高齢化時代を迎えた今日、シニア世代ができるだけ病気にかからず、介護を受けないで自立し、「元気印」 で暮らすこと。
これは社会にとっても、家族にとっても望ましいことですね。
最近は、メタボの人が増加する一方で、加齢に伴い、食が細くなったり、食欲がなく、食事を抜いたりするなどにより低栄養気味な方がみられます。
今回は、シニア世代の正しい栄養生活について紹介します。
監修者情報
名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長
健康長寿のために必要なこと
シニア世代の方の中には、食事を抜いたりする低栄養気味な方がみられます。
そのような方は、からだの必要量に対して、食べ物から摂るエネルギーやたんぱく質などの栄養素が不足することになります。
低栄養状態になると、血管の壁がもろくなったり、細菌やウィルスに対する抵抗力が衰えたり、体力が低下します。
認知症の発症にも、影響を及ぼすことがわかってきました。
低栄養は、老化の進行を早めます。
シニア世代に必要なたんぱく質の量は?
60歳以上の方々のたんぱく質必要量は、1日男性60g、女性50gです。
加齢に伴い食事量が少なくなっても必要とされるたんぱく質量は同じです。
しかし、70歳以上の方々が、実際に摂取しているたんぱく質量は、60歳代よりも男性で約8g、女性で約7gも減少しています。
低栄養を予防するために、たんぱく質が不足しないようにしっかり摂りましょう。
一日に必要な量の例は、以下の通りです。
- 肉 薄切り肉3枚(約60g~70g)
- 魚 一切れ(約80g)
- 卵 1個(約50g)
- 牛乳 1本(200ml)
- 豆腐 3分の1丁(約100g)
なんと、これだけが一日分です。
多いなと思った方は、食事の際はおかずからまず食べましょう。
ご飯は炭水化物以外の栄養素が少ないので、まず、動物性たんぱく質を十分に摂ります。
ご飯は残しても良いので、色々な種類の食材を食べましょう。
自分の体重を知っておく
自分の体重とBMIを知っておくことは、大切です。
低栄養の方は特に注意が必要です。
BMIが20以下の「細い人」は「太い人」よりも顕著に寿命が短いという報告があるからです。
痩せてきたら要注意ですので、しっかりとたんぱく質を摂りましょう。
体重管理で老化を予防
シニア世代は「いろいろ食べる」「しっかり食べる」ことが大切です。
また、自分の体重管理もできなければなりません。
自然に、「昨日の体重は?」「今日は体重を測ったかな?」「昨日の夕飯はなんだったっけ?」などと、忘れてはいけないことが増えてきます。
色々な食材をそろえようと思うと、買い物もしないといけません。
そうです。
体重管理をすること、しっかり食べることは、脳トレと同じで「認知症予防」にも通じるのです。
注意しなければならないこと
シニア世代が摂取しすぎているものが1つあります。
それは、塩分です。
塩分を長期間過剰に摂り続けていると、血圧が上昇し、高血圧となり、動脈硬化や脳血管障害、心臓病など生活習慣病のリスクが高まります。
食塩は1日あたり男性9g未満、女性7.5g未満を目安として摂取するように心がけましょう。
今は、男性、女性とも2gほどを摂り過ぎています。
味付けの目安は、今より薄く、醬油など調味料の使用量や使用回数は、今の3分の2ほどをめざすと塩分摂取量も少なくなります。
たとえば、刺身につける醬油の量は、「面」ではかります。
お刺身全体を醬油に浸して食べている人は、半分までしか浸さないように、また、和え物にポン酢をぐるぐるかけていた人は、ポン酢を小皿にとって「ちょん」とつけるくらいにしましょう。
簡単なことですが、塩分は確実に減らせます。
食欲がなくなり、痩せる人が多いシニア世代
そういう時は、適度に体を動かしてみましょう。
日常生活を不自由なく送るために、必要な筋肉を維持することが大切です。
筋肉を維持するために役立つのは、スポーツをすることだけではありません。
毎日の家事や歩くこと、ストレッチなど、こまめにからだを動かすことでも筋肉は維持できます。
からだを動かすことを習慣にすると、転倒予防にも役立ち、食欲が増して、食事を楽しむこともでき、リズムのある生活になります。
参考
平成23年度 農林水産省 「食育実践活動推進事業」健康長寿のための食生活のすすめ
昨日より今日、今日より明日。
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