会の調査で分かりました。

    また、「菌を減らすことは大切だから」、「菌の除去をしっかりするため」、「清潔に仕上がりそう・掃除できそう」、「ニオイが防げそう」、「同じ値段・目的なら表示ありがよさそう」という理由で、洗剤を購入する基準にしている方もいらっしゃると思いますが、一般の方が考えているほどの効果はないようにも見受けられます。

     

    除菌とは、「菌を減らすもの」であり、すべての菌がなくなるわけではありません。

    減らしたい菌にはそれぞれ効果的な薬剤がありますので、そちらに合う洗剤や消毒液や方法を選択しないといけないのです。

     

    また、すべての菌を取り除くことは不可能であり、人にとって害のない菌まで取り除くことはありません。

    害のない菌との共存も考えながら生活すること必要ですね。

     

     

    参考

    厚生労働省 感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きの改正について

    日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)「滅菌・殺菌・除菌・抗菌」などの用語

    (株)静環検査センター 生活衛生ニュース 2016.1 微生物制御に係る用語 ー滅菌、殺菌、消毒、除菌、抗菌、静菌ー