紫外線対策の強い味方、日焼け止め。
「SPFが高い日焼け止めを選んでおけば大丈夫！」
「去年使っていた日焼け止めを使おう！」
このように思っていらっしゃる方はいませんか。
実は、日焼け止めの間違った使い方にあたります。
初夏から秋口にかけての必需品ですが、
間違った使い方では十分な効果を得られないばかりか、
肌荒れの原因になることもあります。
日焼け止めの正しい使い方を知って、
効果的な紫外線対策を行っていきましょう。
まずは、基本的な紫外線の知識についてです。
SPFとは？PAとは？ 紫外線との関係を知ろう
日焼け止めには、「SPF」「PA」の表示があります。
これらは、紫外線を防止する効果を示す指数ですが、
意味を理解するためには、
紫外線の種類についてまず知っておく必要があります。
そもそも紫外線とは、地球に届く太陽光線のなかでも
波長が短く、エネルギーの高い光線です。
紫外線は、UVA、UVB、UVCの３種類に分けられます。
UVAは、紫外線のなかでは波長が長く、
皮膚の奥の「真皮」というところまで届きます。
真皮には、肌のはりやうるおいを守る
コラーゲンやエラスチン線維がありますが、
UVAはこれらを破壊し、また活性酸素を発生させて、
肌の老化を促進させます。
UVBは、UVAよりも波長が短く、真皮までは
届きませんが、表皮で炎症を引き起こします。
炎症が起こると、肌は軽い熱傷を負った状態になり、
赤く熱を持ってヒリヒリします。
UVBは、表皮の細胞の細胞膜や、
遺伝情報を伝えるDNAを壊す作用があり、
ときには肌の細胞ががん化することもあるので
注意が必要です。
もっとも波長が短いUVCは、
非常に強い紫外線ですが、
オゾン層で吸収されてしまうため、
地表にはほとんど届きません。
オゾン層は回復傾向にあると言われているものの、
まだ十分ではなく、何らかの影響が
およぶのではないかと懸念されています。
日焼け止めで防止できるのは、UVAとUVBです。
そして、SPFはUVBを防止する効果を、
PAはUVAを防止する効果をあらわしています。
S P F値やPAは生活や場面に合ったものを
SPFは、SPF30、SPF50など数字で示されています。
SPF1は、約20分間紫外線（UVB）を
防御できるという意味です。
つまり、SPF30なら、20分×30で約600分（10時間）、
SPF50なら、20分×50で約1000分（約16時間半）、
紫外線から肌を守ってくれます。
数値が大きいほど紫外線を
ブロックする力が強いと思いがちですが、
SPF値30前後がもっとも
防御率が高いとされています。
日常生活では、SPF50の日焼け止めを
塗る必要はありません。
次にPAですが、こちらは
UVBを防止する効果が＋の数であらわされ、
＋から＋＋＋＋まで４段階あります。
どんな生活のシーンに適しているかを示したもので、
PA＋は「日常生活」、
PA＋＋は
「屋外での軽いスポーツやレジャーなどの活動」、
PA＋＋＋は
「炎天下でのレジャー、
リゾート地でのマリンスポーツ等」、
PA＋＋＋＋は
「非常に紫外線の強い場所や、
紫外線に特別過敏な人たち等」となります。
| 生活のシーン | PA |
| 日常生活 | PA＋ |
| 屋外での軽いスポーツやレジャーなどの活動 | PA＋＋ |
| 炎天下でのレジャー、リゾート地でのマリンスポーツ等 | PA＋＋＋ |
| 非常に紫外線の強い場所や、紫外線に特別過敏な人たち等 | PA＋＋＋＋ |
SPF値・PAを選ぶ目安は、
短時間の買い物や散歩なら
SPF10〜20・PA＋〜＋＋、
屋外での軽いスポーツやレジャーなら
SPF20～40・PA＋＋〜＋＋＋、
屋外での激しいスポーツや炎天下でのレジャー、
マリンスポーツなら
SPF50〜50＋・PA＋＋＋〜＋＋＋＋です。
| 生活のシーン | SPF値 | PA |
| 短時間の買い物や散歩 | SPF10〜20 | PA＋ 〜 ＋＋ |
| 屋外での軽いスポーツやレジャー | SPF20～40 | PA＋＋ 〜 ＋＋＋ |
| 屋外での激しいスポーツや炎天下でのレジャー、マリンスポーツ | SPF50〜50＋ | PA＋＋＋ 〜 ＋＋＋＋ |
適量をムラなく塗り帰宅後はなるべく早く落とす
製造技術の向上により、日焼け止めは
使い心地のよさや、肌への負担軽減を実現しています。
しかし、数値の高いものは
それなりに肌に負担がかかります。
単にSPF値の高いもの、
PAの＋が多いものを選ぶのではなく、
ライフスタイルや生活のシーンに合わせた
商品選びをすることが大切です。
また、どんなに効果のあるものを使っても、
使用法が正しくなければ十分な効果は得られません。
「使用方法」に記載された量を、
ていねいにムラなく塗るようにすると、
うっかり日焼けするのを防ぐことができます。
最近は、お化粧の上からでも使える
スプレー式の日焼け止めも登場しています。
塗り直しが簡単で、
ストッキングの上からも使えるため人気です。
もっとも効果的な日焼け止めの使い方は、
SPF値とPAがほどよいものを選び、
適切な量をムラなく塗ってときどき塗り直す―です。
十分な効果が得られ、肌にも
やさしい使い方といえるでしょう。
また、日焼け止めは、帰宅したら
なるべく早く落とすのが鉄則です。
SPF値、PAがあまり高くないものは、
ふつうのクレンジングや洗顔、入浴などで落ちますが、
SPF値、PAが高く専用のクリーナーがある場合は、
それを使用しましょう。
とくに、SPF値やPAの高いものは、
一般的に肌への負担が大きいので注意を。
日焼け止めが肌に残ったままだと、
日差しや暑さで疲れた肌が十分に休息できず、
肌の疲労、さらには老化につながります。
また、去年使い残した日焼け止めを使うのは、
お肌のためによくありません。
いったん開封すると中身が酸化していき、
紫外線を防ぐ効果も低下するため、
なるべく３カ月以内に使い切るようにしましょう。
日焼け止めを正しく使って、肌の健康を守りましょう。
取材・文：NPO法人 医療機関支援機構 カルナの豆知識 編集部
医療ライター/看護師 天野 敦子
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