つらい膝関節の痛みには、ある治療法が有効!?

膝関節の痛み

 

「歳と共に、膝関節が痛くなってきた…」

「激しい運動するのは、

膝が悪化しそうで少し抵抗がある…」

 

こんな悩みをお持ちでいる方はいらっしゃいませんか。

 

年を取るたび悪化する膝の痛みは、

人工膝関節置換術じんこうひざかんせつちかんじゅつという手術が有効です。

 

術後の人工膝関節のぐらつきを

心配される方もいらっしゃいますが、

最近の人工膝関節は耐久性にも優れているので、

積極的にスポーツを楽しみたい、

自由に運動したいという方であれば、

人工膝関節置換術を検討してみてください。

 

本記事では、人工膝関節置換術の特徴や、

膝関節の仕組みを詳しく解説しています。

 

もし周りの方で、

膝関節の痛みに困っている人がいたら、

人工膝関節置換術を紹介してみても

よいかもしれません。

 

活き活きとした生活を再び送りたいのであれば人工膝関節置換術を!

 

「膝を支える筋肉強化や、

膝の柔軟性維持のための運動療法に

懸命に取り組んできたものの、

変形性膝関節症の痛みがひどくなってきた」

 

「痛み止めの飲み薬(消炎鎮痛剤)や

ヒアルロン酸の関節内注射などで

膝の痛みを抑えてきたが、

近頃はあまり効かないので辛い」

 

「膝の痛みで歩行や階段の昇り降りなど、

日常生活に重大な支障をきたして困っている」

 

いずれも膝の関節軟骨が歳と共にすり減り、

膝関節の変形→破壊を招く

変形性膝関節症が進行したときの典型的な症状です。

 

膝の痛みを解消し、

「活き活きとした張りのある生活を再び送りたい」

と望むのであれば、

変形→破壊された膝の関節を

金属とポリエチレンでつくられた

人工膝関節に置き換える

人工膝関節置換術を受けるとよいでしょう。

 

超高齢社会を迎えたわが国では、

膝の違和感や痛みなどを覚える方は

約800万人以上にのぼります。

いまやその方々のなかで、

人工膝関節置換術を受ける方が

年を追うごとに増えているのです。

 

膝のぐらつき、不安定性を克服 生活の質の向上をもたらす

 

実は近年、長足の進歩を遂げてきた治療法が

人工膝関節置換術にほかなりません。

 

人工膝関節置換術は、

①膝の痛みの解消や②スムーズな歩行、

③自由な膝の曲げ伸ばしを可能にする

といった目標を達成しただけではありません。

 

もともと膝の曲がりがよい患者さんであれば、

正座を可能とする深屈曲しんくっきょく対応型人工膝関節の

開発に成功し、その普及も実現されてきたのです。

 

現在、こうした進化のうえに立ち、

さらにより質の高い日常生活を

患者さんにもたらす次の課題に挑んでいるのが

人工膝関節置換術なのです。

 

では、新たな課題とは具体的に何か……。

人工膝関節に置き換えたものの、

歩行中の瞬間的な小走りや

床からのすみやかな立ちあがり、

階段の昇り降りなどの際に膝がぐらつき、

不安を覚えてためらう患者さんが少なくありませんが、

それを克服するのが次の課題なのです。

 

従来の人工膝関節にいまひとつ安定性が乏しいのは、

変形→破壊された膝関節の中の軟骨や骨を切りとり、

その切除箇所に人工膝関節のコンポーネント(部品)を

それぞれ嵌めこみ――設置するための

人工膝関節置換術の手術自体に原因が存在します。

 

人口膝関節置換術-部品

 

すなわち手術の際、

膝関節を支える靱帯(骨と骨をつなぐ結合組織)や

腱(骨と筋肉をつなぐ結合組織)などを

不用意に傷つけているからです。

 

靱帯などを傷つけない 優れた工夫が試みられる次世代の人工膝関節置換術

 

膝の関節は前十字靱帯ぜんじゅうじじんたい後十字こうじゅうじ靱帯、

外側側副がいそくそくふく靱帯、内側側副ないそくそくふく靱帯のほかに、

後斜靱帯や膝蓋腱をはじめ、

多種多様な靱帯や腱などが

膝関節の周りを覆うように支え、

その安定性を保っています。

 

たとえば、股のところの股関節は、

皮や布で足全体を保護している靴のようなもの。

靱帯だけではなく、厚い筋肉にも

覆われ支えられているからです。

 

一方、膝の関節は

2本の鼻緒しかついていない下駄のようなもの。

関節を保護し支えるのは

靱帯や腱などしかないからです。

 

中でも膝関節の動きを

しっかりと支え安定させているのが、

膝の内側の靱帯や腱などにほかなりません。

 

しかし、これまでの人工膝関節置換術では

手術の際、医師が患部をよく見えるようにするため、

こうした膝関節を安定させている靱帯などを

ノミで剥がしたり、メスで切ったりするなどして

傷つけていたのです。

その結果、人工膝関節に置き換えても、

膝がぐらつくなどの不安定性を招き、

瞬間的な小走りなどを躊躇してしまう

患者さんが後を絶たなかったのです。

 

人工膝関節の不安定性を克服するには、

膝関節周囲の靱帯や腱などを

可能な限り傷つけずに遂行する

新たな人工膝関節置換術の確立が求められてきました。

 

確かに変形→破壊がひどい変形性膝関節症の場合、

靱帯や腱などを傷つけることなしに

人工膝関節置換術を遂行するのが

難しいケースもあります。

 

しかし、最近はその困難を克服する

さまざまな優れた工夫が試みられ、

さらによりよい次世代の人工膝関節置換術が

普及しはじめているのです。

 

膝の関節の関節軟骨の摩耗が発症の原因

 

ご存じのように膝の関節は

身体の中でもっとも大きな関節の一つです。

 

膝関節

 

太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)、

お皿(膝蓋骨しつがいこつ)の3つの骨から構成されています。

大腿骨の接触面は丸みを帯び、

脛骨のそれはほぼ平らで、

なめらかで弾力性に富む関節軟骨が

それぞれの接触面を覆っています。

 

変形性膝関節症が発症するのは、

膝の動きが1日数千回にも及び、

歳を重ねるに従い関節軟骨がすり減り、

摩耗していくからです。

 

もともと関節軟骨は

なめらかで弾力性に富んでいるのですが、

摩耗から次第に水分や栄養が不足しがちとなり、

その表面がカサカサと毛羽立ちはじめ、

なめらかさを失っていきます。

そのうちに削りとられた関節軟骨の欠片などにより、

膝関節を包む関節包の内側の組織=滑膜かつまく

刺激→傷つけられ、炎症から痛みなどを

招いてしまうのです。

 

大腿骨や脛骨の接触面を覆う関節軟骨は、

一旦摩耗し失われてしまうともはや再生されません。

 

いずれ消失し、大腿骨と脛骨の硬い骨同士が

直接ぶつかりあい、それぞれの骨もすり減っていきます。

 

ただし、骨には再生能力があります。

すり減った骨は再生=増殖しますが、

かならずしも摩耗箇所に増殖するわけではありません。

横にはみだす形で骨が増殖し、

それが骨棘こっきょくを形成してしまうのです。

 

骨棘によってさらに膝関節の変形→破壊が促され、

いっそう激しい痛みを強いられ、

日常生活に重大な支障を招いてしまうのです。

 

初期や中期ならば運動療法や薬物療法などが効果的

 

変形性膝関節症の進行は、

およそ初期、中期、進行期の3段階に分けられます。

 

初期は膝の痛みやこわばり、

動かしにくさを覚えますが、

X線の画像上で明らかな変化は

ほとんど認められません。

 

中期は正座や立ちあがり、階段の昇り降りなどに

苦痛を伴うようになります。

X線画像では関節軟骨の摩耗が認められ、

大腿骨と脛骨の間の隙間=関節裂隙れつげき

正常のそれの2分の1以下までに

狭まっていることが確かめられます。

 

進行期は膝のひどい痛みに悩み、

日常生活に明らかな支障をきたします。

X線画像では関節裂隙が消失し、

大腿骨や脛骨の骨の摩耗さえ

認められるようになります。

 

初期や中期の変形性膝関節症ならば、

膝を支える筋肉の強化や

膝の柔軟性を保つ運動療法を軸に、

杖や足底板などを用いて

膝関節への負担を軽減する装具療法、

さらに消炎鎮痛剤の服用や膝関節に

ヒアルロン酸を注入する関節内注射などで

痛みを抑える薬物療法などで治療効果が得られます。

 

進行期なら手術を受けるのも治療の選択肢の1つ

 

一方、進行期まで進んでしまうと

運動療法や薬物療法など、いわゆる保存的治療では

十分な治療効果を得られないケースが増えてきます。

 

ひどい膝の痛みで苦しみ、歩行もままならないなど、

日常生活に重大な支障を招いているときは、

外科的治療=手術が

治療の選択肢の中に加わってきます。

 

手術には、①関節鏡視下きょうしか手術と②高位脛骨骨切こつきり術、

③人工膝関節置換術があります。

 

関節鏡(内視鏡)で剥がれ落ちそうになっている

関節軟骨などを取り除くのが関節鏡視下手術です。

 

また、すり減っていない側の脛骨の一部を

膝関節の近くで切り、膝関節内の脛骨接触面に

なるべく均等に荷重がかかるようにするのが

高位脛骨骨切り術です。

 

しかし、なによりも手術の決め手は

変形→破壊された膝関節を、

人工の膝関節に置き換える人工膝関節置換術です。

 

もっとも大事なのはどのような生活を送りたいか

 

人工膝関節置換術は、

膝関節表面をすべて置き換える

人工膝関節全置換術(TKA)と、

膝関節表面を部分的に置き換える

人工膝関節部分置換術の二通りに大別されます。

 

人工膝関節全置換術人口膝関節置換術(術前・術後)

 

さらに後者の人工膝関節部分置換術は

病変が膝の内側のみか外側のみの

ケースに行う単顆たんか置換術(UKA)や、

病変が膝蓋大腿関節(膝蓋骨の裏の部分)のみの

ケースに行う膝蓋大腿関節置換術(PFA)

などがあります。

 

いずれにしても、

「少し膝が痛くても、

近所のスーパーなどに歩いていければよい」

と考えている患者さんならば、

装具療法や薬物療法などで

我慢していてもよいでしょう。

 

一方、「ゴルフなどのスポーツも積極的に楽しみたい」

と考えている患者さんならば、

進行期に入ったらすみやかに

人工膝関節置換術を受けるのもよいかもしれません。

 

現在、人工膝関節は25年以上もつといわれます。

一般的に60歳を超えてから

人工膝関節置換術を受けると、

一生もつ患者さんは90数%以上にのぼります。

 

最近は人工膝関節の耐久性がさらに高まり、

次世代の優れた人工膝関節置換術も

普及しはじめてきたので、

50歳代の患者さんでも

人工膝関節を入れることができます。

 

患者さん自身がどのような生活を送りたいのか、

そのことをしっかりと考え、

医師と十分に相談して

人工膝関節置換術を受けてください。

 

 

取材・文:NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部

医療ジャーナリスト 松沢 実

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