皆さんは農業の「農業のGAP」、ご存じでしょうか?
普段、あまり聞きなれない言葉だと思いますが、農業の仕組みを語る上でとても重要なのです。
今回は農業の「GAP」についてご紹介します。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
GAPと言えば
GAPというと、アパレルメーカーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
実は、農業のGAPとは「Good Agricultural Practice(良い農業のやり方)」であり、「適性な農業のやり方で生産しよう」という取組みのことです。
「農業生産工程管理」とも呼ばれています。
東京オリンピックでも・・・
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、GAP認証を所得した農畜産物が選手に提供されました。
たとえば、こんなこともGAPに該当します。
① 食卓に安全を届ける
異物混入を防ぐ、農薬を正しく利用するなどの取組みです。
② 環境にやさしい農業を行う
農薬や肥料は適切に使い、様々な生き物との共生を目指し、環境保全に配慮した農業を行います。
③ 農業者の笑顔を守る
安全に農作業を行うために危険な作業を把握し、服装や機械の使い方などのルールを作って実践します。
④ 動物にも優しい環境を整える
飼育環境に配慮した農場で、良質な飼料や水の補給を行い、適切に管理します。
なんと牛も寒いと、服を着ます。
GAPがもたらすいいこと
農産物の生産には、異物の混入や農機具での事故など様々なリスクが潜んでいます。
リスクを自ら見つけ、現場の整理整頓、生産履歴の記録などによって作業手順や機材などの管理を適性に行い、農畜産物の安全や環境の保全、働く人の安全を確保します。
そうしたことが、消費者にGOOD、生産者にGOODとなり、将来にわたり持続可能な農業を行えるための取組みです。
どのように認証している?
民間の第三者機関が審査によってGAPを正しく実施しているか確認します。
確認の結果、問題ないと判断されると、その農場は「GAP認証」を取得できます。
GAPは、実施するもの、取得するものが基本です。
日常生活にも活用できる
この「GAP」という考え方は、何も農業だけの話ではなく、日常生活でも応用できます。
整理整頓されている現場なら必要なモノが探しやすいし、安全に管理することができます。
作業手順がルール化されていれば、だれもが同じ手順でムダなく作業ができます。
もし事故が起きたときでも、事前に対応が準備されていれば、パニックにならず迅速に対処できます。
こんな日常的な取組がGAPです。
一つ一つは難しいことではありませんが、それを継続して実践することが大切なのです。
整理、整頓、清掃、清潔、習慣の5つの「S」。
これを毎日行えば、それだけで作業の効率化やリスクの軽減が図れます。
農業をする人にも、消費者にも恩恵がある
農作業をする人が安全に効率よく作業ができることは、強い競争力を生み出します。
それが、ゆくゆくは消費者の安全やおいしい食べ物につながっていきます。
今は、なかなか目にする機会も少ないですが、今後このような考え方がスタンダードになり、農家の離職低下や生産コスト削減につながっていくといいですね。
参考
農林水産省 aff 2018.12月号