子どもがよくかかる「夏風邪」は、
プール熱、手足口病、ヘルパンギーナ
の3種類といわれています。
「子どもがよくかかる病気だから、大人は大丈夫!」
と思った方もいらっしゃるかと思います。
「夏風邪」は、大人にもかかる感染症です。
大人がかかった場合は重症化することもあります。
夏風邪を予防するためにも、
特にお子様のいるご家庭は、ぜひお読みください。
3大夏風邪とは 大人もかかる病気あり
手足口病、プール熱、ヘルパンギーナは、
「3大夏風邪」と呼ばれています。
このうち、手足口病とヘルパンギーナの
原因ウイルスは同じ仲間なので、
2つの病気は症状が似ています。
順番に紹介していきましょう。
手足口病はその名の通り、口の中や手足にあらわれる
発疹が特徴で、発疹は水泡状です。
肘や膝、お尻に発疹が出ることもあります。
38.0~39.0℃の熱が出ますが、
3日〜7日で治ります。
ヘルパンギーナは、38.0℃以上の高熱が
急に出て2〜4日続いたあと、
喉の痛みがあらわれ、上あごの奥に水泡ができます。
この水泡は、周辺が充血して赤いことが特徴です。
水泡が破れるとさらに喉が痛むため、
子どもにとってつらい病気といえます。
4〜5日で症状は自然に治まりますが、
嘔吐や頭痛といった症状が現れることもあり、
その場合は脱水症状に注意しなければなりません。
手足口病の患者は4歳くらいまでの幼児が多く、
ヘルパンギーナは5歳未満の幼児が90%を占めるなど、
小さい子どもが中心ですが、
手足口病に関しては、
小学生で流行したり、大人が発症することもあります。
手足口病とヘルパンギーナの原因は、
エンテロウイルスというありふれたウイルスです。
大半は時間が経過すれば自然に治り、
なかにはウイルスに感染しても
症状が出ない人もいますが、
まれに重症化して髄膜炎など
発症することがあるので、油断できません。
発熱、喉の痛み、目の症状が出るプール熱は高齢者も注意
プール熱は、アデノウイルスという
ウイルスが原因で起こります。
アデノウイルスの仲間は種類が多く、
その種類によって、
高熱が出て喉と目が痛くなる
(咽頭結膜熱。いわゆるプール熱)、
扁桃腺が腫れて膿がつく(扁桃炎)、
下痢する(胃腸炎)など、異なった症状があらわれます。
症状はまず発熱(38.0℃以上)、
次に頭痛や食欲不振、だるさなどとともに、
喉の痛み、目の症状
(充血、痛み、まぶしさ、涙目、めやに)があらわれ、
3日から5日続きます。
学童に多い病気というイメージですが、
実際には5歳以下の幼児が
60%以上を占めるというデータもあります。
また、プールで感染が広がることが多いため、
プール熱という名前がついていますが、
病院や介護施設などで高齢者に流行することも
めずらしくありません。
アデノウイルスは感染力が強いのです。
治療は対症療法。脱水に注意 予防は手洗いがいちばん!
ウイルスが原因の病気には、
病気そのものを治す薬がありません(※)。
そのため治療は、発熱や痛みに対しては解熱鎮痛薬、
喉の炎症が強いときには抗炎症薬、
手足口病の発疹にかゆみがあるときは
かゆみ止めを使うなど、対症療法になります。
脱水にならないように、
水分を十分にとることも重要です。
手足口病やヘルパンギーナで
口のなかに症状がある場合は、
少しずつ頻回に水分を飲ませるようにします。
脱水の予防に有効な、経口補水液(飲む点滴)を
利用するのもよいでしょう。
口のなかや喉が痛くて水分もとれないときは、
脱水になりやすいので
早めに病院を受診してください。
プール熱で目の症状が強いときは、
眼科で専門的な治療を受けましょう。
エンテロウイルスもアデノウイルスも感染力が強く、
そのため流行しやすいのですが、
気をつければ予防できます。
いちばん有効な予防策は手洗いです。
とくにエンテロウイルスの場合、
便のなかにウイルスが多量に存在し、
症状が治ったあとも、2〜3週間
便にウイルスが残ることがあるので、
排便後の手洗いの徹底を。
プール熱はタオルの共用などを避けましょう。
※帯状疱疹や水疱瘡などを引き起こすヘルペスウイルスの増殖を抑える薬はあります。
新型コロナの治療薬も複数使用されています。
取材・文:NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部
医療ライター/看護師 天野 敦子
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