2020年10月2日、アメリカのトランプ大統領がツイッターで「COVID-19(新型コロナウイルス)検査で陽性だった」とツイートしました。
一国の首長が新型コロナウイルスにかかるのも彼が初めてではありませんが、
その発表がツイッターであったことや、夫人も同様に陽性であったことなど、多くの衝撃を含んだ発表は世界を駆け巡りました。
信頼できる情報かという議論にはいろいろありましたが、わかりやすいところで「ウィキペティア」ではトランプ大統領の日常生活を次のように伝えています。
(トランプ大統領は)
「食生活はビッグマック、ケンタッキーフライドチキン、ドミノ・ピザといったファストフードのルーチンを好み、飲料はもっぱらダイエットコーラを愛好し、一日中飲んでいるほどとされる。
また、食事時間以外にもポテトチップスを常食している。
運動はほとんどせず、睡眠時間は3、4時間程度で十分との考えを持っている。
自身の健康に自信をもっているものの、体重は107キログラムに及び、スタチンやプロペシアを服用しているとされる。」
(注)
スタチンは、脂質異常症の薬。
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬 とあり、新型コロナウイルスのハイリスク者にロックオンされています。
身長が190センチとあったので、体重107のトランプ大統領のBMIは29.6。
日本では、BMI25以上で肥満となるため、体型自体も少し心配なレベルといえます。
新型コロナウイルスのハイリスク者とは
成人の間では、新型コロナウイルスによる重篤な病気のリスクは年齢とともに増加し、高齢者が最もリスクが高くなります。
年をとるにつれて、新型コロナウイルスによる重篤な病気のリスクが高まります。
たとえば、50代の人々は、40代の人々よりも重篤な病気のリスクが高くなります。
同様に、60代または70代の人々は、一般に、50代の人々よりも重篤な病気のリスクが高くなります。
高齢は感染の危険因子
英国での横断研究のデータによると、感染のリスクが最も高いは40〜64歳の人々で、75歳以上の患者、65〜74歳の人々がそれに続きます。
成人の重篤な病気のリスクは年齢とともに増加し、高齢者(65歳以上)が重篤になるリスクが最も高くなります。
死亡率が一番高いのは80歳以上の患者です。
米国では、65歳以上の患者が全症例の31%、入院の45%、集中治療室への入院の53%、死亡の80%を占め65歳以上は様々なリスクが最も高いグループになります。
高年齢は、それだけでも独立した危険因子です。
しかし、高齢者に脂質異常症や糖尿病など基礎疾患があると重篤な病気のリスクを高める可能性はさらに高くなります。
年をとるにつれて、COVID-19で入院するリスクが高まります。
他のリスク要因
以下、生活習慣病で注目される疾患ごとにまとめました。
【高血圧】
高血圧の人は、重篤な病気のリスクが高くなる可能性があります。
高血圧は、死亡率、重度の疾患、急性呼吸窮迫症候群、集中治療室への入院の必要性、および疾患の進行を含む、複合転帰不良の増加と関連しています。
高血圧症の患者は、高血圧症のない患者と比較して、重篤な疾患のリスクが2.27倍高く、死亡のリスクが3.48倍高くなっています。
【肥満】
肥満の人は、重篤な病気のリスクが高くなります。
ある分析では、肥満の人は感染のリスクが46%高く、入院のリスクが113%高く、集中治療室に入院するリスクが74%高く、死亡のリスクが48%高いことがわかりました。
肥満度指数(BMI)が30kg /m²以上の患者は、肥満度指数が30kg /m²未満の患者と比較して、重症疾患のリスクが2.35倍、院内死亡のリスクが2.68倍です。
肥満は、特に男性や若い人(60歳未満)において、新型コロナウイルスによる死亡のリスクには重要なファクターです。
【糖尿病】
2型糖尿病の人は、重度の病気のリスクが高くなります。
新型コロナウイルス患者の糖尿病のプールされた有病率は約15%です。
糖尿病は、疾患の進行、集中治療室への入院、急性呼吸窮迫症候群、人工呼吸器、および死亡のリスクの増加と関連しています。
集中治療室への入院と死亡のリスクは、糖尿病のない患者と比較して糖尿病のある患者では統計上で有意に高い、とされています。
それぞれ集中治療室への入院のリスクは、糖尿病のある人は、ない人を1とすると1.88と高値でした。
死亡のリスクは糖尿病のある人は、糖尿病のない人を1とした時、1.61というリスクの高さでした。
生活習慣病は普段、痛くもかゆくもないので、放置されたり、内服治療を中断したりと難しい側面を持つ病気です。
しかし、新型コロナウイルスが重症化するのであれば、治療中の方は、継続して治療を行うようにしましょう。
さらに、トランプ大統領が飲んでる(かもしれない)スタチンというお薬については、
実験動物において新型コロナウイルスの高い感染力の土台になっていると疑われているACE2という物質の発現を増加させることが示されています。
そのため、これらの薬を服用している人々は感染またはより重篤な疾患のリスクが高くなり、急性呼吸窮迫症候群の炎症経路の活性化を促進する可能性があるという懸念があります。
このように、疾患や年齢によって、感染や重度の病気のリスクが変わってきます。
幸い、トランプ大統領はその後回復しましたが、今後も感染対策は十分に行っていただきたいところです。
出典
BMJ BMJ BestPractice Coronavirus disease 2019 (COVID-19)
CDC Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) People with Certain Medical Conditions